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【連載版】「お前を愛することはない」と言われたので、労働対価に食事を要求します  作者: うり北 うりこ@ざまされコミカライズ開始


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「お前を愛することはない」と言われたけど、離縁はしないそうです


 生き残るのには役に立ったけど、微妙な力だわぁ……。

 なんて思っていれば、旦那様が石のように固まっている。


「おーい、旦那様ー!!」


 顔の前でひらひらと手を振れば、両肩をつかまれた。


「それ、絶対に誰にも言うなよ!?」

「それって?」

「スキルだ!」


 …………スキル?

 あぁ! 激辛感知のことね。

 なんだ、草食べてたことを内緒にしたいわけじゃなかったのか。


「言いませんよ。言ってもお腹は膨れませんから。今は、話の流れで言っただけです」

「じゃあ、今後は話の流れでスキルを誰かに教えるなよ」

「……はい」


 たぶん、大丈夫。

 そうそう草食べてた話には、ならんでしょ。


「で、どうして激辛を言っちゃ駄目なんですか?」

「毒見役にされるだろ」

「毒見役……。それって、偉い人のごはんを先に食べるんですよね?」


 え、それって食べることが労働ってこと?

 めちゃくちゃ最高なんじゃ──。


「駄目だからな」

「まだ何も言ってません」

「言わなくても分かる。コレッティーナは、俺の妻だ。危険なことはさせない」


 雇用関係なだけなのに、過保護だなぁ。

 あ、そうか。妻だから駄目なんだよ。


「じゃ、離縁してください」


 これで問題は解決だ。

 旦那様だって、結婚に乗り気じゃなかったんだし、すべてが丸く収まる何という名案!


「するわけないだろ! この馬鹿!!」

「えーー」

「えー、じゃない! コレッティーナはここでご飯食べてにこにこ生活すればいいんだ!!」

「食べる仕事したいです!」


 負けてたまるか! と言い返せば、旦那様の顔が険しくなる。

 すごい、イケメンって怒った顔もイケメンなんだ。


 と、感心していればデザーが壁のそばから歩いてきた。


「お話中、失礼いたします。コレッティーナ様、毒見役は立派なお仕事ではありますが、落とし穴がございます」

「落とし穴ですか?」

「はい。仕事ということはクビになった瞬間、食事が保証されません。また後任が現れたら職を辞さなくてはならない可能性もございます」


 たしかに。

 でも、それって普通のことだよね?


「しかし、婚姻関係というものは永遠です」

「離縁しなければ、ですよね」

「左様でございます。万が一、旦那様から離縁を言い渡された場合、私がコレッティーナ様を養いましょう」

「えっ!? デザーさん、ずるいですよ。その時は私がコレッティーナ様と暮らします! コレッティーナ様、一緒に美味しいものをたっくさん食べましょうね」


 な、何ということだ。

 デザーとアンネが、私の食事を確保してくれるなんて!!

 神だ! 二人とも神すぎる!!


「ありがとうございま──」

「待て。コレッティーナを養うのは俺だ。離縁は絶対にしないからな!!」


 バンッとテーブルを叩いて旦那様が立ち上がる。

 その振動で、まだカップに入っていた紅茶が大きく揺れた。


「旦那様! 机バンしないでください!! 紅茶がこぼれたらどうするんですか!?」

「え、あ……、すまない」

「次からは気をつけてください」


 あー、こぼれないで良かった。

 念のため、飲んで量を減らしとこう。


 椅子に座る旦那様を横目に紅茶を飲む。


「離縁はしないからな」

「分かりました。離縁されても、デザーとアンネが食事を確保しするって言ってくれたので、毒見役は諦めます」


 毒見が必要なほどの高価な食事って、どんなのだったんだろう……。

 うー、気になる!

 けど、食事の安定供給が一番だよね。



  ***



 次の日、私は傷んだ果物を商品化するための市場調査として、街へやってきた。


「おぉぉ! 人がいっぱいいます!!」

「馬車で来れるのはここまでだから、少し歩くぞ」

「分かりました! 旦那様、はぐれないでくださいね」


 街……というか、実家とナビレート家の移動でしか外に出たことがないから、旦那様がどっかに行ったら確実に迷う。


「それは、俺のセリフだ。ほら……」


 そう言いながら、旦那様は私の方に手を差し出す。

 けれど、その手のひらは空っぽで何もない。


「……お菓子のってないですよ? 忘れちゃったんですか?」


 首を傾げつつ、旦那様を見上げる。


「そんなわけあるか!」


 旦那様は私の手を取って歩き出す。

 なんだ、そういうことか。


「旦那様が迷子にならないようにですね」

「何でそうなるんだよ」


 ため息をつきつつも、繋いだ手の力が増す。


 うんうん、旦那様は素直じゃないなぁ。

 こんなにたくさんの人がいて、はぐれたら心配だもんね。


 って、ん?

 何だか、すごくいいにおいがする。


 くん、くんくんくん……。


「旦那様、こっちです! 香ばしい匂いがします!!」


 ぐいぐいと手を引っ張り、ついたのは一見の屋台の前。

 串に刺さったお肉が炭火で焼かれている。


「旦那様! お肉! ワイルドお肉ですよ!!」


 これは是が非でも食べなくては!

 って、あれ? 私、お金持ってない!!


 屋台にツケは効く?

 そもそも、初めましての客にツケ払いなんてさせてくれない……よね。


 これが甘味なら、市場調査の一環として経費で落ちたかもしれないのに!

 よし。背に腹は代えられない……。


「……旦那様。実家の不正の証拠を一つ、買い取りませんか?」


 報復に使おうと思っていた一部を旦那様に売りつけよう!


 

やっと街に行けました!

ヤッター!!

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