表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で冒険を! 昭和時代でスローライフを! オレたちの世界交換ファンタジアライフ!  作者: タカハシあん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
5/7

第5話 銀のスプーン *三月*

 話し合ったら昭和時代に戻った。畑仕事の約束があるからだ。


 戻ったら朝食の時間だったので、純さん──純もオレと代わることを承諾したことをとーさんとかーさんに伝えた。


「半年くらい準備期間にするから」


 そう伝え、畑仕事を手伝いながらオレらの引っ越しを行った。


「よくこの狭い部屋に閉じ籠っていられたものだ」


 四畳半の部屋にはたくさんの本が積み重ねられていた。寝るところもないじゃないか。なんの拷問だ?


「この狭さが落ち着いたんだよ」


 オレにはまったく理解出来ないが、それだけ精神的に追い込まれていたんだろう。


「ったく。付与魔法で拡張させるか」


「そんなことも出来るのか?」


「収納の指輪と同じ理屈だ。部屋を収納空間化し、外の窓とこちらの窓を繋ぎ合わせる。この通りにな」


 外からは三十センチ四方の窓だが、中からは二メートル四方の窓になる。まあ、明かり取りの窓なので外に出れたりはしないがな。


「ほんと、デタラメだな」


「慣れたらそんなもんだと思うようになるよ」


 純の荷物は収納の指輪にすべて放り込む。この指輪の収納量は小さいが、トラック一台分は入る。四畳半の荷物など余裕である。


 あちらの世界へと移り、収納した荷物を出してオレの部屋──ではなく、純の部屋となった棚に並べた。


「この棚に置いている限り、風化することはない。ただ、魔力を使うからたまに帰って来て、ここに魔石を吸収させること。オレも様子見に来るからさ」


 壁に埋め込んだ基となる魔石を叩いてみせた。


 純に魔力はないが、この世界には魔石がある。魔物を倒し、腹の中から取り出すという手間は掛かるがな。


「三月の荷物はないのか?」


「オレも大切なものは収納の指輪に入れてある。出ているものは好きに使ってくれて構わないよ」


「なんの道具かわからんな」


「ちゃんと教えるから大丈夫だ。ただ、あちらのように調味料は多くはない。料理をするなら買っておいたほうがいいぞ」


 長いこといたせいで、食事は質素なものになってしまった。慣れた、と言ってしまえば慣れたが、かーさんの料理を食べてオレのグルメ細胞が活性化してしまったよ。


 美味いものが食いてー! となってしまったのだ。かーさん。美味しいものを作ってくれてありがとう。


「てか、今いくらある? 昭和時代ではどう金を稼ぐんだ? ちなみにこちらの金はたくさんあるから好きに使ってくれて構わないから」


 金はあっても欲しいものは買えない。味噌醤油がない。美味しい野菜も美味しい肉もない。野性味あるものばかり。ここに移ってからは完全自給自足だし。


「……凄い金貨だな……」


「魔王退治時代に稼いだものだ。まあ、周囲数百キロで使える場所はないがな」


 魔境とも秘境とも呼ばれる場所だし。行商人も来てくれないし。


「金貨か~。ネックレスなら質屋で買い取ってもらえるんだが」


 ネックレスか。どれ。


 金貨を適当につかんで錬金魔法でネックレスに変えた。こんなものか?


「これでいいか?」


「……ほんと、魔法はデタラメだな……」


 鍬や斧を作るために考案した魔法だ。使い道が限定敵すぎて上手く出来たかわからん。ネックレスも朧気にしか記憶ないし。


「もうちょっと小さくしてくれ。これでは買い取ってもらえないかもしれないから」


 と言うのでちょっと細くしてみた。


「他に買い取ってもらえるものはあるか?」


 宝石もあるが、鑑定証みたいなものはない。さすがに無理だろうな。


「これは、銀か?」


 棚にある銀食器を取った。


「ああ。王城から逃げるときに奪ってやったものだ。見た目がいいから飾ってた」


 絵とか飾る趣味もない。銀食器なら見た目もよく使用出来るしな。


「町に質屋があるからそこで見てもらえば買い取ってもらえるかもしれんぞ。あ、銀貨はあるか?」


 銀貨? 確か、部屋の隅にある木箱に入れていたはず。あ、あった。


「無造作だな」


「金なんて使わないからな。で、どうするんだ?」


「銀のスプーンに変えられるか?」


 問題なしと銀貨数枚をスプーンに変えた。


「もうちょっと豪華にして、1820の刻印を打ってくれ」


 言われるがままに豪華そうなスプーンを作り出した。さらに豪華な木の箱もよういして絹を敷いて収めた。


「銀のスプーンなら外国の習わしとしてあるから質屋で買い取ってもらえるはずだ」


 へー。そんな習わしとかあるんだ。十七年の人生では学ばなかったよ。いや、二十年の間に忘れてしまったかもしんないが。

 

「いくらになるんだろうな?」


「五万円くらいにはなるんじゃないか?」


「そんなに安いの!? 一月のアルバイト代だろう」


 いや、アルバイトしたことないからわからんが。


「五万円だぞ。大学初任給が一万円前後なんだからな」


 え? 大学出てそのくらいしかもらえないの? 二十二万円くらいって聞いたことあるぞ。


「六十年後の切符っていくらだ? 一区間だと」


「あーいくらだろう? 二百六十円とか? オレは徒歩通学だったからよくわからん。自販機の缶ジュースは百三十円くらいだったな」


 たぶん、そのくらいだったはず。


「……おそらく、価値が違うんだろう。未来と過去では……」


 そ、そうなのか? 六十年でそんなに違いが出るとは知らなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ