第3話 ふと叫んだひとことが変えてしまっていた学園生活
小学校の入学式、くしゃみをした女の子がいた。
溜が長いくしゃみだった。顔が醜くゆがんでいた。そりゃ誰だってくしゃみするとなったら変な顔になる。そこで俺は思いっきり行ってしまったのだ。
「ぶっさいくだ!」
後で大目玉食らったのは言うまでもない。それ以来彼女は笑わなくなった。皆がブサイクブサイクというので、自分に自信が持てなくなったのだろう。
俺は駆け回った。本人には、その日に謝れなかったことがきっかけで、嫌われたくなくて(あんなこと言った手前嫌われてないほうが不思議だが、それ以上嫌われたくなくて)、今更謝れなくなってしまっている。だから、せめてその汚名を払拭しようとした。頑張ったのだが…俺一人の力なんてたかが知れている。今から変えるのは無理だと悟った。
ただ、人のうわさというのはなくなるのも早いものだ。ブサイクと呼ぶ子は次第にいなくなっていった…らよかったのだが、うちの地域で大きな話題になってしまった。やれ「イジメだ」とかやれ「言い出したのは誰だ」なんてなってしまうと、出ていくに行けなくなってしまう。
同級生で彼女をブサイクと呼ぶ子どもはいなくなっていったが、入学してきた下級生にとってはこれまでの悶着などお構いなしに噂していた。「ブサイクっていう子がいるんだって」「え!どんな名前なの?」「しらないけど、ブサイクって呼ばれてるとか…」彼女が横を通っていても、別に名前が知れ渡っているわけでもないので完全にスルーすることになる。ただ、それを彼女がもし聞いていたら…
彼女は友達ができなかった。というより、あまりにもきれいな彼女に、誰も手を触れようとしなかったのだ。自分がかかわることで、彼女の美しさがくすんでしまうような気がした。皆、彼女に羨望の目を向け、あるいは神々しい何かを見るかのように、彼女を扱った。
一人で帰っている彼女を見て、心が痛んだ。もとはといえば俺のせいだ。今日こそいうぞ、今日こそと日々が過ぎた。
結局謝れないまま、卒業の日を迎えた。
中学に入って、また彼女と同じクラスになっていた。引っ越していかなかったので、安堵した。席が近かったら、まだ謝れたのかもしれないし、逆に近いからこそ謝りにくかったかもしれないが、どちらにせよ俺は謝罪ができなかった。
今日も謝れないのだろうな…諦観を持ちながら、俺は今日も学校に向かった。
これを出すのは早い気もしたのですが、とっととアイディアを出してしまわないと、鋭さがなくなってしまうような気がしました。




