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40着目

 というか今更だけどあの子、無事……は無いな。そう、生きてるんだろうか? 不思議と腕から殆ど血が出てないようだったし、うめき声がして生きている気配があったからそのまま逃げてきたけど……うん。それだけ考えればまだ生きてるんだけど、あの時生きていたからといって今もまだ生きてる保証は無い。それに、なんでそうなったのかわからないのが不安なのよね。

 例えば、私が毎日注いでた魔力が必要な量より多かったから、そのせいですぐ治っちゃった……なんてことあるだろうか? もしそうならすごく安心できるんだけど……私の勘は違うと言っている。


へひゅーふぁ てゆーか

『あん?』

はひはへっへひへひひなにかてっていてきにはひはっへふひふぁ (まちがってるきが)……」

『間違ってるって……何が?』

「……ふぁふぁんふぁい わかんない


 でも、何か間違えてるような気がするのよね。根本的に。徹底的に。

 しかし、あんまり口動かすと頰が痛いわね。当たり前だけど。


『っと、来たぞ!』


 ……あまり考えてる暇は無いか。無駄口を叩く暇も無い。とにかく今はあいつを殺すまで私から気をそらさせない。それに集中しないと。


『揺れるぞ! 堪えろ』

「ギッ!」


 しがみついていた木が揺れる。これは……イグニションベアの体当たりかな。降りてこいって言ってるのか落ちてこいって言ってるのかわからないけど、どちらにしてもその通りにするわけにはいかないからこっちも必死にだ……っていうかこうやってひたすら耐えてていいんだろうか? これ体当たりじゃなくてもしかしてこう、へし折りに来てるんじゃ無い? なんかだんだん揺れが大きくなって根っこの方ですごい音がしてる気がするんだけど。

 でもこれだけ揺れてると今更体制を整えて他の木に飛び移るわけにもいかないし……どうしよう?


「ググゥ」

『お、おい、あんまり嚙みしめるな! 痛い痛い痛い!』


 あんた剣なんだから痛いわけ無いでしょ! 揺れに頰が引っ張られてしっかり固定してないと私が痛いのよ! っていうかこのままだと落とされちゃうんだから、そんな無駄なことに頭のほんの片隅だって割いてる余裕無いのに。

 今の高さは……はっきりしないけどまあ相当高いわよね。多分地上まで落ちたら普通に死ねる気がするわ。だとしたら……例えばこの木が倒れ始めてあの熊が揺するのをやめた時、それなら一瞬安定して……や、無理。本当にそんな一瞬に安定するとしてもそれで他の木に飛び移れるとは思えないし、だいたい揺れなくなってもそれは真っ直ぐ落ちてるってだけだ。落ちてるものから他のものに跳び移るなんてできるとは思えない。

 まあ、これだけ木があちこちに生えているなら、多分枝とかに突っ込んで止まるとは思うけど、その幸運に期待するしか無いの? それはちょっと怖い。

 いっそ……


「……」

『おい、顎の力強くなってんぞ。何考えてる! おい!』


 いっそ熊の体を当てにして飛び降りてやろうかしら。

 多分10 (18)ハード メートル程度の高さはあるだろう。この高さから私の全体重の……例えば腰に差した鉈で喰らえば、さすがに魔獣とかした熊でもひとたまりもあるまい。

 あの身を覆う炎も、熊が死んだら消えるかもしれない。それなら一瞬熱いのを我慢すれば、いける。


『無理だって! 何考えてるかわかんないけど絶対無理だから! 落ち着けって!』

いつも読んでくださってありがとうございます。

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