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王女は侍女  作者: 大木鈴
3/3

後編

これで最後です。ご愛読ありがとうございました。

フランはその後の事を良く覚えていない気がついたら働いていた。

(習慣っておそろしいわ) 

と、思いながらも当然仕事に身が入らない、サマンサ先輩に怒られ今は裏方の仕事をしていた。


大量の食器の皿洗い本来フランがする仕事ではないが普段の仕事ができないのだから仕方ない。


「もしかして…わたし戻れないの?」


と一人呟くが当然誰も答えてくれない。


結婚式は式が終われば即終了とは行かずそのままパーティーが始まりそれは夜遅くまで開催される。


大人しく皿洗いをしていると騒ぎ声が聞こえた。


「いけません姫様お戻りになられてください」


「嫌よ、ここにフランが居るのでしょう早く通して」


「姫様!何故ここに」


いきなりの姫の登場にフランは驚いた様子だ。


「何故ってフランがいきなり居なくなって式の最中もいなかったし私フランが何処かに出て行ったんじゃないかって心配したんだから」


サーシャ王女はこらえきれずわんわんと子供の様に泣いてしまった。


フランはたまらずサーシャ王女の元に駆け寄る。


「私が姫様の元を去るだなんてありえません。確かに落ち込みましたが何処かに行くだなんて…私は王女付き侍女ですよ、姫様に首だと言われるまで何処かに行ったりなどしません」


「フラン〜」


そう言うなりサーシャ王女はフランに抱きついた。


厨房でのいきなりの出来事周りの面々は何があったのか理解できずポカーンと眺めるだけであった。




______


数ヶ月後


「私決めました」


「何を決めたの?」


サーシャ王女はフランに聞いた。


「私、この道を究めますわ。そして生まれてくる子供に道を間違えない様に二度と私みたいな被害者が出ない様にします」


「じゃあフランに生まれた子供の世話を頼もうかしら」


サーシャ王女は自分のお腹を大事そうになでながら言った。


それからのフランは誰の目にも分かるくらい懸命に働いたまず生まれた子供、王子ロイズとロイズの妹のルーシーの世話係、王女付きの侍女の育成教官、魔族&魔物討伐。


気がつけば婚期を逃すどころか男達に恐れられるくらいの人物になっていた。


「はあ…私ももう27歳か…」


フランはため息をついた。


「なに言っているのよまだまだこれからよ」


サーシャ王妃は励ますように言った、ここ11年で変わった事と言えばアルクス国の国王が2年前に隠居しハロルド殿下が正式に国王になったことだ。結局記憶は戻らなかった。

フランが律儀に出していた手紙は誰にも読まれていない形で大量に発見した。フランは当然秘密裏に全て捨てた。


今年で生まれた王子は10歳になり翌年生まれた姫は9歳になった。何の因果か生まれた姫はフランと同じ日だった為姫を祝うと同時に自分の年に気づきへこむフランだった。


_______


今日はルーシー王女の誕生日、誕生日パーティーは毎年盛大に執り行われる、グランダルタ国の現国王であるサーシャの兄ベルサスと王妃、ロイズと同い年である第一王子クロウド、隠居した両国の国王並びに王妃。

アルクス国5人兄弟全員勢揃いする。もちろん全員勢揃いすればその子供達も勢揃いする訳で大変な事になる。


「フラン、私達の事は良いから自分の為に生きて良いのよ、結婚とか結婚とか結婚」



「嫌がらせですか、そうは言っても婚期のがしちゃいましたし、といっても私なんか貰ってくれる人なんか居ませんけど…」


と、フランはいじけた様子で言った。


「じゃあ僕が貰ってあげるよ」


と言ったのはグランダルタ国第一王子クロウドだ。


「はいはい、クロウド殿下が大きくなったら考えますよ」


となれた様子でフランは答えた、それもその筈クロウドは自身が4歳のとき初めてフランに会った時から結婚しようと言っていた。


フランは毎回適当に返すが彼は本気だ。


「僕はもう11歳だ大きくなっただから結婚しよう」


あまりにも毎回真剣に言うクロウド殿下にフランは少々困っていた。


「結婚しちゃえよ」


サーシャ王妃は無責任な事をさらりと言った。


「なに言っているんですか、あんたの国の後継者でしょうが!」


付き合いも長くなると遠慮もなくなるようでフランはつい口調が荒くなる。


「確かに前は私の国だけど今は違うもん」


「こらこらサーシャあんまり無責任な事を言ってはいけませんよ、それに口も悪いですよ」


「ハロルド様!」


サーシャ王妃は顔を赤くしてうつむいた。


なんだかんだ合ったがこの二人は今では周りがうざがるほどのラブラブ夫婦だったりする。


「むー、フラン嫌い」


フランは声がした方を振り向いた、そこにはルーシーが口を膨らませて怒っていた。


「クロウド様は私と結婚するの」


「ルーシー様心配なさらないでください、私は27歳ですよクロウド殿下とは年が離れすぎています、だから結婚とかあり得ませんし、もし年が近くても身分が違うので無理です。分かりましたか」


「身分なんか関係ない年なんか関係ない」


クロウド殿下は叫ぶ。


このやり取りを合うたびにしている気がするとフランは頭を抱えた。


「ふぉっふぉっふぉ、フランはモテモテじゃのう」


会話に割って入ってきたのはアルクス国の元国王だった隣には元王妃も居る。


(お父様…お母様) 


フランは心の中で呟く結局この11年間サーシャ王妃以外に秘密を打ち明ける事は出来なかった。


元国王が来てしまったため、自然と周りの目線はフランに集まる。


フランは恥ずかしがってうつむいてしまった。


そこで機嫌が悪くなったクロウド殿下がフランの手を引いた、バランスを崩したフランは尻餅をついてしまう。


クロウド殿下はその隙を逃さなかった、すぐさま尻餅をついているフランに近づきキスをした。


「な、ななななな何をなさるのですかクロウド殿下」


いくら子供とは言えファースキスを奪われたのだ、フランは真っ赤になり抗議の声を上げた。


(あれ…クロウド殿下こんなに大きかったっけ)


周りを見回すと皆びっくりした様子でフランをじっと見つめている。


「フラン、顔、身体」


サーシャ王妃が驚いた様子でフランに言った。


「身体?顔?」


自分の顔を触った。


(あれ?小さい)


自分の身体を触った。


(あれ?子供)


完全に思考停止状態に陥ったフランにサーシャ王妃は手鏡を見せた。


「ももおもおもももおおもも、戻ってる〜〜〜〜〜」


フランはたまらず叫び喜びを分かち合うかのようにサーシャ王妃に抱きついた。


「やったねフラン戻った戻った、でも身体隠した方がいいと思うよ」


フランは自分の身体を見た、着ていた服はサイズが合わなくなり脱げていた。


「ぬうおおおおおおお〜〜早く言ってよ〜」


フランはすぐに自分が来ていた服で身体を隠した。


「って何で成長してないの?」


と、フラン。


「さあ?」


とサーシャ王妃。


「これで結婚できるね」


とクロウド殿下。


「いやいやいや、身分が…」


とフラン。


「フローラル、フローラルが帰ってきたぞ」


と元国王。


「これで結婚できるね」


とまたまたクロウド王子。


「いやいや、結婚はそう言う問題では…」



これからもフランの受難はまだまだ続く。


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