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マタギ

「それより、鍵を返してくれ」

まだ鍵を返してもらってなかったので返却を求める。


「それより居場所ってどこなの?」


「シャルの街に俺が住んでる家があるからそこに来い。俺は調査して帰るから先行ってていいぞ」


このフレヘルに足止めを食らったせいで調査は全然進んでいない。そういえば何でこの食堂に来てたのかすら忘れていた。


そういえば俺は腹が減っていたのだった。


「調査?」


「祟りの調査だよ。俺はギルドの調査で来てんの」


「ふーん。じゃあ手伝う」


そう言うと私強いですよアピールで力こぶを見せる。


「嫌だよ。俺はソロプレイでやるんだ。誰かとマルチプレイは性に合わない」


「プレイ?えっちな話?」


「いやなんでだよ」


「少年、デリカシーというのを学ぼう」


「だから…ソロプレイは1人でクエストを攻略することでマルチプレイは誰かとクエストを攻略するってことだよ」


はぁ。フレヘルと居るとなんか疲れる。


「なんだ健全な話か」


「俺はいつだって健全だ」


「いやでも少年はそういう時期なんじゃないの?普通はその時期の子だと、えっちな本とか隠して持っているとかあるじゃん。少年も同じで頭の中ピンクじゃないの?」


「誰がピンクだ」


まったく…変な勘違いしてもらって困る。俺は健全だ。


「だったらそういうフレヘルこそどうなんだよ?」


「普通にピンクだけど」


「はぁ?」

思わず困惑してしまう。


もっとさ…困っている様子見たいじゃん。というかなんで普通に言えるのかね。


「というか少年はデリカシーないって言われない?」


「いや…言われたことないが…」


信じられないと思うがセリアとかおばちゃんにも言われたことないぞ。てか俺は誰に話してんだ?


「本当は思っているけど傷つけるから言ってないだけじゃないの?」


「ああ!!もう。早く鍵を返してくれ!!」

その言葉を遮るようにそう言い放つ。


「はいはい。渡すから…」

そう言ってポケットから鍵を出し差し出す。


鍵を取り、背を向けて食堂を出るのだった。



部屋に戻った俺は腹が減っていた。だが食堂に行っては戻ってを繰り返していたため、正直行きづらい。


ならば持ってきた物で食えるものはないかと探す。

水に、手袋に、着替え、パンが出てくる。


「パンだけだとな…はぁ。現地調達すればいいっていう考えが甘かった」


それに誰かさんのせいで余計に体力を消耗してしまったからたくさん食べたい。


どっかに店はなかったか?と部屋の窓から外を眺める。


「酒場はあるけど…入れないからな…。お。鍋料理屋があるぞ。そこにするか」


早速、外に出ようと部屋のドアを開けようとドアノブに触れ開けようとするが…

「待てよ…何か嫌な予感がする。このまま外に出たら何かあるんじゃないのか?」という考えが脳裏に浮ぶ。それがなんなのかわからないが危ない予感だけがする。


だが俺の直感は打率 .250くらいだから何とも言えないんだよな。だが直感を信じるか、信じないか…。

うーむ。よし、凡退すると考えるか。それに俺は猛烈に腹が減っている。行くしかない。


唾をゆっくりと飲み、ドアノブを開ける。



・・・・よし。何もなかった。


ふぅ。と一呼吸する。


だがまだ安心できない。慎重に警戒しながら階段を降りろ。


一歩一歩、慎重に階段を降りる。



「あら、お出かけですか?」


その言葉に一瞬、ビクッとするが受付の人だと気付くと冷静になり、「ええ」と答える。


「ではお気を付けて」


「はい」

そう言って、ドアノブに手をかける。


ゴクリとまた唾を飲み込んでドアを開ける。


・・・・大丈夫…か?


「おい!眼帯を探せ!」


よし。誰かを探しているようだが俺じゃない。ひとまず安心。


「居たぞ!!お嬢様の命令だ。捕獲しろ!!」

すると俺を指さし、走ってくる。


「はあ!?」

訳もわからずとりあえず逃げるように走る。


どうやら打率 .250が逆転のタイムリーヒットを打ったらしい。


というかお嬢様って誰だ?うーむ。

と逃げながら考える。


すると数時間前の記憶がフラッシュバックされる。


その記憶は崖から落ちてきた人をナイスキャッチしたところだった。


やっぱりお嬢様の人だったのか…と思いながらもなんで追われるようなことになっているのだろうと考える。


やっぱり気に障ることをしてしまったのか?うーむ。わからん。


「あ。少年。待って!!」

フレアも追ってくる。


どうやらその次の打者がダメ押しのホームランを打ったらしい。


「こうなったら……」

奥の手を使うしかないというのか…


その瞬間、ルルは目にも止まらぬスピードで走り出す。


説明しよう!クロックアップした俺は人間を遥かに超えるスピードで活動することができるのだ!

というのは冗談で、実際は何のからくりもなく、ただ足が速いだけである。


「速すぎだろ!」

その目にも止まらないスピードに追ってきた人は止まってびっくりすることしかできなかった。



これなら追手を撒きながら鍋料理屋に行ける。とそのままのスピードで鍋料理屋に行く。


鍋料理屋の前に来ると靴底を地面に擦り、摩擦を起こしながら急停止する。


「ふぅ。なんとかなったようだ……。だがさらに腹が…減った」


早く入ろう。


ガラッと扉を開ける。


「いらっしゃいませ。席はご自由に座ってください」


目の前の4人席に座り、メニューを見る。


鹿鍋に…豚鍋…うーん。


考えていると客の声が聞こえる。

「やっぱここは鹿鍋だよな」


「そうなんだよ。で食いながら酒飲むが美味いんだよ」


「昼間から飲むのかよ」


この店の人気は鹿鍋なのか…よし鹿鍋にするか。


「すみません。鹿鍋で」


「はーい」


その会話をした後、店内を見渡す。

店内は大衆食堂って感じで店内は暖かかった。


一回り見た後、水が入ってあるポッドからコップに水を入れ、一息つく。


「ふう。やっと一息つけるぜ」


コップを持ち口をつけ、冷たい水がのどを通り過ぎる。


全速力で走ったからかめちゃくちゃのどが渇いていて水が美味く感じる。まさに砂漠の中のオアシス。


さて…この後、どうするか…。調査って言ってもどうすればいいんだ?聞き込みとか?

でもな…これ以上何も聞けない気がするんだよな。なんていうか…壺と黒い服の連中以外の情報は出ないていうか…


「はぁ。どうするかね…」

そう息を吐いているとガラっと店の扉が開いて誰かが歩いてくる。

それに俺は気付かず、ずっと考え込んでいた。


目の前まで歩いてきているがそれにまだ気付いていなかった。


すると足音はスッと止まる。

「見つけた」


その声にやっと気付くとゆっくりと顔を上げる。


「え?さっきの…」


そうだ。さっき助けたお嬢様だ。

そしてそのお嬢様は向かい側の席に座る。


「な…なんでここに?」


「この店に入ったと情報がありましてね…。ここに出向いたという訳です」


「情報?」


「ここは私が経営する店の一個なんですよ。なので情報は筒抜けって訳です」


やはり権力者は怖い。それ尽きる発言だった。


「で…俺に何の用?」

震えながらそう言う。


怖かった。何をされるかわかったもんじゃない。


「お礼をしたいだけなんですよ。なのに逃げてしまうから…」


「お礼?」


「はい。助けてもらったお礼をしたくて…」


それはお礼という名の拷問ということか!?ここは丁寧にお断りをしなければ…


「いや。いらん」


「とは言っても私は命を助けてもらったんですよ!?何かしないと私が嫌です」


「いやいいです」


そんな会話をしている最中、店員さんが鍋を持ってくる。

「お待たせしました。鹿鍋です。これから鍋で温めますのでできるまでお待ちください」


「どうも」


店員さんが立ち去るとお嬢様が口を開く。


「ではお礼の一部として奢らせてもらいます」


「いやギルドから支給品で金をもらってるからいいよ」


「なるほど経費で落とすからいいと…ではどうしましょうか」


「そのさ…俺はギルドの調査で来てるからさ。この街のことを聞かせてくれない?それがお礼でいいから」


「なるほど…。では役立つかわかりませんが……」


「この辺は結構変わりましてね…。元々現れなかった鹿や熊が現れましてね。その影響でマタギが流行っているんですよ」


「そうそう。ほとんどの人が狩りをしているよ」

と隣から声が聞こえる。


隣に人が居たっけと振り向く。


「うわ!?なんでここに居るんだよ」

フレヘルだった。


フレヘルはいつの間にか隣の席に座っていた。


「追ってきた」


「あの…そちらの方は」

困惑した様子で俺に話しかける。


「フレアって言うらしい。それ以外知らん」


「知らんって…。あんなに語り明かした仲だと言うのにそれはひどいよ」


「おい!含みを持たせるな。紛らわしくなる」


とフレアの謎の乱入により状況は面倒くさくなったのだった。

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