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自作すると安くて量もいっぱいです。 〜チキンナゲットと唐揚げ〜

仕事ってなんでしょうね……(哲学)

一段落着いたと思ったら次々と……(要約:遅筆で申し訳ありません)

「大当たり~! 三等が出ました!!」


 掃除機が微妙に不調で、新しいものを見に電気屋に来たところ感謝セールだとかで福引きが行われていた。

 こういう運試し系は嫌いじゃない。

 結構景品も良いものを揃えているみたいで、それなりの列が出来ていた。

 無料で回して当たったら儲けものだものね。

 私も例に漏れずその程度の軽い気持ちで、時間もあるし列の一人に加わった。

 個人的には五等のお米10キロが当たると嬉しい。大飯食らいが週一で一人で四合ほど食べていくし。


 ……まあ、現実は参加賞のポケットティッシュだろうけど。


 自分の目の前の人がティッシュを貰って去っていくのを見送り、いざ私の番となったのでゆっくりと回す。

 今更だけど、この福引きの時に回すコレってなんて言うのかしらね? 福引き機でいいのかしら?

 そんなどうでもいいことを考えながら回して出て来た玉は、――――――赤色だった。


 カランカランと鐘を鳴らしながら店員が三等と高らかに告げる。

 完全にお米の青色しか意識になかったから三等の商品を把握していないけど、当たったことは素直に嬉しい。

 嬉々として、景品を受け取る。


「三等はフードプロセッサーです! ぜひ料理の際にお役立てください!」




「と、いうことが先週あったのよ」


 フープロを取り出してセッティングしながら、不思議そうにこちらを見ていたオリヴィアに説明する。

 機械ものは須らく不思議そうに見てるけど、まあ当たり前か。私が魔法を不思議がるのと似た感覚だと思う。

 意味わかんないものね、魔法。オリヴィアの袋見るたびに、質量保存の法則がどうなってるのか問い詰めたくなるし。


 フープロを組み立ててコンセントを繋ぐ。

 試しにスイッチを入れてみたけど、きちんと起動した。何気にフープロ持ってなかったから嬉しかったりする。

 ブレンダーもミキサーもあるけど、それはそれ。ミキサーとフープロは別物だからね。純粋に食材をミンチにするならフードプロセッサーに限る。

 今までは物理的に叩いてたし、私。


 きちんと動くことを確認したので、冷蔵庫から食材を取り出そうと顔を上げるとオリヴィアが驚愕の面持ちでフードプロセッサーを凝視してた。

 え、何?


「マ、マスミ……何そのキカイ……! 刃が高速回転していたわよ!? 新手の拷問器具!?」

「そうきたかー……」


 いや、ほんと。そうきたかー。

 確かにこれから粉砕される食材からするとコレは拷問器具といっても過言ではないかもしれないけど…………食材(しんでるもの)に拷問もなんもないわ。

 阿呆な考えは放り投げて、戦々恐々としているオリヴィアにコレは調理器具だということを説明する。

 焼くか煮るかしか調理法を知らないというオリヴィアからすると、こういうミキサーだとかフープロだとかって本当に未知のものなのよね。


「……あれ? ハンドブレンダー使ったときは別に驚いてなかったのはなんでよ?」

「ハンドブレンダーって?」

「コーンスープ作るときに使ってたアレ…………あ。ブレンダーは刃が見えないからか」


 納得。

 まあ、百聞は一見に如かずってことで早速調理開始。

 買ってあった胸肉を取り出して、まな板の上に。皮は不要だから剥いでおく。

 カリカリに焼くと美味しいから捨てないけど。あとで焼くようにトレイに置く。


「マスミ、今日のご飯はトリニク料理?」

「うん。ミンチ買えば早いって話だけど、折角当たったんだし使ってみたくてね」


 何枚かの皮を剥ぎ終わったところである程度ぶつ切りにする。あー、唐揚げも美味しそうかも。2枚分くらい除けとこう。

 唐揚げ分を除けたところで、残りのむね肉をセットしたフープロの中に放り込む。適量ずつ。オリヴィアの食べる量考えたら一気に出来ないわ。

 目分量で適量を放り込んだら、スイッチオン。

 細かくやりすぎないよう注意する。むしろ荒目になるように挽かないと、仕上がりが固くなりすぎるので。

 ……前にミキサーでやったときソレで失敗したのよね。それからは包丁で叩いてたんだけど、オリヴィアの食べる量考えると、無理。手が死ぬ。


 わりと大き目の音を立てて肉を粉砕するフープロを恐々と見ていたオリヴィアだけれど、むね肉がミンチになるにつれて目が輝いてきた。


「マスミ! これすごいわね! トリニクが一気にミンチに変わったわ!」

「でしょ。あー、やっぱ楽だわ」

「新手の拷問器具のようだけど、使い方次第ね! これは、あれかしら! 前に作ってくれたハンバーグ!?」

「ハンバーグはまた今度ね。今日は別メニュー」


 オリヴィアに言われて、つくねバーグも良かったかもしれないと頭を()ぎったけど、また後日ってことで。

 そんな色々一気に作れないわよ。お店じゃあるまいし。


 荒目に挽き終わったむね肉をボールに入れる。

 塩コショウをして、粘り気が出るまで混ぜ合わせる。塩コショウはちょっと多めに、っと。好みだけど味がしっかりするし。

 粘り気が出たらマヨネーズ、粉チーズ、卵と片栗粉を一気に投入。

 再びよく混ぜる。あ、にんにくも入れようかな。

 チューブにんにくを1センチ程追加。入れすぎると主張激しすぎるから隠し味程度にね。


 しっかり混ざったら成形、と言いたいところだけど、結構柔らかいから難しいのよね。

 形は気にしないので、私はいつもスプーンで成形してる。

 ってわけで、油の用意。

 手はしっかり洗っておいて、フライパンに油を入れる。揚げ焼きくらいの油量でいいんだけど、んー……3センチから5センチくらいでいいか。よし、加熱。

 もう片方のコンロは多めの油を入れて、こっちも過熱。唐揚げは普通に揚げるからね。


 油が適温になるまでに唐揚げの準備。

 ジップロックを用意して、除けておいたむね肉を入れる。

 えーっと、しょうゆと生姜とにんにくチューブ。塩コショウして、料理酒と鶏ガラスープの素も全部ジップロックへ入れて、と。

 あとはきちんと封をしたら揉み込む。


「……オリヴィア、こんな感じでちょっと揉んでもらっていい?」

「ええ!! いいわよ!!」


 手があると助かるわー。

 手伝って、というとオリヴィアがやたらと嬉しそうになるので、最近はたまにこうやって簡単なことはやってもらったりする。

 オリヴィアにジップロックを渡して揉み込んでもらってる間に、バットを用意。片栗粉と小麦粉を入れて混ぜ合わせて全面に広げる。うん、これでよし。


「オリヴィアありがと。これ(バット)の隣に置いといてくれる?」

「もういいの?」

「うん、助かったわ」


 お礼を言うと照れたように笑うから可愛い。

 手が粉まみれだから撫でるのはしないけど、妹とかいるとこんな感じなのかしらね。

 唐揚げ用のむね肉をバットの横において定位置に戻ったオリヴィアを見てそんなことを思う。兄弟姉妹いないから、想像でしかないけど。


 熱した油に粉を落として温度の上がり具合を確認。

 いい感じかな? 問題なさそうなのでミンチの種をスプーンで成形しながら静かに入れていく。

 少し置いておいて、キツネ色になったらひっくり返す。

 ナゲットを揚げてる間にジップロックに入ってたむね肉をバットに出して、粉を付けていく。余分な粉は(はた)いて落として、こっちも油に投入。唐揚げはサクッと揚げるために、二度揚げ推奨。

 170度くらいで1~2分揚げて油切り。余熱で中まで火を通すために3~4分置いて、唐揚げは全部一旦揚げてしまってから、油の温度を上げて、と。

 ナゲットもひっくり返して両面がきつね色になったら油切りに上げて、次々スプーンで成形しながら揚げていく。


 うん、結構忙しないわね。一気にやると。でも熱いうちに食べたいものだからなぁ。

 頭の中でクシコス・ポストが流れてるわ。意図的にじゃないけど。


 次々仕上がっていく肉の量に比例して、オリヴィアから感嘆の声が聞こえる。

 ホント、肉好きだものねぇ。

 たぶん今オリヴィア見たら尻尾ぶんぶん振ってる感じなんでしょうね。なんか犬っぽいから、あの子。


「さて、と。オリヴィアー、大皿、棚から出してもらっていい?」

「お安い御用よ!! 出来たの!?」

「ええ。あとは付け合わせだけだから順番に盛っていくわね」


 あ、やっぱり目がキラッキラしてる。

 嬉しそうにオリヴィアが持ってきてくれた大皿にキッチンペーパーを敷いて、順番に盛っていく。

 ……大皿3枚分って、案の定かなりの量ね。

 大皿に移す作業は途中でオリヴィアにバトンタッチして、付け合わせとサラダを簡単に用意する。


 たまには楽をするのも大事ってことで、レタスを数枚ちぎって小皿に盛ったものに昨日の残りのポテサラを乗せる。

 ケチャップとマスタードは当然だけど市販品ー、と。

 ご飯は…………聞くまでもないわね。自分の分は普通にお茶碗に盛り付けて、オリヴィアのは丼鉢に盛る。

 サラダとご飯を持ってテーブルに向かうとすでにオリヴィアが席について、祈っていた。早い。


「はい、大盛り。ナゲット……こっちのやつはケチャップかマスタードつけてね」

「わかったわ! もうさっきからすっごくいいにおいなんだもの! 食べていい!?」

「はいはい。それじゃ」


「「いただきます」」


 とりあえずフープロ作のナゲットが気になってたのでそっちをひと口。

 ケチャップよりマスタード派なのでそっちで。……うん、粗目に挽いたから柔らかい。粉砕しすぎると固くなるって不思議だったけど、実際なっちゃうんだから仕方ない。原理までわかんないし。

 塩コショウもしっかりしたから味もはっきりしてるし、この間の失敗作(やつ)より断然美味しい。

 よし、リベンジ完了。


「すごい! 同じトリニクなのにここまで違うものが出来るのね!! カラアゲもジューシーで美味しいしナゲットも柔らかくて好き! いくらでも食べれちゃう!!」

「ん、気に入った?」

「ええ! やっぱりマスミのご飯毎日食べたいわ!」

「……毎日この量はキッツイわねー」


 軽口を交わしながら瞬く間に消えていくナゲットとから揚げを見て、わりと心の底からそう呟いた。

チキンナゲット(2人分)

鶏胸肉250g~300g

マヨネーズ30g・粉チーズ15g・卵(卵黄)1個・片栗粉30g・塩胡椒少々・にんにくチューブ(好みで)

唐揚げ(2人分)

鶏胸肉300g

しょうゆ大さじ2・生姜チューブ(好みの量)・にんにくチューブ(好みの量)・料理酒大さじ1・鶏がらスープの素小さじ2・塩胡椒少々

片栗粉・薄力粉(衣用)

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