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8

テーブルの上には様々な料理が用意されている。

冴止は純粋に驚きに声を上げる。


「ふむ。なかなか豪勢だな」

「はむはむ。これうまいでやんす」


カノットはまだ誰も何も言っていないのに食事を食べ始める。

食事の文化が違うのだろう。


「ってもう食べてるっす……ってそれぼくが作ったコロッケっすね」

「あ、あんたが作ったでやんすか!」


口にコロッケを含みながら喋る。

そのためにあたりにコロッケの屑が散らばる。


「まぁ、これくらいできないと将来嫁として生きていけねぇっすから」

「な、なるほどでやんす……」


薙扨はドヤ顔をする。

カノットは加えていたコロッケをお皿におろす。


「ちなみにこちらが私の作ったハンバーグです。まぁ、薙扨さんに教わったものですがね」

「へへっ。和食はともかく洋食はぼくのほうが詳しいっすからね」


再び薙扨はドヤ顔する。

薺はニコニコしながらそれを見つめる。

その顔を見て薙扨は顔を赤くして頭をかく。


「まぁ、薺の物覚えの速さには驚かされるっすけどね」

「食に関しては亡くなったお母さんから厳しくしつけられましたから」


その話を聞くと薙扨は『ほぉ』と感心する。


「へぇ。いいお母さんだったんすね」

「はい!」


2人はとてもいい笑顔だった。


「ふむ。うまいな……」

「高級バイキングじゃこのウマさは体感できないぜぇ」

「高級でもシェフは心を入れて作っていると思うがな」


冴止の発言を聞いて正宗の顔が崩れる。


「つれねぇな……」

「だが……まぁ高級だが豪華だろうとも味わえないものは君にはあるようだな」


そう言って冴止は他の全員を見る。

正宗はそれを見てフッと笑った。


「……そやね」

「ふっ。まぁわたしもいつかそれを感じることはできるのかな」

「まぁ、それもそう遠くないんじゃないかな」


正宗はカノットを見る。

いつか来るかもしれない……

そう考えた。


「ふむ……この世界に来たのは偶然だが。それでよかったのだな」

「偶然か……」

(おれの場合は偶然じゃなかった。魚樹。お前は今どこにいるんだ……)


自分とともに穴に落ちた友人の姿を正宗は思い浮かべた……


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