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「君達! 4つの形態に変形できる君達は頼りになる。ここは我々に任せ――」
冴止の創像機からスピーカーのように声が響く。
その響く声はビーストヴレイヴにも聞こえている。
だがしかし……
「任せられる買いボゲェ! 往くんや正宗君! ぶち殺したれぇえええ!」
鞘歌の怒りのボルテージは上がっていた。
それを止められるものはいない。
「仇打ちはいけないって言うけど――本能でしか動いて無さそうなやつにならかまわない気がするな!」
「なんか悪もんのセリフ見たいっすね――」
「んなこと知ったことやないねん! さっさと往くで! ビーストスピードや!」
「OK。ビーストスピード!」
その掛け声とともにビーストヴレイヴの動きは通常の倍の速さとなる。
「ほぉ」
それを見て冴止はクスリと笑う。
「どうしたでやんす?」
「早いなと思ってな。君の生み出したノワールブフとはまた違ったものだ」
目の前で目には見えないような速さで動くビーストヴレイヴを見て、思ったことをそのまま口にした。
「リアビも高速で動く彼らを重要な敵として認識したようだ。どうやら先ほどまで戦闘していた我々を気にしてもいないようだ」
巨大リアビは巨大な脚を使い、ビーストヴレイヴを狙っている。
ノワールブフには目もくれずに必死に応戦しているのが見える。
「あのままなら勝ちも負けもなく時間が過ぎるだけ――ならば?」
「わかったっす! ノワールディアグノスティックでやんす!」
「その通り。今ならその隙がある」
その宣言とともにノワールブフの目が光、巨大リアビの観察を始める。
そして一点に光が集中する。
「診断結果が出たよ。君の弱い部分はそこだよ、リアビ君」
すると背中から巨大なバズーカを出現させる。
そして光が集中している所に狙いをつける。
「君達! 少し避けたまえ! 仇打ちの手伝いをしてあげよう!」
その声に反応してビーストヴレイヴは巨大リアビから離れる。
「エネルギー充電完了っす!」
「ノワールブリゼ! 滅びて散れっ!」
バズーカからは強大な黒いビームが発射される。
光が集中していた左足の付け根にそのビームが命中する。
「ウギュアァァァァァアアァァ!」
いた身もだえ巨大リアビは苦しみ出し動きを止める。
「パワー型はスピード型と手を組んでこそだな」
「おおっ、これはいけるんやないか正宗君!」
「よし! 必殺の! ビーストブレイクロー!」
その攻撃は左足の付け根から右足の付け根までを貫通した。
巨大リアビはその攻撃に耐えきれずに倒れた。
「ふっ、どうやらこいつ以外には巨大なやつはいないようだな」
「それはよかった――」
「うおっしゃぁ、やったったで! ほな阿利洒ちゃんにチェンジや!」
勝利してスッキリした鞘歌は阿利洒と交代する。
するとズィルバーリッターに姿を変える。
「ふっ、来たわ! 私の時間がね!」
「あれ、阿利洒ちゃんやんな?」
「その通りよ!」
「なんか車の運転すると性格が変わるみたいな……」
「気にしないで進むわよ!」
「はっ、はい……」
そう言われた一同は女王がいるであろう奥へ向かって進む。