序章
「私はあの場所には戻らないだろう。彼らがいくら願ったとしても。
なぜならば、あの場所は生贄によって立つことができていた場所であるがゆえにーー」
ーーそして、報復の焔は灼き尽くすまで決して消えはしないーー
sept
1人の犠牲によって彼らは立つことができていた。
six
1人の犠牲がいなくなったことで彼らは立つことができなくなった。
cinq
犠牲者になれる者たちは等しく離れ去っていった。
quatre
残された者たちが描いていた未来は殺められた。
trois
過去の残照(光)を見つめていても時の流れは残酷に進んでゆく。
deux
そして、過去の罪は清算されることは決してない
un
灼き尽くし、屠り尽くされることによってのみ、直視することによってしか晴れることは無い。
zèro
すでにもう手遅れでしかないのだが。
見ているつもりの者たちは等しく気づかされることになる。本当は見ていなかったことに。
見ていた者たちは夢想を見ていた。されど、見切りを付けられていることには瞑っていたのだ。
突き付けられれることによって、その時になって初めて思い知らされる。自分たちの脆弱な土台を。
「人は平等ではない。
誰もが違う価値観を有している。生活環境の違い、考え方の違い、能力の違い。
それらから、多様性が生じているのだ。
そう、この世界は同じ価値観を、同一の考えなどは、細部には無い。
全てが1人の人間の思うままに行くと思うだろうか。
思うままに行かせようとして、王冠を被っている。
欺瞞と嫉妬で塗り潰された虚構の冠をだ。
思考の肥満で思い上がった幼稚には考えられもしないだろう。
嫉妬で八つ当たりしても無意味に散る。
他人をコントロールすることなど、愚の極みそのもの。
自己陶酔を満たすための言葉に、成功は宿らない。
立ち上がるのだ!!
挑み、脱し、吐き出し、乗り越える。その果てに未来はある!!
ドゥム・ブルッド・レビィアタン!!!!」
自分たちの罪を思い起こされ、報復の焔に灼かれゆく。眼球を抉り出されるその痛みは誰も共有されることは無い。
最悪の未来の訪れに灼かれる痛みに苦しみながら、日々を過ごしていく。夢想の花は散っているのだから。
種を蒔いたとしても、強風によって吹き散らされている。望まれていた場所に落ちることは無い。
「彼ラハ見ルコトガデキナカッタ 瞑ルコトデ逃ゲヨウトシテイタ
吹キ散ラサレル哀レナキ種 瞑ルコトデ逃ゲヨウトシテイタ
直視スルコトガ苦痛ダッタ 瞑ルコトデ逃ゲヨウトシテイタ
犠牲者ニヨッテ立ッテイタ 瞑ルコトデ逃ゲヨウトシテイタ
認メタクナイ残酷ナ事実 瞑ルコトデ逃ゲヨウトシテイタ
暴カレタ必要枚数ニ膝ヲ付イタ 瞑ルコトデ逃ゲヨウトシテイタ
サクリファイスハモウイナイ 瞑ルコトデ逃ゲヨウトシテイタ
サレド瞑ル時ハスデニ 終ワリ迎エテ 直視ル時ダケガ待ッテイタ」
どんなに凋落の流れを止めようとしても止める力はすでに無く
ナホムの洪水によって次の犠牲者たちは流れ去った
1人の犠牲者を切っ掛けにして 1人の犠牲者に続くようにして
信頼の金貨を空っぽにしたように 彼らは吹き飛ばした
その因果が巡ってきたに過ぎない 報復の焔は望んでいた未来を灼き尽くす
偶然の一言で片付けることはできない 嘆いた処で手遅れと成り果てた
絶望が胸中を推し寄せる 希望の焔は残照になっている
波のように静かに打ち寄せる 老いた鉄によって下らせることになった
禁じられた密集 病魔の牙がその柔肌に噛みついていく 嘲笑うかのようにして
如何なる策を巡らせようとしても 戦槌が打ち砕いていく 残酷なまでに
無謀の策略 哀れなのは誰なのか 如何なる防壁も役に立たない
人形が笑う 嘲る その嗤いに耳を塞いだとしても 脳裏にこびりついていく
膝を屈し、耳を塞ぐ されども巨山は積み重なり続けていくばかり
犠牲無けば立てぬことを思い知らされる 刻み込まれる 骨髄に至るまで
焼き印を押される 肝臓に 見えざる焼き印を 目を瞑り続けた者たちに
否定しても さらなる否定によって 肯定されていくという事実
沈黙させられるのは目を瞑り続けた者たち
彼らの主張に耳を傾けるとしても 判決は変わらない 努力不足を告げられるだけ
数多の嘆願によってようやく報われる けれども、白へ戻ることは決して無い
落ちていく 落ちていく 濃密な黒へと 墨を浴びた末に
漂泊することはできない 濃密な黒が 染み込んでいく
最悪の未来 上がることの無い金貨 下がることの無い仕事量
報復の灼き跡は黒墨へと変わりながら 描かれていくーー




