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第179話:沖縄の海に違う


■Scene1:沖縄・美ら海水族館、蒼の神殿


那覇空港に降り立った凛奈は、レンタカーで本部町の美ら海水族館へ向かった。

観光というより、「ある招待状」を手にしたからだ。


『あなたの“味覚”で、私の真実を見抜いてください』

署名のない一通の手紙。


水槽の向こうでは巨大なジンベエザメが優雅に泳いでいる。

その前に、白いワンピースを着た若い女性が立っていた。



■Scene2:静かな対話、言葉の代わりに“味”を


女性は凛奈を見て、小さなパックを差し出す。


「……これは、私が作ったキムチ。

もし、食べて“本心”が分かったら……答えてください。私が嘘をついてるかどうか」


凛奈は一口、味わう。


シークヮーサーの酸味、アーサ(海藻)の香り、

島唐辛子の軽い刺激が口に広がる。


凛奈(内心):(これは……“許されたい味”。でも、“全部語る覚悟”はまだ無い)



■Scene3:閉館後、水族館の裏で起きた事件


その夜、水族館の職員から凛奈に電話が入る。


職員:「閉館後のバックヤードで、機材の故障に紛れて意識不明者が見つかったんです。

防犯カメラにも記録がなく……“事故”とは思えません」


凛奈は現場へ急行。

そこには昼間の女性がいた――倒れていた職員の近くで、呆然と立ち尽くしていた。



■Scene4:キムチが語る、過去の約束


凛奈は改めて、残っていたキムチを再び口にする。


今度は、奥底から湧き上がるような“深い塩味”――

沖縄の海水に似た、過去を引きずるような苦さ。


凛奈:「あなた、倒れていた彼と昔、付き合っていましたね。

でも何かがあって――あなたは、自分のことを“海の底”に沈めた」


女性:「……彼が、別の人と婚約してたこと、ずっと知らなかったんです。

知ってしまった瞬間、もう一度会う勇気がなくて……」


凛奈:「でもあなたのキムチは、海の底から“本当は、会いたい”って叫んでた」



■Scene5:ガラス越しの再会、そして再出発


数日後、職員は意識を取り戻す。

凛奈の計らいで、水槽前のベンチで2人は再会した。


「ごめん」

「わたしも、ちゃんと“ごめん”って言いたかった」


彼女は、残ったキムチのパックを彼に手渡した。


凛奈はその様子を見ながら、手帳に書く。


『味は、海みたいだ。

心の奥底に沈んでいても、誰かがすくいあげてくれたら――

また、浮かび上がれる。』


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