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月色の砂漠~コーヒー売りはチート嬢~  作者: チク


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腕枕

 その顔はやはり、あのエルフの少女の面影がある。

 思いも掛けず、意外な縁に繋がって、シームァは嬉しかった。


 シームァは腕枕したまま、ぼーっとしていた。




     *


 ケイは夢を見ていた……ような気がする。


 久々に男と一緒に寝ている、そんな夢だ。

 自分は相当欲求不満なのかと苦笑する。



 目を開けると、ケイを見ているシームァがいた。


 シームァに腕枕されていることに気づき、起き上がろうとした。

 途端にぐらぐら目まいを感じ、またシームァの腕に頭を下ろしてしまう。

 ムリに起き上がろうとしたが、やはり目まいは続いていた。


 ケイは、シームァの腕でため息をついた。



「ムリしないで。私たちのためにありがとう」

 シームァの言う『私たち』の意味がケイにはわかる。


「目の調子は?」

 聞かれ、シームァは部屋の天井を見て、窓の外を見て、ケイを見た。


「まだ慣れないけど、ばっちりよ」

 シームァは微笑んだ。


「この子も、あなたが気に入ったみたい」

 シームァは左手の平をケイの頭にのせる。


「この腕、いい寝心地だね」

 ケイは起き上がるのをあきらめ、そのまま腕の中にいた。


「彼かな、彼女かな、名前は?」

 ケイは、自分の頭の上にのせられたシームァの手を握る。

 この手はシームァの手であり、そこに存在するモノの手でもある。


 シームァは、彼女の中に巣くうモノの名前を告げる。

 それを聞くと、ケイは腕枕されたまま眠っていた。




     * * *


 次の日、キョウ・テセティアの家の前――。



 キョウが拍手していた。

「素晴らしい演奏。どこでそのバイオリン習ったの?」


「ありがとう。小さい頃習ったのと後は独学だよ」

 バイオリンを演奏し終わったクラルがそんなことを言った。


 クラルは、壊れたバイオリンケースを取りに来たわけだが、キョウに一曲リクエストされ演奏したのだ。

 演奏が終わると、キョウは一旦、家の中に入った。


 一緒にいたシームァもその演奏を聞いていた。

 今日は子どもたちがいないようだ。

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