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異世界で冒険を! 昭和時代でスローライフを! オレたちの世界交換ファンタジア!  作者: タカハシあん


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第54話 開始 *純*

 家の前にはたくさんの人が集まっていた。


 田植えもだが、稲刈りも大仕事だ。すべて手作業なので人を集めなくちゃならない。親戚や知り合いが集まる。


 良二のところも奥さんの姉妹が集まり、その旦那さんも駆り出されている。


 ……どこも同じなんだな……。


「純!」


 呼ばれて振り向くと、三月と……見知らぬ女性、そして、五歳くらいの女の子がいた。


「三月、そちらは?」


「岡田しずかさんと登子《とうこ》ちゃんだ。昼食の準備に雇わしてもらった。十時とお昼、十五時にいろいろ出してもらう」


 こいつはどんだけ食欲魔神なんだ? これだけのために雇うとかやりすぎだろう……。


「しずかさん。こいつが本物の戸川純です」


 なんだよ、本物って? まあ、交換するんだから間違ってはいないがよ。


「は、初めまして」


「すみません。三月が無理を言ったみたいで。無理強いされたなら断っていただいて構わないですからね」


 三月の無茶に謝った。オレにも責任があるからだ。


「あ、いえ、無理強いではありません。伯母が商店街の旅行に行ってしまったので、三月さんからのお願いは助かりました」


 まさか、それってと三月を見た。


「さすがにそんな仕込みはしないよ。前々から計画された旅行だ」


 こいつならと思ったが、どうやらそうではないようだ。


「しずかさんの家は料理人の家系だから、美味しいものを作ってくれるぞ。煮物も前日から作ってくれたんたんだぞ!」


 なんでお前が胸張ってんだよ? 作ったのはしずかさんとやらだろうが。


「すみません、しずかさん」


 再度、頭を下げた。


「アハハ! 頭を下げられて偉いぞ~。オレは気に入らないことには絶対頭を下げないからな。強制するヤツは拳で黙らせる」


 まったく冗談に聞こえない。こいつは仲間たちと魔王を倒し、王国ともケンカして生き抜いた男だ。強制するヤツは本当に拳で黙らせることだろうよ。


「おはようございます! そろそろ始めまーす!」


 良二がやって来て、畑に移動した。しずかさんは、初子さんと食事の準備に向かった。


「純、楽しみだな」


「そうだな。宏子さんは、稲刈りをしたことはありますか?」


「ないです。小さい頃は山に逃げてましたから」


「山ですか。実家から山までかなりの距離がありましたよね?」


 二十キロはあったんじゃないか? 今のオレなら朝飯前な往復出来る距離にったがな。


「はい。朝に出て、夜には帰って来ました」


「オレも小さい頃から鍛えたかったです。二十歳を越えてからはなかなか体力がつきませんからな」


 宏子さんは、子供の頃から鍛えていたんだな。オレも見習わなければ。


 畑に着いて良二が段取りを説明。オレと三月、宏子さんが稲刈りを任せられた。


「畑ってどのくらいあるんだ?」


「このくらいの田んぼが八つだ」

 

「へー。意外と少ないんだな」


 三月には少なく見えるらしい。


「この人数で四日から五日は掛かるそうだ」


 十数人が集まっても稲刈りだけで四、五日は掛かる。オレの感覚ではかなり広いと思うんだがな。


「純。オレが稲を刈っていいか?」


「ああ。って、やったことないんだよな?」


「昨日、稲刈りしているところを見たから大体は理解した」


 まあ、稲刈りをしている家はある。見て覚えても不思議ではないか。こいつの場合は。


「よし! やりますか」


 体を動かし、鎌を持って田んぼに入る三月。次の瞬間、とても人間とは思えない速さで稲を刈っていた。


「……バケモノ……」


 そう言われてきた人が真のバケモノの前では小さく見える。まあ、オレなんかさらに小さく見えるだろうがな。


「じゃあ、オレたちは束ねましょうか」


 下手にあの速さの前に立つのは危険だ。牽かれないよう稲を束ねるとしよう。


 昨日のように急ぐこともない。宏子さんに束ね方を教えながらのんびりやるとする。

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