3.32話「3月2日」
~舞台は、元の世界へと戻る~
その頃、大地と、秋賢は卒業式の予行練習をしていた。今日は、3月2日、卒業式は明日だ。青空の姿は見えない。もちろんだが、AKAねもその場には居なかった。多忙な彼女の事だ、来れるはずがなかった。クラスのみんなや、先生たちが、練習している中、主席の為、一番前にいた、大地と秋賢が、小声で話していた。
「なあ、秋賢青空どうしたんだ?最近見ないよな。それに、卒業式の前日だっていうのに来ないな。」
「うーん。どうしたんだろうね。僕にはわからないや、2年前に、話してそれっきり口はきいていないかな。」
「そうか。明日は、来るといいけどな。」
「大地。大学は何処にしたの?」
「慶応義塾大学だ。」
「え!僕も同じだよ。まさか、同じだったなんてね。なんか、作り話みたいだよね。偶然ってあるんだなというか。僕らは、家族も同然だけど、複雑だからさ。」
「そうだな。秋賢。同じ家族として誇りに思う。」
2人は、話に耽っていると先生に注意されてしまった。赤っ恥をかいてしまったが、先生はどこか嬉しそうである。ここでいう先生とは、もちろん大地と秋賢の担任のことであり、怒っているのか笑っているのか皆目見当がつかないのだ。そんな先生に3年間見守ってきてもらえたこと、2人は、胸の奥がじんわりしたに違いない。感謝を、礼を、そして愛をお互いに。
卒業証書を受け取り、校長を背に向け、息を大きく吸った秋賢は、その渇ききった口を開いた。緊張していた。ひどく緊張していた。何を喋ろうか。何を伝えればいいのか。頭の中で言葉という言葉がぶつかり合う。その、恋愛の駆け引きのような、思考回路は、彼を困らせ、混乱させた。彼は、思ったに違いない。もう、たくさんだと、だが、ここで、引き下がるわけにはいかなった。口はもう開いている。後は、言葉を紡ぐだけ、僕、できるんだ。彼は、信じた。自分を。
「みなさん。お疲れ様です。榊原秋賢です。いよいよ、明日は、本番ですね。僕は、努力が実を結び、無事志望した大学に行けそうです。この結果も、皆さんとともに、勉強してきたおかげですし、支えてくれた仲間がいたおかげです。この、高校は人数も少ないです。ですが、僕は、創立者である。源創太氏の意志を継ぎ、明日へと、未来へと、渾身の力を振り絞って、歩みたいと思います。悲しんだ人もいれば、喜んだ入る人もいるでしょう。ですが、これだけは、忘れないでください。貴方の夢は、みんなの夢は必ず叶うんです。決して忘れないでください。努力は実を結び、そして、裏切りません。続けてください。諦めないでください。夢は願うものではなく。叶えるものなんです。以上です。」
そして彼は、自分の席へと戻った。大地は、秋賢の肩を、三度叩き、自分の涙を拭った。そんな2人は、青空を待っていた・・・
次回まで、どうぞよしなに!




