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念願

「はぁっ……はぁっ……!」

階段を降り、廊下を走り、自分以外の人間を探す。

「本当に…本当に誰か居ないのか!?」

誰でもいい。過度の緊張からパニックになっていた俺は、他の人を見つけて少しでも安心したかった。それしか考えられなかった。

そのまま、下に下に降り、誰も見つからずに、外へ出た。

時刻は12時と少し。

お昼時で、多少の賑わいを見せるこの道も、今は誰一人居ない。

誰か居る所、誰か居そうな所、それだけの事に脳を使う。

「そ…そうだ……!きっとあそこなら……」

崩れた音がした所、何の建物かはわからないがそこに行けば誰かがいて何かがわかるかも知れない。

とてつもなく曖昧でさらにはどこにその建物があるのかすらわからなかったが、自分にとって、藁にもすがるような結論だが、最高で最善だと思っていた。

そして、あの一瞬の記憶を頼りに、感覚で走り出した。


…しばらくは走っただろうか。デスクワークばかりで運動からほとんど縁を切っていたからか、大した距離では無くとも、もうほとんど走れそうに無い。

近くのガードレールに手をついて、呼吸を整える。

「はっ…はっ…はっ…ふぅ……」

最後、大きく息を吸ったときに、少し懐かしい臭いがした。


土の臭いだ、建物が崩壊した時に舞った砂ぼこりでも流れて来たのだろうか。

そうであれば、近くに壊れた建物があるはずだ。

少しの期待を抱き、呼吸を整え顔をあげると、道路向かいのハンバーガーチェーン店マクドナルドが音をたてながら、崩れていた。

「あァ?なんだァ?テメェ……どうやって俺の霧の刃から逃れやがった?」

崩れる音で聞こえなかったからか、背後に人が居る事に全く気が付かなかった。

高身長だが、細身で、よれたハーフシャツとジーンズで左手の爪が30cmほど伸びた男だった。

そして、マックが崩れる時の音は、最初に聞いた崩壊音と非常に似ていた。

「まァいい…テメェがこの裏世界に居るって事は、テメェが†うんこの欠片†持ちなのは確定してるからなァテメェを殺せれば、なんの問題もねェからなァ……」

よくわからない単語と共に、物騒な言葉も聞こえてきた。

どうやら彼は、俺の命を狙っているらしい。

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