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【第2章開始】「お前を愛することはない」と言われたので、労働対価に食事を要求します(連載版)  作者: うり北 うりこ@8/1ざまされコミカライズ①発売
家族を得た私、領地のために頑張ります

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家族を得た私、ドリルに会おうと思います①


 うぅぅ……。嫌な夢だった……。

 身支度をパパっと終えて、朝一番に旦那様の部屋へと向かう。

 後ろにはギーツが、ついて来ている。


「何をそんなに急いでるんです?」

「旦那様に聞きたいことがあります」


 それに、旦那様にお菓子をもらいたい。

 お菓子を食べて、夢のことなんて忘れるんだ。


「おはようございます! 旦那様………って、いない?」


 キョロキョロと部屋の中を見回す。


「旦那様、どこですかー?」


 ベッドの下、カーテンの裏、クローゼットの中にもいない。


「仕事に向かわれたのでは?」

「でも、まだお日様が昇ったばかりです。早すぎます!」

「というか、人の部屋の中を探し回るのはどうかと思います」


 ギーツの言葉に、動きを止める。


「それは、そうですけど……」


 でも、今すぐに旦那様がいいのだ。

 大丈夫だって、私はナビレート伯爵家(このお屋敷)の一員だって、家族だって確認したい。


「ほら、食堂に行ったらどうですか? もしかしたら、いるかもしれませんよ」


 ……ギーツが言うなら、そうなのかも。

 ギーツと旦那様、仲良しだし。


「何、怖い顔してるんですか?」

「別に何でもないです! 悔しいなんて思ってません!」


 使用人(家族)はたくさんいても、妻は一人だけだし。

 私だって、旦那様と家族だもん。


「それより、その服装で寒くないんですか? 上着を取りに戻った方が──」

「平気です。ギーツこそ、暑くないんですか?」


 私は半袖のワンピースだけど、ギーツは長袖、長ズボンにブーツを履いている。

 ギーツは、寒がりなのかもしれない。


「もうすぐ冬になりますし、風邪を引かないよう、もっと着た方がいいと思いますよ」

「風邪引いたことないので、大丈夫です」

「そんなわけ──」

「引きません」


 心がざわざわする。


 どんなに寒い日に暑くても、暑い日に寒くても、認めたら動けなくなる。

 働かないと、ご飯は食べられない。


「草と実(非常食)はあるけど、何日もになったら、食べ物がなくなっちゃいます」

「……どういう意味ですか?」

「風邪を引くと食糧危機です」


 ギーツの眉間にシワが寄る。


「風邪を引いたら好きなものが食べられなくなるってことですか?」


 …………? ギーツは何を言ってるの?


「たしかに、旦那様は奥様を心配して、消化に良いものしか食べさせてくれなそうですもんね」


 そう言いつつ、ギーツは食堂の扉を開く。


「──旦那様っ!!」


 旦那様のところまで最短距離で走っていく。

 新聞を読んでいた旦那様は視線を上げると、ガチャンと音をたててカップをソーサーへと置いた。


「何があった!?」


 ギュッと旦那様へと抱きつけば、背中を撫でてくれる。

 ぽんぽんと一定のリズムで優しく叩いてくれて、もっとギュッと抱きついた。


「どうした?」

「旦那様がお部屋にいませんでした」

「部屋に来たのか?」


 ギューギュー力を入れたまま、小さく頷く。


「そうか。悪かったな。コレッティーナは起きて支度ができたら、最初に食堂へ来るだろ?」

「はい」

「だから、俺も最近はそうしているんだ」


 そっか。旦那様もなんだ……。


「お腹空きますもんね」

「……そうだな」


 あ、安心したら、お腹空いてきた。


 ──ぐーぎゅるるるるる。


「腹の音、元気だな」

「はい。お腹空きました!」


 ギュッてしてるから、旦那様の笑ってる振動が伝わってくる。


「…………旦那様」

「何だ?」

「私が風邪を引いたら、どうしますか?」


 旦那様に体を離され、おでこを触られる。


「熱はなさそうだな。調子が悪いのか?」

「風邪、引いたことないです」

「…………なら、何でその質問をした?」


 何で? 何でって、そりゃぁ……。


「何となく、ですかね」

「何となくかぁ……。もしコレッティーナが風邪を引いたら、全力で仕事を休むな」

「……え?」

「で、風邪引いてるのに「引いてません! 大丈夫です」と言い張るのを、アンネやギーツたちと全力で止める」


 んん!? 何でそうなるの?


「交代でコレッティーナが無茶しないか見張って、世話をする」

「……旦那様もお世話してくれるんですか?」

「あぁ、思いっきり甘やかしてやる」


 …………風邪、いいな。


「働かなくても、食事出ますか?」

「当たり前だろ。消化に良いものだけどな」


 ふーん。そっか、そうだよね。

 働かないからって、食事がないなんてならないよね!


「知ってたのに、不安になっちゃいました」

「やっぱり、どこか調子が悪いんじゃないか?」


 心配そうに顔を覗き込む旦那様に、大きく首を横に振る。


「生家の夢を見ただけです」

「そうか……。もうあいつ等は何もできないから、心配しなくていい」


 頭を撫でられると、心がぽかぽかする。


「すぐに朝食を持ってきてもらおうな」

「はい」


 そうだよね。

 もう生家はないんだし…………。


「旦那様!!」

「用意してくれてるから、もう少し──」

「ドリルはどこにいますか?」

「…………は?」


 危ない危ない。本題を忘れるところだった。

 

トラウマを克服するのは、すぐには難しい回でした。

カリウスがしばらく帰ってこなかったり、ミカナ先生とお別れしたり、新しい家族が増えたりと、いろいろな変化にどこか心が追いついていない部分があったコレッティーナです。

本人は無自覚ですが、そういう時って過去が覗いたりしますよね。



❁お知らせ❁

新作短編

『ざまぁするより、金がいい。賠償金をぶん取るつもりが、激重感情のおまけ付きでした。』を投稿しました。

婚約者に浮気をされ、賠償金を取りたい主人公と、執着系ヒーローのラブコメです。

そちらも、よろしければ是非。

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