そういう設定
パースがシームァを連れて行こうとする。
「ケ……クラルさんは?」
「僕は中央の広場にいるよ」
「うん、わかった」
「クラルさんていうんだ? 大丈夫、あんたのパートナーに手出したりしないから」
パースは、二人を訳アリカップルだと誤解してるようだ。
そして、シームァはパースにつれられて行ってしまった。
それをクスナは何だか名残惜しそうに見ていた。シームァともっと話がしたかったようだ。
「二人きりだね」
ケイはそんなことを言って、クスナの手を握ろうとした。
クスナは一歩下がる。
「エルフ?」
手を握られるのを避けたというより、ケイの姿をよく見るため一歩下がったようだ。
「どうだろうね? ご先祖様にエルフもいたみたいだけど? なんだい、エルフフェチかい?」
「そういうわけでは」
「知り合いにアルフさんがいるの?」
「えぇ、まあ」
「ふうん? エルフの中ではアルフって苗字は多いみたいだよ」
「そうだったんだ」
クスナは感心したようにケイを見ている。
その表情はまるで好奇心旺盛の少年のようだった。
少しでも雄としての本能を魅せつけてあわよくばキスでもしてやろうかと思ったケイだが、少年くさいクスナの表情に拍子抜けした。
「歩きながら、話そうか?」
「えぇ」
二人は」歩き出した。
「中央の広場で何を?」
クスナが尋ねる。
「バイオリン弾くんだよ。僕は旅の大道芸人だからね。おひねりいただいて次の旅先へ行くんだよ」
それを聞いて、クスナは吹き出した。
「そういう設定なんだ」
クスナは笑っていた。
これが素のクスナなんだろう。
素のクスナを観察して、ケイは気づいた。
クスナの魔力。
とても強い。
今まで気づかなったのが不思議なくらいだ。
今まで気づけなかったのは、クスナが本来の魔力を発揮できていないから。
ルウの地の魔脈の影響だろうか。
クスナの本来の魔力はどの程度のものか。




