表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/16

第16話 悪役の位置づけについて・後編

 悪役の位置づけがあやふやだと何が起こるか。以下、その実例を紹介します。




 以前ある人から、「ストーリーがまとまらない。どうしたら良いだろう」と相談されました。


 元々のストーリーは前後編で、「強力な魔物がヒロインを連れ去った。はたして青年は魔物を倒し、ヒロインを救出できるのか! 後編にご期待ください!」というシンプルな筋立てでした。


 ところが作者はその魔物を気に入っていたので、「あいつがもっと強力な敵を倒して、魔王に成り上がる展開を入れよう」と思いつきました(もちろんそんな敵は前編に登場していません)。


 そして勢いに乗り、「実は魔物にも悲しい過去があった。今こそ憎き魔王に復讐する時だ!」という幕間エピソードを書いてしまったのです。


 そのエピソードで、魔物は魔王と戦うための切り札を手に入れます。ただでさえ強力だった魔物が、ここでさらにパワーアップ。もはや青年がどう頑張っても倒せない怪物へと進化しました。



 物語は作者の脳内で暴走を続け、いくつもの展開が浮かんだとのこと。


-----------------

【A案】

 魔物は魔王を倒したが何もかも虚しくなり、連れ去ったヒロインを解放する。


【B案】

 魔物は魔王に挑んだが力及ばず、青年の知らないところで倒されていた。


【C案】

 登場人物は全員死ぬ。

-----------------



 ちなみにB案については、こんな結末を考えたそうです。


-----------------

【B案の結末】

 もっと強い大天使が現われて魔王を封印する、または相討ちになる。

 青年はどさくさにまぎれてヒロインを救出し、ハッピーエンド。

-----------------



 私は一つ質問しました。


「この物語の主人公は誰なの?」

「えっと……」


 作者は答えることができず、考え込んでしまいました。



 誰が主人公で、何をどうする話なのか。サブキャラクターへの愛が暴走した結果、物語の主軸が崩壊していたのです。着地点が見えなくなるのも無理はありません。そこから物語を軟着陸させるのは一苦労でした。




 悪役の位置づけを曖昧にしておくと、こんな悲劇も起こりえます。本エッセイを読まれた皆さんは、同じ轍を踏まないようご注意くださいね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ