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Bingata Legacy 〜沖縄戦×米軍基地配置×禁忌の紅型〜  作者: ちま
第二部 隆造編後編 ― 時代に裂かれる布 ―
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最終話 その布が、未来を選んだ

1950年。


仲村家は、戦後の平穏を取り戻していた。


だが、紅型はただの布ではない――


それは、家族の想いと技術、

そして未来を選ぶ“生きた証”。


幼い美咲の手に、

その運命が静かに委ねられようとしていた。

朝の光が部屋に差し込む。

 

五歳の美咲は、

好奇心いっぱいの瞳で扉に手をかけた。


「美咲」


「ここはね」


「な・い・しょ」


母・文が優しく制する。


美咲は首をかしげ、

少し残念そうに目を逸らす。


ーーだが、その瞬間。


部屋の奥から

柔らかい光のような風が吹く。


美咲の足元に置かれた紅型が、

まるで生きているかのように揺れた。


――まるで、

布自身が美咲を見定め、

選んでいるかのように。


美咲はハッと顔を上げ、目を見開く。


そして、

自然と手を伸ばし、布に触れる。


「……この布、すごい……」


文は微笑み、

隆造も静かに頷いた。


「これからはね」


「美咲が工房を守る」


工房スタッフも一同、頷き、

未来への覚悟を新たにする。



時は流れ――


隆造夫妻は九十歳で天寿を全うした。


平穏の中で静かに息を引き取り、

工房と紅型を後世に残すことを見届けたのだった。



そして1965年――


美咲は二十歳になり、

堂々と仲村工房の社長に就任する。


紅型の息遣いを感じながら、

家族の想いと技術を胸に抱き、

未来を紡ぐ日々が始まった。



挿絵(By みてみん)



隆造編・完

第二部・隆造編を最後までお読みいただき、

ありがとうございました。


ここまで支えてくださった皆様に、

心から感謝申し上げます。


――そしてここから、

物語はさらに広がっていきます。



【今後の連載予定】


■尚造夫婦編(全9話)

夫婦の日常と、少しだけ優しい時間をお届けします。


■村男編(全20話)

学園ドラマから始まり、やがて沖縄戦へ――

「名もなき者たち」の物語です。


■隆司編(全4話)

ハードボイルドな短編。

第三部・美咲編へと繋がる前日譚になります。



隆造の物語が終わり、

次は「家族」と「名もなき人々」、

そして「次の世代」へ。


それぞれの視点から、

同じ時代を描いていきます。


引き続き、

Bingata Legacy をよろしくお願いいたします。

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