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色々滞ってすみません。
来週から出来る限り取り戻します。
失礼な。
落ち着いてるか落ちついて無いかで言えば間違いなく落ち着いてるわ。まあ正気か正気じゃ無いかで言えばかなり怪しいところかなと自分でも思うけど。
『いいか、あいつが力尽きるまで踏ん張ればお前の勝ちなんだぞ! 変に無茶なことしようとするんじゃ無い!』
「ひっへうほほあ あはうへお 」
無理に無茶なことをしようとしてるわけじゃ無い。今目の前にある危機をどうにか回避しないことには、そうやって踏ん張ることだってできるはずが無い。それはそのために必要なことのはずだ。だからこその無茶。だからこその無理なのであるからして。
まあ無茶なのは間違いないことなわけだけで。
実際どうなんだろう? 飛び降りて助かる見込みはあるだろうか? 直撃すれば熊くらい殺せそうな気はするけどそれはあたりどころによりけりだし、その場合に助かるかどうかもさらに絶妙だ。よっぽど当たりどころがいいところに当たって熊を殺して、なおかつよっぽど当たりどころがいいところに当たって私が生き残る……熊を殺せなかった場合は本当によっぽど当たりどころがよくなければ衝撃で身動きが取れず、倒れたまま再び立ち上がるよりも早くそのまま熊に殺されるだろう。総合的に見るとどっちかといえば私が一人で自滅する可能性が高い気がする。
かといってこのまま木の上にいたところで生き残れる気がしない。だったらどうする? なんとかして木への体当たりをやめさせる? 一度やめさせられたとしてもそのあとが続かないような気がするのよね。倒すと言わないまでも、何かしら傷 でも与えてやらないことには、逃げるに逃げられない。
「……へひうは 、ははひはほっへふほ はひっへははひほへ 」
しっかり両手で木の幹に捕まり、立っている枝まで腰を下ろす。そして両足をその枝に巻きつける。ああ、木肌がざらざらしててきつそうだなぁ。まぁ、やるんだけど。
ふと気になって、頰に刺したままの剣の柄を手でなぞる。どこを持っても、あるいは持たなくても触れるだけで恩恵がある。なるほどね。これも一つの手にはなるのかしら。
『お、おい、なにを』
「ふんぐっ」
そして私は足の力だけで木の枝にぶら下がった。
視界が逆転し、外套と矢筒がまとめてひっくり返る。あぶな! いま下手したら矢が全部なくなってたんじゃ無いかしら。
ともあれ首にかけていた弓を右手に持ち、左でその弦を引く。熊はどこかしら? ああ、探すほどでも無いわね。
……いる。
真下、いくつもの枝の間から確かに見える。
その身を木の幹に寄りかからせて、肩からぶつかるようにして木をゆすっている。
ふっと熊が顔を上げて、お互いの目と目があった。
私は黙って矢を背から引き抜く。
熊は挑発するように笑う。
「ああそうよ。私だって貫けるなんて思ってないわ」
驚かせてやれればいいとか。
まだやる気はあるんだとか。
飛び降りたるよりは見込みがあるとか。
そんな消極的な気持ちの発露であることは確かだけどね。
「だけどこれは狩人の弓よ」
奥歯をぐっと噛み締めて、弦を引きしぼる。剣がまたぎゃーぎゃー言ってるけど無視。
ぐつぐつ笑うその口に、その舌に、その喉に狙いをつける。
「あんまり舐めるな」
射。
弦と矢を掴んでいた左手の指先が開かれ、即座に回る。
放たれた矢が弦の張力と重力を受けて真っ直ぐ落ちていき、熊が振りかぶった左腕が炎の軌跡とともにそれを飲み込む。
まあ、これだけ距離があればその程度見きれるわよね。魔獣まがいの力があるくらいなわけだし。でもね。その炎ってさ、あんまり制御できてないのよね。見てればわかるのよ。
その炎さ、あんたの視界塞ぐのよね?
Gof !? Vo !!?
二射目が頭上に掲げられた熊の手の甲を貫き、確認しようとして下げられた手の後を三射目が抜けて鼻面に突き刺さる。
矢は尽きた。だからこれが最後の一射。一撃。
『おいこら聞こえてんだろが! 俺は矢じゃねえってぇええええええ!!?』
魔剣弓射 !




