彼目線
※ 痛い描写があります。
* * *
シヴァはルウの地を見ていた。
いや、正確には見ていたのはルウの地ではなく、ルウの地の方角を見ていた。
シヴァには、ルウの地が見えていなかった。
気のいい行商のパースに気に入られ、一度はその地に足を踏み入れることが出来たが、今となっては見ることもは行くことも出来なかった。
シヴァの目にはずっと砂漠が続いていた。
ある日、結界らしきものが見えた。
魔法には自信のあるシヴァのこと、その結界を裂いてみた。
中に畑らしきものが見えた。
後にして思えば、その時、ルウの地に侵入するべきだったのだ。
裂いた結界は、その日のうちのに環境維持ロボが修復していた。
さすがに神の使いと言われるだけはある。
その時はまだ呑気に構えていたが、今は限界が近い。
ルウの地に行って、なんとしても………
そんな時、偶然にも、歩いている女の姿が消えた。
ルウの地の結界に入ったにしては……?
そこはルウの地ではなかったはず。
ルウの地の他に、結界で覆われた地があるのか?
しばらくすると、女の姿が現れた。
女は環境維持ロボと一緒だった。何やらロボを調整している。
その様子を見て、シヴァは気づいた。
女の目は機械だ。
ロボを調整し終わると、女は歩き出した。
女の歩く方向は間違いなく、ルウの地の方角。
シヴァは確信した。
女の機械の目は魔導機械だ。
ルウの地の魔法の結界も見通せるのだろう。
シヴァに好機が訪れた。
シヴァは、女を襲撃する。
そばにいる環境維持ロボも破壊した。
神の使いといわれているロボだ。何をしでかすかわからない。
心臓を一突きした女は生きていたが、もう虫の息だ。
「ごめんね。僕には時間がないんだ」
女から機械の目を引きずりだし、そしてシヴァは自分の目を引きずり出した。
痛みは感じない。ためらいもなかった。
そこに女から引きずり出した目を入れる。
魔導機械の目はシヴァの目となった。




