第199話:火の山と、消えた足音
■Scene1:鹿児島中央駅、噴煙の空へ
長崎から九州新幹線で南下し、
(駅弁を食べながら…)凛奈は鹿児島中央駅に到着した。
ホームに降りると、遠くに桜島の噴煙がうっすらと見えた。
凛奈(心の声):
「火山の煙って、不思議ね。
動いてるのに、まるで“止まってる時間”みたい」
駅構内では、さつま揚げや黒豚角煮まんなど、鹿児島名物が賑わいを見せていた。
■Scene2:観光と、静かな違和感
午後、凛奈は桜島フェリーで島へ渡る。
フェリーの中ではしろくまアイスを食べながら、
火山の山肌を眺めていた。
「………自然は美しい。でも、美しいものが一番、怖い時もある」
港から徒歩で湯之平展望所へ。
観光客の少ない道を歩いていると、観光案内所の職員が声をかけてくる。
職員:「あの……もしかして、朴凛奈さんですか?」
凛奈:「はい。何かあったんですか?」
職員:「実は昨日、地元の男性登山者が行方不明になりまして……今日の午後、火山岩の隙間から“靴”だけが見つかったんです」
■Scene3:警察との現地調査
連絡を受けて駆けつけたのは、鹿児島県警・桜島分署の巡査部長・川崎達也。38歳警部
冷静で寡黙な警官だったが、凛奈を一目見て、ほんの少し眉を上げた。
川崎:「TVで何度か。……もし良ければ、意見を聞かせてください」
凛奈:「その男性、最近“地元のキムチ屋”で買い物をしてませんか?」
警察関係者は一斉に顔を見合わせた。
川崎:「……買ってました。“桜島大根のキムチ”を常連で」
凛奈:「そのキムチ、今も手元にありますか?」
■Scene4:キムチの“熱”と、脳の記憶
少し離れたところで… 1人で座り込み
桜島大根キムチのパッケージを開けた凛奈は、
その“香り”と“味”のバランスに、鋭く舌を研ぎ澄ませた。
(独特の辛味。そして、地熱由来のミネラルが混じる味……
熱を持った記憶が、舌の奥で“過去”を呼び起こす)
キムチを一口食べた瞬間、凛奈の意識は沈み――
……男性登山者の目線が浮かんだ。
手帳を持ち、岩場で誰かと争っていた。
相手は――顔を隠していたが、知り合いだった。
そして聞こえたのは、
「お前のせいで、俺の会社が潰れたんだ……!」という叫び。
■Scene5:登山者の過去と、犯人の怒り
登山者の名は児島 修司。
数年前まで鹿児島市内で小さな観光案内会社を経営していたが、地元の大手観光会社とのトラブルで倒産していた。
争っていたのは、その大手の営業元社員。
過去の不正を児島に告発され、失職していた。
凛奈:「“熱い怒り”は、火山のように噴き出す。
だけど、そこに“記憶”の味が重なると――人は迷ってしまうの」
■Scene6:夜の鹿児島市、締めの一口
夜、事件は解決し、凛奈は鹿児島市街地の天文館むじゃきで
再び“しろくまアイス”を食べながら、そっと呟いた。
凛奈(心の声):
「あの味は、火山の熱と似てた。
激しくて、痛くて、でも忘れられない。
……“真実”って、そういうものなのかもしれない」
手帳にはこう書かれていた。
『熱で記憶が消えることはない。
それは、“味”として心に残り、再び現れる。
……その時、また誰かのために、私は立ち上がる』
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