第258話 猫の方が可愛いにゃ
夕食を終え、少し話をすると、キョウカとユウセイ君を家に送る。
そして、家に帰ると、すでにモニカが風呂から上がっており、髪をタオルで拭いていた。
「ただいま。ルリは?」
「おかえりなさい。ルリさんはお風呂ですね」
そっかー。
ミリアムはお風呂に入らないなー。
そう思いながらコタツに入ると、ミリアムを抱え、背中を撫でる。
「山田、どうするにゃ?」
「モニカが情報を探れって言ったけど、一番情報を持っていそうな人を知ってるね」
「あいつにゃ……」
ミリアムもわかっているようだ。
「タツヤ様、それはやめた方が良いのでは……」
モニカもそう思うらしい。
「でもさ、陛下と一番近くて、なんか何でも知ってそうじゃない?」
王妃様だし。
「あいつと関わるとロクなことがないと思うにゃ。愉快犯にゃ」
いつもニヤニヤしてるもんな……
その表情もエロいんだが……
「こっちの世界にも詳しいし、情報を聞くには適役なんだけど、人間性がね……」
エロいし。
「普通に情報を集めた方が良いにゃ。あいつに頼むとロクなことがなさそうにゃ」
なんか要求されそう。
魅力的だが、破滅しそうな要求を……
「よし、この考えは捨てよう」
「それがよろしいかと思います」
「あんなのに関わったらダメにゃ」
2人も頷いた。
「あ、タツヤさん、おかえりなさい。お風呂にどうぞ」
ルリがお風呂から上がってきた。
「ありがとうね。ルリ、外で変なお姉さんに会っても無視するんだよ」
「お姉ちゃん?」
ルリがキョウカをどう思っているのかがわかる。
いや、多分、皆、そう思っているかもしれない。
「お姉ちゃんは無視しなくていいよ。どっかの旅館で会った人」
「あー、あの悪魔ですか。あれ以来会ってないですし、お姉ちゃんやモニカさんみたいに声は聞こえませんね」
あのドスケベにも良心の呵責があったのかな?
「モニカも気を付けてね」
「わかってます」
モニカが頷いたのでミリアムもお風呂に入れてあげようと思い、そのまま立ち上がったのだが、ダンボールの中に逃げてしまったので一人で入る。
そして、モニカとちょっとだけお酒を飲み、就寝した。
翌日、この日は日曜日だが、俺はもちろん、キョウカもユウセイ君も春休みなので関係ない。
朝からキョウカとユウセイ君がウチに来たので準備をし、皆で研究室を抜ける。
すると、いつもは木に囲まれた道なのだが、木製の屋根と柵がある通路に変わっていた。
「あれ? なんかできてる」
「繋げるって言ってましたけど、もうできたんですね」
通路はまっすぐ伸びており、前方にある執務用の家と繋がっていた。
さらにはすぐそこに左に曲がる通路もある。
「あそこの執務室と温泉、あと、モニカの家を繋いでくれるって話だったんだけど、もうここまでできたのか……」
ちょっと歩き、温泉の方を見ると、囲いも建物もできている。
「村の人達も頑張ってくださいましたから。とはいえ、できているのは外側だけです。もう2、3日ほどかかるようですよ」
へー……それでも早いわ。
「モニカ、内装とかはどうするの? やっぱり日本で買う?」
「そうさせていただこうと思っています。また時間がある時にでも回ってみます」
「私とルリちゃんが付き合いますよ」
キョウカがそう言うと、ルリが頷く。
俺もって思ったが、ここは女性に任せた方が良いだろう。
俺は金を出すだけ。
「じゃあ、お願いね。お金のことは考えなくていいから好きなのを買いなよ。俺はこの前の長野でさらに儲かったからね」
貯金額が1000万の大台に乗ったし、もはや富豪と呼んでも良いのでは?
「ありがとうございます。こっちは後で見ましょう」
俺達は通路をまっすぐ進んでいき、モニカが使っている執務室に入る。
ここはいつもと変わらないのでそのまま抜け、村にやってきた。
「おー、本当に舗装がされている」
ユウセイ君が腰を下ろし、石作りの舗装をノックするように叩く。
「舗装されていると、良い感じに見えますね」
ぼろい農村からちょっと良い農村にランクアップした気がする。
「インフラの整備も終了しましたし、以前と比べると、かなり過ごしやすくなっています。村としての発展の方向性を過ごしやすさにシフトしておりますので」
なんかモニカがガイドさんみたいだな。
「へー……なんか東京では見ない風景だからなんか良いな」
ついにユウセイ君もスローライフの良さに目覚めてくれたか?
「私、ここの領主夫人」
「はいはい。辺境伯夫人な。なんかお前は都会のおほほ貴族夫人よりそっちの方が合ってる気がする」
「おや? 猪夫人って聞こえるぞ?」
ツッコむべきはそれよりおほほ夫人だよ。
「まあまあ。村の人達の姿が見えないけど、やっぱり家の中?」
「だと思います。あ、あれが山羊ですね」
モニカが指差した先には白い山羊がおり、道端の雑草を食べていた。
「あ、山羊だ」
「可愛いねー」
ユウセイ君とキョウカが山羊に近づいた。
山羊は2人よりも草のようで2人が近づいても特に警戒もしないし、関心も示さず、一心不乱に雑草を食べている。
「大人しいね」
「山羊ですから」
知らないけど、山羊って大人しいの?
「山田、こっちの世界の獣は向こうの世界の獣より頭が良いし、大人しい種が多いにゃ」
へー……
「どう見ても山羊だな」
「異世界にもいるんだねー」
高校生2人は山羊を撫でて可愛がっている。
その際も山羊は大人しく草を食べていた。
「山羊は2匹購入し、放し飼いにしています。雑草を食べてくれますし、村の癒しですね。皆さん、可愛がっているようです」
うん……確かにもしゃもしゃと草を食べている姿は可愛い。
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