3.33話「卒業式」
3月3日、今日は、卒業式だ。大地や、秋賢はもちろんのこと、あのAKAねも駆けつけていた。待ち望んでいた。来るべき日が来てしまった。皆が皆、そのような心持だろう。だが、青空の姿はそこにはなかった。彼は、何をしているのか。皆が疑問に思っただろう。先生も、探していたが、見つからなかった。
AKAねは、何気なく、自分の太ももに手を置いた。その姿勢が、今は一番しっくりくると思ったからだ。その瞬間だった。スマホが振動した。式の最中だったために、電話をためらったが、あまりにもしつこいので、スマホを見てみると、そこには、青空が映っていた。映っているというより、スマホの中に入っているというような不思議な光景だった。
「AKAね、スマホを人のいない所に向けて!速く!」
それは、紛れもなく青空の声だった。AKAねはさぞかし、驚いただろうが、喋れる状況下ではなく、言う通りにする他なかった。AKAねが、スマホを人気のない所に向けると、青空が小さなその画面から、飛び出てきた。AKAねは、大層驚いていたが、何度もスマホを見たり、青空を見返すという行動を繰り返していた。青空は、スマホから飛び出てしまったので、その場の、注目の的となったが、青空も訳がわからず、帰ってきてこれたことに、喜びという感情を抱いていた反面、驚きという感情が勝っていた。青空を見かけた、大地が、スピーチをしている、秋賢の元へ走っていき、マイクを奪い取った。
「以じy・・・大地!なにしt」
「すまねえ。秋賢、口塞いでくれ。」
大地は、秋賢の口を手で覆った。
奪い取ったマイクで、大地は青空に話しかける。
「聞こえるか。青空。今から、このマイクを渡す。使ってくれ。」
大地は、奪い取ったマイクで、そう言い残すと、青空にマイクを渡した。
青空は、受け取ったはよかったものの、電源が入っておらず、何を言ってのるかわからなかった。
ただ、途中で、気づきオンにしたため、その台詞だけは、みんなにはっきりと聞こえた。
「AKAね!あのさ、僕と結婚しようよ。」
しばらくの沈黙がその場には、訪れた。そして、AKAねは、その小さな口をゆっくりと開き、目を瞬かせ、青空の顔を見上げると、声を発した。
「はい…。」
青空には、卒業式で何を言ってるんんだなど、誰に言ってるんだなどの言葉が聞こえてきたが、そんなのどうでもよかった。なぜなら、AKAねのその返事は、誰にも聞こえやしなかったからだ。青空にしか聞こえなかったからだ。青空は、心の奥底で、その何にも代えがたい気持ちを叫んだ。
その後、僕らは、籍を入れ、正式に結婚した。一連の騒動はあったものの、僕は、笑いものになるだけで済んだ。AKAねと結婚できるなら、笑われたって馬鹿にされたっていい、それも僕らしいんじゃないかとさえ、思えた。僕は、こっちの世界で、アイドルにはなれなかったけれど、働くことはできた。養っていきたいと思えたからだ。3人の子供たちを、名は、炎、三葉、音葉。色々あったけれど、僕はこの世界が一番好きだ。
僕たちは今日も暮らす三角屋根の下で。
ご愛読ありがとうございました!
この作品には、3が散りばめられています。なぜなら、青空は3が好きだからです。
茜にはモデルがいます。青空にはいません。
次回作にご期待ください。




