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月色の砂漠~コーヒー売りはチート嬢~  作者: チク


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赤い瞳


「……うん」

 言いよどむシームァははずかしそうに頷いた。

「昨日の、今日もするの?」


「きみの目を治せる可能性が少しでもあるなら、それに賭けたい」

 ケイの説明にシームァはこくりと頷いた。


 そこはケイも責任を感じていた。

 奪われた機械の目、それがわからず彼女の生まれつきの目を回復魔法で強引に治したわけだが……

 本来のほとんど視力のない彼女の目にしてしまった。


 故郷に帰れば、シームァの目は新しい機械の目にすることも可能らしいが……

『手術って怖いの』

 昨日の夜、シームァはそんなことを言った。


 麻酔で眠る時、必ず見る夢があるのだという。

 黒い闇に飲み込まれて身動きできない、そんな夢。

 体内の機械部品が不調の度に修理し、修理中に眠ってる時はほぼ毎回そんな夢を見るのだという。


 ケイも似たような夢を見た。

 有無を言わさず、暗いモヤに包まれる夢だ。恐怖と孤独に押しつぶされる。


 あんな夢は二度とごめんだし、しかもそんな夢を毎回見るなんて……



「さ、おいで」

 ケイはシームァをベッドに誘う。

 これが相手が男だったら、ケイの理性がぶっ壊れるところだが、女相手にそんな感情はなかった。

 シームァが女でよかったと思う反面、残念な気持ちもあった。


 二人はベッドに腰かけ、向き合う。

「僕の目を見て」

 と、ケイは言う。


 ケイはシームァの両肩に手を置き、両目を見ていた。

 シームァはやはり恥ずかしいようで、うつむいてはいたが、ケイの目を見ていた。

「右目じゃなくて、左目で」

 言われ、シームァは自分の手で右目を塞ぐ。


 ほとんど見えてない。

 ほぼ黒い世界の中に、赤い瞳が見えたような気がした。

 シームァは不思議に思い、右目で見てみた。

 自分を見ているケイの瞳は黒だ。


 見えない左目に意識を集中してみる。

 見えないはずのケイの瞳が見えていた。

 赤い瞳が煌々と輝いてる気がした――。


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