おじさんと天然ちゃん
どこかできいた、愚かな騎士と哀れな姫の物語を・・・
その騎士の役目は王を守ること。姫の役目は、他国との平和のための材料。
「規則を破ること、どうかお許しを!」
姫は城を抜け出して私のもとによく来る。姫が城から出てきているのを真っ先に発見したが、報告はしなかた。もっと、庶民たちの生活を知ってもらえば、苦しみをわかってもらえれば、国がよりよくなることをしんじていたからだ。息抜きも兼ねている。最近は隣国との関係がうまくいってないようだ。隣の国は姫を嫁にほしがっているだが、王は他の国の嫁にしたいようだ。こんなことを続けていれば、そのうち戦争にもなりかねない。緊張感が国の中にも漂っている。しかし、姫ときたら、どれだけ能天気なのだろうか。
しばらく姫の姿を見ない。噂によると、城を抜け出ていたことをばれたようだ。
おっちょこちょいで、そのうち見つかるとは思っていたが・・・・
「王がお呼びだ、こっちにこい」
「はい、団長、何かあったのでしょうか」
なにも言わない団長、普段はもっと話す人なのだが。
謁見の前に身だしなみを整え、入る。
「皆、下がれ」
その場は私と王のみになる。
重い口を王が開く、「姫と仲良くしているようではないか」
「な、なぜそのようなことを」、一瞬言葉をうしなった。
「別に良いのだ、今回呼んだのは隣国までの護衛を頼めるかということだ」
「はっ、なぜ私なんかにそんな重役を・・・・」
「君を娘が信頼しているからだよ、それ以上の理由はない。わかったな」
「はい、その役目果たさせてもらいます」
そういって謁見の間をあとにした。
「娘よ、本当にあのものとでよいのか?」
「いいのです、父上。あの方は誰よりも優しい」
「隣国へは、行かずに遠くに行くとよい。娘の頼みは断れん」
「ありがとうございます。この御恩一生忘れません。育ててくれてありがとう父上」
その夜は、眠んぬものだった。
出発の時刻。姫の姿は見えない、どこにいかれてしまったのだろうか。
まさか、誘拐など・・・考えていてもしかたない。
先に、馬車に乗るなど無礼ではあるが少し待つとしよう。
・・・・・ガタッ・・・・・いつの間にか寝ていたらしい。
ちが、馬車が進んでいるではないか
「止めろ!この馬車を止めろ!!」
「もう、はるかかなたですよ?父上のいる国は」
「姫?なぜこんなことを」
「いいの、ゆるしはもうもらっていたし、あなたの了承なしでごめんなさいね?」
理解ができなかった。でも、なぜか悪くはない気分だった。
何もかもどうでもよくなるくらい、幸せだ。
「規則破ること、どうかお許しを」