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処刑寸前の悪役令嬢ですが、中身が不思議ちゃんオタクなので推しを幸せにすることにしました  作者: 花の香り
アニメの最終回

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はじめての食事

ベネディクト様が部屋を出てから、数分後。


静かなノックとともに、モンドルが戻ってきた。


両手に抱えているお盆の上には――食事。


「フェリシア様、お待たせしました。医務室ですので豪華なものは出せませんが、栄養面は保証いたします」


テーブルに並べられた皿から、温かい湯気が立ち上る。


「毒味はフェリシア様の侍女、アンナが済ませております。安心してお召し上がりください」


……食事。


その言葉を聞いた瞬間、私の思考は完全に停止していた。


「フェリシア様?」


「……ここでの食事は、初めてでして。ありがとうございます」


「お、お礼など……!」


モンドルはなぜか慌てた様子で頭を下げ、そそくさと部屋を出ていった。


――それより。


ご飯!!


目の前には、湯気の立つスープ、色鮮やかな野菜、焼きたてのパン、そして小さなデザート。


どれも日本では見たことのない料理だった。


「……いただきます」


思わず手を合わせてから、スプーンを取る。


スープをひと口。


野菜と柔らかい肉が煮込まれていて、見慣れない葉も入っている。


(苦いのは苦手なんだけどなぁ……)


恐る恐る口へ運ぶ。


――次の瞬間。


「……おいしい」


優しい味が、体に染み渡った。


気づけば、もう一口すくっている。


パンも不思議な香りがして、噛むほどに甘みが広がる。


そしてデザート。


緑色の、ぷるりと揺れる謎の食べ物。


(アニメで見たやつだ……!)


まさか、本当に食べられる日が来るなんて。


(私、もしかして豪運では?)


手作りの料理を食べるのは、いつぶりだろう。


自然と頬が緩む。


――その時、不意に日本のことを思い出した。


(お母さん……今、何してるんだろう)


胸の奥が、少しだけ痛む。


帰れない。


でも。


(フェリシアを幸せにする。それができたら……帰れるのかな)


分からない。


けれど――今は生きるしかない。


「……食べなきゃ、戦えないって言うし」


私は再びスプーンを取った。


そして、ふと気づく。


(……待って)


昨日、処刑されかけた。


ということは――。


「聖女が危ない……!」


この先の展開を、私は知っている。


フェリシアがいなくなった後、聖女は“用済み”として魔力を搾取され、命を落とす。


でも今。


フェリシアは、生きている。


――物語は、変わっている。


考えているうちに、急激な眠気が襲ってきた。


満腹と安心が、一気に体を緩ませる。


「……食べた後って、眠くなるよね……」


視界がゆっくりと暗くなる。


今は――少しだけ休もう。


次に目を覚ました時、何が始まるのかも知らずに

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