第7話 友達の友達は、友達になれる可能性のある人
テストもあって、学校生活にも慣れてきた頃…
「貴女が宗谷さん?噂は聞いているわ」
春香ちゃんが突然連れてきた女の子は、眼鏡をかけた真面目そうな子だった。
「あ、はい。そうですが、何か御用ですか?」
春香ちゃん以外に話しかけられることがなかった私は、緊張してしまって、ちょっと怒ったように返事してしまった。
「ああ、ごめんなさい突然。私は1年の福島雅というの。よろしくね。それで、ちょっと初対面でいきなり言いにくいんだけど…」
彼女は少し逡巡して、言った。
「あなた、文芸部なのよね?私は生徒会会長選に立候補するのだけど、そのスピーチ原稿を書いて下さらない?」
「え?ああいうのって、先生が書くものだと思ってました。生徒が書くものなの?」
「ええ。私の事をそんなに知らないと思うから、無理にとは言わないんだけど…初対面でこんなこと言うのも何なのだけれど、私、友達が少なくて…」
ああ、この人も私とおんなじなのか、と親近感を持った。
「それで、谷さんに相談したら、あなたに聞くといい、と言ってくれたから、ダメもとで聞きに来たというわけ…今すぐ返事しなくてもいいから、気が向いたら返事してくれたら…」
「やるわ」
「え?」
「私も友達が…えっと…その…少なくて(ボソボソ)…そんな時に春香ちゃんが話しかけてきてくれたから楽しくやれてるから…その…あなたの力になりたい」
「ありがとう!そう言ってくれると嬉しいわ。それじゃ、よろしくね、房子ちゃん」
「こちらこそ、ええと、雅ちゃん」
お母さん、ここに来て友達が増えました。
雅ちゃんは見た目の通り、真面目でまっすぐな子だった。この学校をよりよくしたい、楽しくしたい、面白くしたいと思っていた。入学式、卒業式、体育大会、合唱コンクール、文化祭などの行事や、部活動予算の見直し、夏休みの教室解放と特別授業の充実化、他にも学校清掃活動やボランティアについても意見を持っていた。まだ1年生なのに、この学校のことがよくわかっているんだなぁ、と感心した。
彼女の人となりを聞きながら、スピーチの内容を考える。時々記す手を止め、雅ちゃんに確認する。
OKをもらって、また書き始める。誤字脱字にも注意しつつ、書く、書く、書く。1年生の立候補というのは前例が少ないし、当選例はまだない。つながりが少ない低学年生だと、上級生からの支援も得られにくいし、仮に政策がよくても、選択は安全策を取る人の方が多い、高学年のほうが安心だと考え、低学年は同じ土俵に上がることすら許されない。そんなこれまでを打開するには、全てを惹きつける様な、そんなスピーチでなくてはならない。だから、私は文芸部の仲間にもヘルプを頼んだ。




