表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第2章開始】「お前を愛することはない」と言われたので、労働対価に食事を要求します(連載版)  作者: うり北 うりこ@8/1ざまされコミカライズ①発売
家族を得た私、領地のために頑張ります

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
61/61

家族を得た私、新しい家族を歓迎します②


 ***


「ギーツ! アイラ! ようこそ、ナビレート伯爵家へ!!」


 パチパチパチパチ……。

 私が拍手をすれば、みんなも拍手をしてくれる。


「え゛!?」

「わぁ!! ありがとうございます!」


 ふっふっふっ。

 狙い通りの反応だ。


「今日はギーツとアイラの歓迎会です。無礼講ですよ。オススメは、ワイルドお肉様です!! そして何と! 右手に植わっている草花も食べ放題です」

「なるほど。お肉の油を草花でスッキリというわけですね」


 うむ。さすが、アイラ。

 食べ方を心得てる。


「待てアイラ。草花は食べるなよ」

「奥様のご厚意を無碍(むげ)にするなんて、使用人としてありえないからね」

「そういう問題じゃないだろ!」


 ギーツが早口で話している。


「ギーツだって、葉っぱを食べたじゃないですか」

「え? お兄ちゃん、自分はいいけど他の人は駄目とか言うの? そういうの最低だよ?」

「あれは、仕方なくだな」

「仕方なくですか?」


 たしかに、あの時の葉っぱは美味しいとは言えなかった。

 名誉挽回しなくては。


「ギーツ、安心してください。ここにあるのは厳選してデンガおじいちゃんが植えてくれた子たちです」

「そのちょいちょい出てくるデンガおじいちゃんって誰なんですか?」

「デンガおじいちゃんはですね──」

「呼びましたかの?」


 串に刺さったワイルドお肉様を片手に、デンガおじいちゃんは葉っぱを口に放り込む。


「じいさんが諸悪の根源か!」

「デンガおじいちゃんは、悪いことなんかしません!」

「ほっほっほ……。元気じゃの」


 デンガおじいちゃんはヒゲを揺らして笑っている。

 だけど、デンガおじいちゃんが許したからって、私は許さないんだから。


「ギーツ、ごめんなさいしてください」

「そうだよ。お兄ちゃん、謝りなよ」

「ほっほっほ……」


 ギーツは困ったように頭をかくと、口を開いた。 


「……いきなり悪かった。で、奥様に葉っぱを食べるのを教えたのは、じいさんか?」

「違いますのじゃ。コレッティーナ様は、ナビレート伯爵家に嫁いだ日から、葉っぱを食べておられての。最近では、お口に合う植物を中心に庭を作っておりますのじゃ」

「はい。デンガおじいちゃんは、すごいです」


 ぐっと両手を握りしめてギーツに向かって言えば、ギーツの目が細まっていく。


「つまり、諸悪の根源ではなく、助長させた側ということか……」

「人聞きが悪いのぅ。コレッティーナ様と楽しく庭づくりをしているだけじゃよ」

「いやいやいや。そこは、止めないと! そんなに自由にさせるから、腹が減ったからって草むしったり、キノコ食べたりする…………イデデデデデ!」


「アンネ。ギーツの耳、とれちゃいますよ」


 そう言うと、アンネは引っ張っていたギーツの耳をパッと離す。


「この男がコレッティーナ様に無礼を働いていましたので。つい……」

「つい……じゃないからな! どこから湧いてでてきたんだよ」

「後ろからです。そんなことより、コレッティーナ様、お肉をお持ちしました」


 アンネが持ってきてくれたお皿には、串に刺さったワイルドお肉様が二本。


 ふぉぉぉぉ。お肉の油と炭の匂いが鼻をくすぐる。

 じゅるりと出てきたよだれを飲み込み、串をギーツとアイラの方に差し出す。


「今日は、歓迎会なので先にどうぞ」


 あぁ、おいしそう……。


「いいんですか!? ありがとうございます!」

「奥様から先にどうぞ。よだれ出てますよ」


 んぇっ! よだれ!!

 ずぞぞぞ……。


 思いっきりよだれを吸えば、アンネが口元どころか(あご)も拭いてくれる。


「ありがとうございます」

「いいんですよ。新しく串焼きを持ってきますね」

「自分で行きます。二人とも、たくさん食べてくださいね」


 後ろ髪引かれる思いでギーツとアイラにワイルドお肉様を押し付け、背中を向ける。

 私も早くワイルドお肉様を……。


「んぶっ……」

「大丈夫か?」

「あい……」


 ゴッツンコしたおでこをさすりながら、旦那様を見上げる。


「悪い、振り向くと思わなかった」

「いえ、旦那様こそお胸は大丈夫ですか?」


 旦那様のお胸は筋肉がないから、痛かったんじゃないかな。


「平気だ。それより、ほら」

「──っ!!」


 差出されたワイルドお肉様を受け取る。


「ギーツとアイラに、先にあげたんだな。エライぞ」


 よしよしと頭を撫でてくれる。


「旦那様も、お肉様を持ってきてくれてエライので撫でてあげます」

「……俺はいい。それより、冷めないうちに食べよう」


 みんなと一緒にお肉様へとかぶりつく。

 ぽたりと落ちてくる油で手も、口の周りもベタベタだ。

 だが、これも串焼きの醍醐味(だいごみ)!!


「ほら、これ使え」

「ありがとうございます」


 ハンカチを受け取って、手を拭き、口も拭くと、旦那様のために葉っぱを見繕いにいく。

 一番美味しそうな葉っぱを旦那様に……じゃないな。今日は歓迎会だから、一番を三枚見つけないと。


 よーく吟味して、葉っぱを三枚摘んで、みんなのところへ戻る。


「ワイルドお肉様によく合います!」


 旦那様とアイラはためらうことなく口に入れ、ギーツは何とも言えない顔で葉っぱを食べた。


「……葉っぱですね」

「そりゃ、葉っぱですから。でも、この間のより筋がなくて柔らかいはずです」


 自信を持って言えば、ギーツはそっと視線を外す。

 おかしいな。この葉っぱ、美味しいのに……。

 

『悪役令嬢にざまぁされたくないので、お城勤めの高給取りを目指すはずでした@COMIC』1巻が8/1に発売となります。

書店様では、既に取り扱ってくださっているお店もあるようです。

よろしければ、そちらもよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ