第194話:誘拐の影、花と遊園地の午後
■Scene1:午後の遊園地、束の間の自由
朝から快晴。
凛奈は三重県・桑名市のナガシマスパーランドへ足を運んでいた。
ひとりで乗るジェットコースター。
園内をゆっくり歩きながら、咲き誇る花壇や観覧車を眺める。
凛奈(心の声):
「誰にも知られず、ただの旅行者として、遊園地を歩けるって、なんだか、贅沢」
■Scene2:電話の着信、そして事件の影
しかし、夕方16時過ぎ――
スマートフォンに一本の電話が入った。
発信者は、三重県内に住む2人の夫人。
1人は日本トランスシティ株式会社社長の妻。
もう1人は百五銀行社長の妻。
「……子どもが、2人とも、誘拐されました。昼過ぎに。
凛奈さん。どうか……(娘をどうか)助けてください」
凛奈の表情が一瞬で変わる。
「すぐ、現場に向かいます」
■Scene3:鈴鹿フラワーパーク、空白の時間
現場は鈴鹿フラワーパーク。
誘拐されたのは、2人の子ども――小学生の男の子と女の子。
監視カメラの映像では、最後に映っていたのは13時過ぎ。
そこから2人の姿は消えていた。
警察官:「身代金要求などの連絡は、現時点ではなしです」
凛奈は小さな袋からキムチを取り出し、一口噛んだ。
――瞬間、視界が反転し、風景が午後のフラワーパークへと遡る。
■Scene4:キムチの“記憶”、犯人の正体
目の前にいたのは、見覚えのない男女2人。
手際よく子どもたちを誘導し、車に乗せていた。
凛奈(心の声):
「…この2人、見覚えがない。でも、着ている制服のロゴ……
昔の日本トランスシティの旧マーク? それに……」
もう1人は百五銀行の旧制帽を手にしていた。
■Scene5:過去の罪、現在の動機
キムチの味から蘇る“感情”が凛奈を貫く。
•男は、元・日本トランスシティの社員。経費を不正請求してクビになった。
•女は、百五銀行で大規模な横領を起こして服役。すでに出所。
彼らは過去の会社と経営者に強い恨みを抱いていた。
男:「あいつらのせいで、俺たちは全部失ったんだ。子どもたちに責任を取らせようとしただけだ!」
■Scene6:解放、そして謝礼
凛奈の情報をもとに、警察は2人を確保。
子どもたちは無事保護され、事態は静かに終息した。
その夜、凛奈は伊勢市内のホテルに戻っていた。
そこに2人の夫人が現れ、深々と頭を下げた。
「あなたがいなければ……
子どもたちは今ごろ……本当にありがとうございました」
そして、封筒が差し出される。
「こちらは、2人からの感謝のしるしです。
ご遠慮なくお受け取りください――500万円が入っております」
凛奈はしばし沈黙した後、静かにうなずいた。
「……ありがとうございます。子どもたちの笑顔が、何よりの報酬ですが……これは、“責任”として受け取ります」
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