3.3話「朝食は、ほろ苦い味がした」
「おはよう。葵、茜。」
「おはよ〜う!」
「おはよ。」
時刻は、九時を回っていた。挨拶し終えた青空は、二人を饗すため、朝食を作ると決めた。たが、二人の好物がわからない。そこで、聞いてみた。
「茜の好きな食べ物何かな?」
「言わない。だって食べれないもん…。」
青空君。何かわかるかな…。わかんないかな、青空君だって言えないよね。あ、でも食べ物って聞かれてた。どうしよ…。
「そっか、何か冷蔵庫にあるものから決めて作ろうかな。」
「あ、待って青空君。私、朝マックがいい!」
朝マックか、料理を振る舞いたかったけれど、今日くらい贅沢しようかな。
「いいよ。行こっか。奢るよ。」
「え、本当!嬉しい!」
「ありがとね…。」
僕ら3人は、マックへ着くと、それぞれ好きなものを注文した。葵は、食欲旺盛で、沢山食べていたが、茜は、少食なのか、一つしか頼まなかった。
どうしたんだろう。茜、調子悪いのかな。それとも、少食なのかな。あまり、食べないなんて、僕は、気になったが、深追いはしなかった。
3人は、食事を終えると、再び、家へと帰った。帰り道、僕らは、朝食が如何に美味しかったか、次は何を食べるか、今度はあそこに行きたいだとか、色んな話をした。
だけれど、僕は、二人に好きな人を聞くことはできなかった。気になって気になって、仕方なかったけれど、聞けなかった。いつ聞こうか。聞ける気がしない。いつか、聞けるだろうか。僕は、プロポーズしておいて、二人の今の事情を知らないでいる。話もしたし、お泊りもしたけれど、これじゃ、ただの友達じゃないか。若かりし頃の僕は、何を言ってたんだ。もっと、現実的になってもいいじゃないか。葵も茜も美人だ。僕とは、釣り合わない。そう思っていると、家に着いた。
「青空くーん!鍵貸して!」
「あぁ、いいよ。」
「先入ってるね〜!」
「うん。わかった。」
葵は、そそくさと家に入ると扉を強く閉めた。急いでいるのかと、思えたが、おそらく、くつろぎたいのだろう。
「ねぇ、青空君。朝ごはんありがと…。」
「いいよ。大した額じゃなかったからさ。」
「青空君。目閉じて…。」
「え、なんで?いいけど。」
理由はわからなかったけれど、僕は目を閉じた。すると、僕の唇に彼女、茜の唇がはっきりと触れたのがわかった。ほんの一瞬だった。僕はその感触を忘れられなかった。
「え、あ、かね…。」
「目、開けちゃったね…。いつでもいいからね。」
僕が、戸惑っていると、葵が、戻ってきた。
「も〜う、何してるの?あれ、邪魔だった?きゃは!」
「あ、いや、なんでもないよ。ただ話してただけだよ。入ろうか。茜。」
「うん…。」
僕らは、三好家へと、入ると僕は、忘れていたことをふと思い出す。あ、そうだ。LINE交換してなかったっけ。
「ねえ、葵、茜。LINEやってる?」
「やってるよ〜!」
「うん…。」
僕らは、交換し終えると、グループを作っておいた。
葵から、早速個人でLINEが来た。口で言えばいいのに。
{青空くんおはよう!さっき何してたの〜?笑)
弱ったな。言えるわけがなかったけれど、ここは適当に誤魔化すしかなかった。
(ううん、特に。今度、いつ早乙女家に行こうかなって茜と話してたんだ。}
{そうなんだー!3人で行こうね!私、楽しみ!!)
(僕も、楽しみだよ。}
葵も凝ったことするんだなとは思ったけれど、やはり、さっきの時間が気になったらしい。何もしてない。とは、言えなかった。それにしてもいつ行こうかな。今度の学校帰りにでも行けるといいな。と、考え耽っていると、茜からLINEが来た。
{おはよ♡こにちは♡届いてる?)
(届いてるよ笑さっきはびっくりした笑
どうしたの?}
{葵ちゃんには内緒だよ笑)
(もちろんだよ笑突然だけどさ、好きな人いるの?}
{言わなくても、わかるよね?青空君♡)
(そっか、わかんないけど、考えとく笑}
僕は、スタンプを送信し終えると、LINEを終えた。
誰が好きなのかは、わからなかったけれど、積極的な茜に驚いた。明日は何があるんだろう。期待で胸が一杯だった。けれど、僕はやっぱり、二人が好きだ。いつか、気持ちを伝えたい。僕は、今日も二人と話し始める。話題は……………………………………………………………………………気になっている人。
次回まで、どうぞよしなに。