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異世界で冒険を! 昭和時代でスローライフを! オレたちの世界交換ファンタジアライフ!  作者: タカハシあん


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第11話 初飛行 *純*

「よし、飛翔!」

 

 三月の言葉に重力が消失。凄い風が体に当たってきた。


「凄い! 車から顔を出したみたいだ!」


「目は大丈夫か? このくらいのスピードなら目が乾くこともないだろうが」


 あー確かにそうだな。車並みの速度だとさすがに目を開けておくのも大変だろうよ。


「大丈夫だ! 帰ったらゼロ戦のパイロットが使っていた航空帽と眼鏡がある。それを使えば目が乾くことはないはずだ」


「ゼロ戦? なんか聞いたことある。なんだったかは思い出せんが」


 平成のヤツはゼロ戦も知らんのか? 大日本帝国の空を守った名戦闘機だぞ。戦争を知らない子供って言ったことが理解出来たよ。


「平成の空、いや、二十一世紀の空はジェットの力で飛んでいるよ。プロペラ機は……いや、プロペラ機も飛んでいたな。まあ、戦闘ではジェット機が主流だよ」


 ジェット機か。第三帝国──ドイツで造っていたというウワサはあった。六十年で空も変わったんだな……。


「とりあえず、家まで帰るぞ。その帽子と眼鏡をしてからにしよう」


「わかった」


 飛ばしてもらっているならいいが、自ら飛ぶのならしっかり用意したほうがいいだろう。空は気圧やら風圧やらがある。より高く飛ぶなら飛行服──あ、こんなことならあのときに買っておくんだった!


 まだ給料が安くて飛行服が買えなかった。ゼロ戦用の航空帽と眼鏡はがんばって買ったんだがな。悔しいぜ。


「よし。到着だ」


 あ、考え事してて空を味わうのを忘れていたよ!


「その帽子と眼鏡を持って来たら異世界のほうに来てくれ。飛ぶのに適した服があったはずだから」


「わかった──って、荷物は異世界に運んだろう」


「あ、そう言えばそうだった。すっかり忘れてたよ」


 抜けてんな~。って、オレも忘れてたけど。


 異世界へと向かい、荷物の中から航空帽と眼鏡を見つけ出した。


「古くないか? 新しいのを作るぞ」


「いや、これがいいんだ」


 これを被っていつか空を飛ぶんだと決めていたから。なのに、いつから忘れていたんだろうな? あんなに夢見ていたのによ……。


「純。オレが着ていたものだからサイズは合わないだろうが、縛れば問題ないだろう。慣れたらお前専用のを作ってやるよ」

 

 革製のもので、厚手なのにシャツより快適に動けるものだった。


「落ちないとは思うが、サバイバル用品を入れたバッグを背負っておけ」


 サバイバル? 野営道具のことか? 


 中を見せてもらうと、ナイフに水筒、箱がいくつか入っていた。なんかワクワクしてくるな。


「手袋をしても大丈夫なのか?」


「大丈夫だ。その指輪は奪われても戻って来る魔法を掛けてある。無駄に抵抗する必要はないから」


 へー。戻って来るんだ。魔法って凄いんだな。


「てか、飛翔の指輪はそこにいっぱいあるから予備としてポケットに入れておけ」


 三月が指差した箱を見ると、指輪がたくさん入っていた。


「……ぞんざいだな……」


「どうも気に入るまで作っちゃうタイプなんで」


 凝り性か! いるよな、そんなヤツ。まあ、わからんではないが……。


「もらっていいのか?」


「ここにあるのは自由に使ってくれて構わないよ。オレは自力でも飛べるから」


「……お前って、何気に凄かったりするのか……?」


「そうだな。凄い領域にはいる。だが、オレより凄いヤツは結構いたりする世界だ。だから油断するなよ。弱そうに見えて強かったなんて例はいくらでも、ある。死がすぐそこにある世界だと知れ」


 死がすぐそこにある、か。フフ。悪くないと思ってしまう自分に驚いてしまう。オレってそんなヤツだったのか?


「ああ、心に刻む」

 

 なにか視界が広がった気分だ。なら、心機一転。この世界で生きる覚悟を決めるとしよう。


「じゃあ、あっちの世界で飛ぶとしよう」


「こっちじゃダメなのか?」


「異世界の空は危険だからな、練習はあっちの世界のほうがいい。落ちても魔物はいないしさ」


 ま、魔物か~。ちょっと覚悟が揺るいでしまうな……。


 元の世界に戻ると、柔軟体操をさせられた。なんでだ?


「ただまっすぐ飛ぶだけなら簡単だが、空を飛ぶってのは意外と体を使うものだ。人間は翼がない。魔力を風に変化して飛んでいるんだ」


 テレキネシスとか違うのか?


「純が頭で考えて飛ぶタイプか、それとも感覚で飛ぶタイプかを調べる。ちょっと乱暴な方法を取るぞ──」


 突然、空へと飛ばされた。


 グングンと上昇して行き、雲を突き抜けた。


「おおぉっ! 空が青い!」


「怖くないんだな?」


「怖い? 最高の気分だ! 子供の頃から憧れていた空なんだからな!」


 興奮して鼻血が出そうだ。


「なら問題なさそうだな──」


 全身を包んでいたものが突然消失。落下した。


 とんでもないことをされたと理解出来たが、錐揉み落下で考えている余裕もない。これは、体の体勢をよくして風を受け止めないと!


 しかし、回転を止められない。どうしたらいいんだ!? 地上はすぐだぞ!


 ダメだと目を瞑ったら体になにかが纏われた。


「初めてにしては上出来だ。もう一回やるぞ」


 また上空へと連れて行かれて放り出された。


 ……なかなか猛烈な教えをしやがるぜ……!


 だが、そのくらいで根をあげると思うなよ。ゼロ戦に乗りたくて鍛えた時期があったんだ。人付き合いには負けたが、夢には負けたりしないんだよ!


「その意気やよし! 体を安定させられるまでやるぞ!」


 ああ、やってやるよ!

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