第026話 ビフォーアフターはまだまだ進行中
一応、図面まで書いた新居のビフォーアフター。
だが、実際にクリエイトであれこれ作っていくと、手直しが多くてなかなか進みません。
さて、今日はどこまで進みますかねぇ?
この前は屋根裏で水回りを弄って来たエド。
続いては居室のある2階を重点的に弄ります。
クロに跨って街を行くエドの姿。すっかり周囲の人たちには「普通の」光景になってきたようで、最近はシエロさんの店を通るたびに、シエロさんが、
「エドくーん、今日もお出かけかい?」
と、クロ用の骨付き肉を手にして声を掛けてくる。
クロも、新鮮なお肉が貰えるのでちゃっかりしたもので、「にゃ~んっ」と、ネコなで声を出して甘えている。おいおいおい、おまーさんは森の魔獣じゃなかったんかぁ?
「えー、だってぇ。おいしいもん」
うんうん、猫でしたね。期待したワシがバカだったわ。
「あんたー!人様の猫に餌付けする暇あったら、仕事しな!」
まーた店の奥から、奥さんの怒鳴り声がする。シエロさんは首をすくめて、じゃあ。と言って立ち去っていく。エドとクロはバイバイと手を振りつつ、新居への道を急ぐ。
一応、エドなら歩いても行けない距離ではないのだが、帰りは魔力を使い過ぎて歩くのが億劫になりそうなので、クロに乗っかっている。
「僕、すぐに大きくなるから、その時に乗せてあげられるかな?」
クロがそんな心配しておるが、大丈夫。
「クロが大きくなったら、その時は馬車・・・じゃないな。猫車でも作って、それを引っ張ってもらうことにするよ」
一応言っておくが、前世のネコ車じゃないぞ。
昨日と同じく、新居の裏庭に向かい、クロとはここでお別れ。クロも昨日改装した厩で藁束をベッドに、ニャンモナイトを決め込むようだ。
今日は2階の居室が主だったビフォーアフターの場所となる。と言っても、ある程度の体裁は整っているし、そこまで凝った作りにするつもりもない。だが、ここのフロアに作る風呂とトイレだけは譲れない。なにせ家族が常に使うものになるからな。手は抜く気はない。
風呂になる予定の部屋に入ると、あの猫足のバスタブが置いてあるくらいで、非常に質素な空間である。うん、これくらい何もないとやりがいがあるわい。
まずは大人3人くらいが入れる浴槽をクリエイトする。当然ただの浴槽じゃないぞ。スイッチ1つでジャグジーにもなる仕様。洗い場には大きな姿見を設置。これも湯気で曇らないような加工を施してみた。
壁の一方には、シャワーを2つ。前世で普通だった壁付シャワーと、身体の上から下まで吹き付けるボディシャワーじゃ。ちなみにバルブは水とお湯を混ぜ合わせる混合水栓にしておく。
ここまで終わったらひとまず浴室のビフォーアフターはおしまい。次は最も重要な「トイレ」である。
トイレに入ると、そこには煌びやかな装飾の施された「おまる」
「なんで、こんな臭いものに凝った装飾するかねぇ?」
ワシはそう思いつつ、「おまる」をひとまずアイテムボックスへ格納しておく。昨日、使用人の部屋でクリエイトしたトイレとほぼ変わらないんだが、やはり家族用!と言う事でウォシュレットは必需品と言う事で装備されている。これで「後ろ」の環境は大幅に改善されるだろう。
ちなみに水属性の魔石を使っているから、肝心なノズル部分さえワシが「クリエイト」でこさえれば、一般にも流通させてみたい。まあ、魔石を使うトイレなんぞ王族か貴族ぐらいでしか使わんじゃろうがの。
居室よりも風呂とトイレに時間がかかって、結局丸一日ちかく時間を使ってしまった。おまけに昨日に引き続き魔力を使い過ぎたか、かなり体がだるい。ふらふらになりつつも裏庭に戻って、クロを呼ぶ。
「あれー?今日はなんかお疲れのようだね」
「クロー、悪いけど家まで運んで・・・・」
そう言ってクロにまたがり、モフモフに突っ伏す。
昨日と同じように仕事上がりの親父殿と、家の前で出くわすが、疲れ果てていたので、
「父上~、お疲れ様です~」
とクロに突っ伏したまま、手であいさつする。
親父殿はそんなワシを見て、
「ったく、今日は一体どれだけ新居を弄ってきたんだ?いくら魔力が豊富とはいっても、限度があるぞ。今週はもう新居に行くのは禁止だな」
「えー?!」
「うにゃーん」
ワシが不平を言うのは分るが、なんでクロまで?
「だってぇ、おいしいお肉が貰えないじゃん」
やっぱ、そっちかい。
クロにまたがっていたワシは、親父殿に抱えられて家の中へ。
結局、晩飯すら諦めて寝てしまったわい。と言う事で、新居のビフォーアフターは一旦中断・・・。
居室はともかく、お風呂とトイレに全精力をつぎ込みました。
ええ、そこは妥協してはいけません。前世の水準を知った精神には「おまる」は耐えられないのです。
と言う事でウォシュレットまで仕込んだ、家族用のトイレ。エドはともかく、他の家族は使ったらどんな感覚になるんでしょうかね?




