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12 弟子入り

「どうぞ入ってください……えっと……」


「ムスキル・ベーナです」


「どうぞムスキルさん」


 ゼノはムスキルを部屋に通した。


「昨日は助かりました。お金は返しますので」


「いや、その必要はありません。そのかわり……」


「そのかわり?」


「お願いします! 私に強くなる方法を教えてください!」


 ムスキルは土下座して懇願した。

 えっ!とアウレは驚いた。


「あなたは十分強そうですが」


 とゼノ。


「もっと強くならないといけないのです。見てください」


 言うやいなや、ムスキルはバッと腰の剣を抜いて、右手の甲に突き刺した。


「ええっ!! 何やってるんですか!!?」


 アウレは引いた。


「このように簡単に傷付くのです」


 ムスキルは心底悔しそうに言った。


「気にすることないよ。勇者でも同じことしたら傷付くし」


 ゼノはいたって平静に言った。


「でも! 私は強くならねばいけないのです! 魔力のないあなたがS級に勝った秘訣を教えてください!」


 ムスキルは再度土下座した。


「何か事情があるのかい?」


「それは……」


 ムスキルは言葉に詰まった。

 たしかに強くなりたい理由は明確にある。

 忘れたことはない。

 私が守る!と王女に誓ったこと。

 遺体に縋りついて泣く王女の姿。

 鮮明に覚えている。

 しかし騎士の身分を明かしてもいいものかと迷った。


「まあ、教えるよ。秘密にしないといけないことでもないし」


 とゼノは了承した。


「ありがとうございます!」


 ムスキルは顔を綻ばせて礼を言った。

 それから死なないように回復薬を飲んで、右手に包帯を巻いた。



「俺がレイヨンに勝てたのは――――」


 ゼノはムスキルに、アウレに教えたのと同じことを教えた。

 それからアウレも含めて、相手の魔力を絶つ方法を教えた。


「このような方法があったのか……」


 ムスキルは感心した。


「じゃあ俺たちは出掛けるよ。魔力を絶つのは実戦の方が覚えやすいからね」


 ゼノが立ち上がる。


「待ってください。私も同行します」


「君はS級だろ? 来ても得るものはないと思うよ」


「少し拝見しただけですが、あなたは体術や身のこなしなども一流です。その戦いを間近で見たいのです」


「そうかい?」


「これならどうでしょう」


 言うとムスキルは自分を縄で縛った。

 手足を自由に動かせないように、体を縄でぐるぐる巻きにした。


「これなら弱い魔物にも苦戦するので、いい訓練になるのでは!?」


 ムスキルは真面目な顔で言った。

 アウレは引いた。


「たしかに。それならいいかもね」


 ゼノは乗り気だった。


「えっ!? 私こんな格好の人と歩きたくないですよ!?」


「アウレ、人を見た目で差別してはいけないよ」


「ハッ、私としたことが……!! すみませんでした!」


 アウレは謝った。


「気にしてませんよ」


 ムスキルは許した。


「じゃあ行こうか」


 こうしてゼノとアウレ、縄に縛られたムスキル、三人はクエストを受けに冒険者ギルドへ向かった。


「あれがS級を倒した男か!」


「後ろの奴はなんだ!?」


 魔無しの男がレイヨンを倒したことは、さっそく広がっていたので、人々はゼノを見てあれやこれやと言い合った。

 それに対してゼノは、うん、うん、いいことだ、と自分たちの名が売れていることに満足した。

 ムスキルが注目を集めていることはスルーした。

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