チートスキル
シヴァは、ルウの地を見た。
砂一面の風景が一変した。
草原……? 木や泉も見えた。
間違いなく、かつて、パースと足を踏み入れたあの地だ。
シヴァはルウの地へ向かい、歩き出す。
もう少しだ。
もう少しで、ルウの地に入り、そして………
その時だった。
――リムシステム、発動します。
脳裏にそんな声が響いた。
シヴァは驚いて振り返る。
虫の息のはずの女が立ち上がっていた。
女がシヴァに突進してきた。
避ける余裕はなかった。
女の腕がシヴァの胸を突き抜けていた。
シヴァは悲鳴を上げる。
だが、女の攻撃は止まない。
さっきまでの女じゃなかった。
異様な魔力を発動させ、シヴァに攻撃し続ける。
女がシヴァの頭を掴む。
目を奪い返そうとしているのか。
いや、女の両手がシヴァの頭を握りつぶそうとしている。
シヴァはなんとか女から離れた。
シヴァは逃げ出した。
シヴァは、リムという名前に覚えがあった。
かつて、一部のアンドロイドの搭載された戦闘用のプログラムだ。
それを搭載されたアンドロイドが暴走する事件が頻発したことがあったのだ。
まさか、そんなシステムをつけた生身の女がいるなんて……
シヴァがその女から機械の目を奪ったから、その声が聞こえたのだ。
シヴァはぞっとした。
リムシステムはまだ自分を攻撃しようとしている。とにかく逃げなければ……
とんでもないチートスキルの女に出くわした。
シヴァは自分の不運を嘆いた。
走ってるはずのシヴァの足が折れていた。
片足が砂に埋まるようにし、体が地面に倒れた。
うつ伏せの姿勢のシヴァは目を凝らす。
ルウの地が見えると、そこに住む人々の喧噪や活気のある物音も聞こえて来た。
もう少しだ。
もう少しで目的の地に着く。
だがそこまでだった。
身体の感覚がなくなり視界が歪んだ。
シヴァの体は砂に沈み、そのまま動かなくなった。
終わり
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