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17 崩れる平穏

 鉱山都市クルタリはいつも通り賑わっていた。

 人々はいつもと同じ日常を過ごしていた。

 そして、それは町の中央にある王宮でも同じだった。


 キンキンキンッ


 王宮の中庭では二人の男が剣を打ち合っていた。

 一人は年の頃14か15の少年で、もう一人は二十代前半の男だ。

 どちらも金髪で赤い目をしている。


 二人は兄弟だ。

 大人の方はクルタリの第一王子ヴァンヘン・ティスタリヤ。

 若い方は第二王子オーレン・ティスタリヤ。

 二人は容姿端麗で性格もよくて、市民からも愛されるクルタリの若き星だった。


「くっそー、また負けた!」


 剣を弾かれたオーレンは、大の字に寝転んで叫んだ。


「騎士になる前に一度は勝ちたかったのにな」


「気にするな。当時の私よりも強い」


 ヴァンヘンは弟を慰める。

 それでもオーレンは納得していないようだった。


 オーレンは明日15歳になる。

 そしてこの国の王族は15になった時に騎士に叙爵される。

 オーレンは兄から一本取り、きちんと実力を認められて騎士になりたかったのだ。


「兄上! もう一度しましょう!」


「忙しいから、また今度な」


 オーレンをあしらってヴァンヘンは家臣と仕事の話を始めた。

 その時、


「南の坑道に魔物が現れました!」


 兵士が一人、中庭に駆けてきた。


「S級冒険者のキルシュが他の冒険者を率いて耐えております。すぐに援軍を」


「分かった。すぐに兵を向かわせろ」


 ヴァンヘンは隣の家臣に指示を出し、自らも向かおうとするが、


「ヴァンヘン様!ダンジョンブレイクしました!」


「北のダンジョンから魔物が!」


 続けて二人、兵士が現れた。


「何!? 三ヵ所で同時にか!」


 ヴァンヘンは驚いた。

 三ヵ所同時にダンジョンブレイクするなんてあり得ないことだった。

 これでは、まるで魔王が現れたようじゃないか、とヴァンヘンは思った。


 人魔大戦の時には全てのダンジョンから魔物が現れ、魔王に従った。

 それと似たことが起きていた。


 魔王に匹敵するような魔物がいるということか!


 ヴァンヘンは戦慄した。


「全軍を三ヵ所に、いや、全てのダンジョンに向かわせろ!」


 ヴァンヘンは声を荒げる。

 北と南、北東の通路に魔物が溢れた。

 それだけで終わるとは、とても思えなかった。


「それから冒険者もいるだけかき集めろ! 近隣の町に援軍の要請もしろ!」


 ヴァンヘンは素早く指示を出して自らも最初にダンジョンブレイクした所へ向かう。


「待ってください。私も行きます」


 オーレンが言った。


「駄目だ」


「なぜ! 私は明日には騎士になります! もう戦えるのです!」


「二人ともが戦場に出るわけにはいかない。王族は誰かが生き残らないといけないのだ」


「くっ……」


「お前には才能がある。もしもの時は頼んだぞ」


 そう言ってヴァンヘンは戦場に向かった。

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