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Bingata Legacy 〜沖縄戦×米軍基地配置×禁忌の紅型〜  作者: ちま
第四部 尚造編 ― 時と海を越える遺志 ―
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221/231

【禁断】2030年 ホワイトハウス会議

※本作は、ここから第四部に入ります。

2030年。

ワシントンD.C.


楕円形のテーブルに、

資料は置かれていなかった。


「――対象の管理者が死亡しました」


無機質な声が告げる。


「仲村隆司」


「享年100」


「80年間、現地で封印を維持」


別の人物が言う。


「想定より長かったな」


「小林誠一も死亡しています」


「次の管理フェーズに移行しますか?」


沈黙。


やがて、低い声。


「いや」


「返却準備を始めろ」


その決定は、

初めてではなかった。



――1962年。


同じ部屋。


まだ新しい机。

同じ形の椅子。


そして、今よりも若い声。


「……返却を検討すべきです」


「不可能だ」


即座に否定される。


「これは、国家の根幹に関わる情報だ」


「だが、このままでは――」


言葉が途切れる。

 

空気が、重い。


やがて、一人が口を開いた。


「……現地の管理者は?」


「比嘉隆司。接触可能です」


数日後。


沖縄。


海風の中、男は立っていた。

 

「――返却したい」

 

その言葉に、

隆司は一瞬も迷わなかった。


「あれは、お前らが持ってろ」


静かな声だった。


だが、誰も反論できなかった。


「……理由を聞いても?」


隆司は、わずかに目を細める。


「分からんのなら、触らん方がいい」


それだけだった。

 

交渉は、終わった。


そして――

“封印”が決まった。



――2030年。


現在。


「……100年だ」


先ほどの男が言う。


「人類は、見る覚悟を持った」

 

誰も反論しなかった。

 

それは、

かつて拒まれた決断。

 

そして、

今、ようやく許された決断だった。


窓の外では、

穏やかな空が広がっていた。



(つづく)

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