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異世界で冒険を! 昭和時代でスローライフを! オレたちの世界交換ファンタジア!  作者: タカハシあん


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第38話 相馬 *三月*

 バイクで颯爽と走る。


 ってのをイメージしていたんだが、砂埃が凄くて颯爽とはいかなかった。


 まあ、付与魔法で砂埃は防げるので苦にはなっていない。これはこれで楽しいか。馬で走ったときよりマシだしな。


 しかし、昭和三十一年の道と過酷なものだ。これが異世界なら馬車や徒歩だからいいが、今は自動車が輸送の主流となりかけている。故に、交通量が凄い。


 この山道で五十キロも出すとか正気とは思えない。道の横、川だよ。落ちたら死ぬよ。昭和時代の運転手はバケモノなんだろうか? 平成ならクレイジー野郎と罵られるぞ。


 なんか運転よりこの交通量に疲れたよ。


「この時代、コンビニがないなのは仕方がないが、自販機までないとかなんなんだよ? 商店すらねーじゃねーか! うおー! なんだ、このS字カーブは? 陸王だと厳しいだろう!」


 峠を越えるのは大変なのは異世界でも常識だが、昭和時代の峠もメチャクチャ大変じゃねーか!


 なんとか山だか峠を越え、なだらかな道になってくれた。ふー。


 やっと商店を発見して一休み。この道はドライブインもないとはな。


「この時代はコーラも売ってないんか?」


 田舎だからないのか? お、このキリンマークは知ってる! これっこの時代でもあったんだな! 長寿会社かよ!


「瓶ジュースってなんか美味いよな」


 缶の記憶しかないが、瓶でのむ炭酸の美味いことよ。もう一本!


 商店のおばちゃんに海までの距離を尋ねたら五、六キロのこと。ゆっくり行っても三十分で着くな。よし、もうちょっとだ!


 町中を通り、ちょっと道を間違えながらも相馬の海に到着した。


 相馬野馬追が有名だとかとーさんが言っていた。時期じゃないんで見れないが、久しぶりに海を見れただけで満足だ。


「どこで魚買えるかな?」


 さすがに昼前だから漁は終わっているだろうが、観光客相手に魚を売る店はあるはず。どこかいな~?


 あちらこちら走って漁港っぽいところを発見。食堂があったので、そこで情報収集をすることにした。


 地元の人が利用する食堂なようで、揚げ物や煮物、そばうどんなんかが主だった。


「このホッキ飯とホッケ焼きをください」


 ホッキてホッケってなんじゃらほい? と思って頼んでみた。

 

 どうやらホッキは貝でホッケは魚のようだ。なかなか美味いじゃないか。ホッケは酒のツマミになりそうだ。


「このホッケって持ち帰り出来ますかね? 入れ物はあるんで」


 重箱を出してお願いしたらあっさり承諾してくれ、ホッキ飯も詰めてもらえた。あと、魚を買える場所を教えてもらった。


 教えてもらった店では、アカムツ、タイ、カレイ、イカがあり、この日のために作ったクーラーボックスに入れてもらった。


「こんなに買って持って帰れんのかい?」


「知り合いが車で来るので大丈夫です」


 さすがにバイクに詰める量ではないので、クーラーボックスを外に出し、店の人の目が外れた瞬間に収納の指輪に入れて立ち去った。


 炉端でイカを焼いているばーちゃんがいたので、買えるだけ買わせていただいた。


「こりゃ、いい客が来たものだ。時間があるならエビも焼こうか?」


「お、いいですね! お願いします!」

 

 ばーちゃんが下がったら買った焼きイカを収納の指輪に入れた。


 木の箱を抱えてくると、たくさんのエビが入っていた。


「よかったよ。買ってくれて。今は電気で冷やすけど、いつまでも入れて置かれないからね」


 冷蔵庫が出て来た時代なんだ。明治から生きてそうなばーちゃんにはついて行けんだろうよ。


「もしよかったら余った魚やエビがあったらこれに入れてもらえません? 内緒で買うので。息子さんに内緒でね」


「こ、これにかい?」


「これはね、鬼の玉手箱と言ってたくさんものが入り、腐らないでいられるんですよ」


 ばーちゃんにウインクしてみせた。


「……あんた、いったい……」


「旅の魔法使いです」


 指先に火を出してみた。


「あ、死神じゃないんで勘違いしないでください。秘密にしてくれる代わりにこの指輪をあげましょう。健康でいられる指輪です」


 ばーちゃんに治癒力向上の指輪を渡した。


「あと、これも。エビのお金です」


 千円札を二枚渡した。ちなみにイカは一串、三十円でした。安っ!


「こんなにかい!」


「こういう伝手は大事にしておくべきと学んだので。これからも買いに来ますんで、よろしくお願いします。次は野菜を持って来ますよ」


「ま、まあ、買ってくれるなら歓迎するよ。孫に小遣いをあげたいからね」


「ありがとうございます」


 焼いたエビを収納の指輪に入れるのを見せ、すべてを焼いていたらいい時間になってしまった。


 要石を置いたらまずはガソリンスタンドに向かい、満タンにしたら転移で帰った。


「とーさん。相馬でイカ焼きをたくさん買ったから晩酌にどうぞ。かーさん。ご近所にお裾分けをお願い」


 イカ焼きを皿に移し、近所にお裾分けとして配ってもらった。


「純のヤツ、今日も帰って来ないのかな?」


 剣の練習がそんなに楽しいのか? まあ、基礎を学べは異世界でも苦労せんだろう。


 楽しくやっているのならそれでよし。今日はとーさんとイカ焼きで晩酌と行きますかね。

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