第三章 2
その後の千佳はどんどんもう一つの人格に覆われるようになっていた・・。
薬や呪文の効果により自我と呼ばれる人格が強くなり始めた・・・
その反面、京介の知らない所でも自我と本体の人格のせめぎ合いがあった・・・
やがて、千佳は「㈱ MIO」を退社をせざる負えない状況まで体が薬に蝕まれ始めた・・
そして京介に異常な執着をし始めた・・・
『きょうすけしゃん・・きょうすけしゃん・・・』
千佳は退社後、部屋で一人で過ごす事が多くなっていた・・
千佳の普段は自我がメインで動く様であった・・。
部屋をキョロキョロして京介の存在が無いと
壁に貼り付けている写真を眺めては名を呼んでいた・・
「京介しゃん・・大事・・・」
京介の千佳への意識が多少変化してきたのもこの頃からだった・・
微妙な自我と本体の兼ね合いが
京介の心を動かし始めた感じであった・・
自我はつまらなかったり、空腹になると本体に体を渡すようにしていたようだった。
在職中は本体をキープしながら自我で制御をしていたはずだが
それも薬の量を増やしたことにより、自我自体も少しブレが出始めていた・・・
そこを見越し退職をさせたのも事実であった・・
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千佳は時計を見た
「夕方・・・だ・・」
「ご飯・・作る、ちぃ作る・・」
本体を呼び出した・・
自我と本体の会話が出来るのは本体の人格の時だけであった・・
「何が食べたいの?」
「はんばーぐ」
「昨日も作ったばっかりだよ・・・京介さん・・いやかも・・」
「ちぃ、はんばーぐ・・」
「そう・・じゃあ・・ハンバーグと何か作ればいいね」
「うん だいじぃ」
「(笑)うん」
自我はまるで子供だった・・・
会話は本体の人格・・
制御は自我の人格・・
本体の千佳はとてもやるせない気持ちになる時もあった・・
でも・・自我を怒らせると自分は消されるかもしれない・・・
会社を辞めてしまった今、自分の記憶や存在価値は必要無いかも知れない・・・
そう言った恐怖感も拭いきれないでいた・・
『ただいま・・』
『あっ。京介さん(*´∀`*)』
『どうだ?体調の方は?』
『薬飲んだから・・今、食事を作ってます。あの・・もう一人が・・どうしてもハンバーグって・・だから、今、違うのを作るとこだから・・待ってくれますか・・』
少し申し訳なさそうに千佳は言ってきた
『ハンバーグか(笑)昨日と同じだな・・余程、気に入ったんだろう(笑) いいよハンバーグで』
自我と本体の付き合い方・・・
京介は手探りで探るように対応していた・・
ただ単に優しくするのでは無く・・
「知る」と言う事を重要視していた。
千佳は台所に向かい料理を始めた・・・
夕食の準備が終わるとテーブルに運び食事を始めた・・
『もう一人に変わります・・』
『あぁ』
『きょうすけしゃん(*´∀`*)おかえり!だいじ!はんばーぐ!おいしぃ!』
『そうか良かったな(笑)ハンバーグ好きなんか?』
『本体!料理じょうず。はんばーぐ好き』
『仲良くやれそうか?』
『うん(*´∀`*)』
『そうか 安心したよ』
『うん(*´∀`*)』
自我の千佳は夕食を美味しそうに食べるとゴロゴロ甘え出してきた・・
『千佳・・・』
ゆっくり頭を撫でると自我は子供様な寝顔でスヤスヤと眠りはじめた
そんな千佳を見ていると京介は時としていたたまれない気持ちにもなった・・
「自我・・本体・・怒り(サタン)・・・か・・・」
禁断の傀儡術。
薬物と呪文でのマインドコントロール・・
本来の千佳の姿は本体が一番近い・・・
だが、必要の無い記憶はほぼ消された状態・・
記憶喪失にも似た状態に、新たに人格を形成した形であった・・
最後は破滅的な結末を迎えるであろう・・究極の傀儡・・
何故、こんな禁じ手を使ったのか・・
それすらも分からなくなっていた・・
傀儡に取り込まれる傀儡師・・・
さもそんな感じであった事に京介自体が気づいていなかった・・
千佳は数分後目を覚ました・・・
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