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にわにはにわにわとりが  作者: 高光晶
第一章 異世界には夢もチートもなかった

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第22羽

2 アヤのぼうけん(ダンジョンへん)


 おおきないもむしが あらわれた!

 アヤは まほうを となえた!

 きょだいな ほのおが モンスターを つつむ!

 おおきないもむしは くろこげに なった!

 アヤは せんとうに しょうりした!


 みつくびのけものが あらわれた!

 アヤの こうげき!

 みつくびのけものの くびが ひとつへった!

 アヤの こうげき!

 みつくびのけものの くびが ひとつへった!

 アヤの こうげき!

 みつくびのけものは くびがなくなった!

 アヤは せんとうに しょうりした!


 レバルトは きょうがく している


 アヤたちは こべやに はいった

 いりぐちが おともなく きえる!

 アヤたちは とじこめられた!

 こべやに みずが ながれこんで くる!

 アヤは まほうを となえた!

 ふしぎな ひかりの あわが アヤたちを つつむ!

 アヤたちは みずの なかでも こきゅうが できるように なった!

 アヤたちは ひとやすみした

 すこしして みずは きえていった


 ルイは わらっている


 なかみのないよろいAが あらわれた!

 なかみのないよろいBが あらわれた!

 なかみのないよろいCが あらわれた!

 なかみのないよろいDが あらわれた!

 なかみのないよろいEが あらわれた!

 なかみのないよろいFが あらわれた!

 なかみのないよろいGが あらわれた!

 なかみのないよろいHが あらわれた!

 アヤの こうげき!

 なかみのないよろいBは おおきな おとを たてて くずれおちた!

 アヤの こうげき!

 なかみのないよろいGは おおきな おとを たてて くずれおちた!

 アヤの こうげき!

 なかみのないよろいCは おおきな おとを たてて くずれおちた!

 アヤの こうげき!

 なかみのないよろいHは おおきな おとを たてて くずれおちた!

 アヤの こうげき!

 なかみのないよろいAは おおきな おとを たてて くずれおちた!

 なかみのないよろいFの こうげき!

 しかし アヤは すでに そこには いない!

 アヤの こうげき!

 なかみのないよろいFは おおきな おとを たてて くずれおちた!

 アヤの こうげき!

 なかみのないよろいDは おおきな おとを たてて くずれおちた!

 アヤの こうげき!

 なかみのないよろいEは おおきな おとを たてて くずれおちた!

 アヤは せんとうに しょうりした!


 エンジは かわいた わらいを うかべた


 とつぜん てんじょうが おちてきた!

 アヤは まほうを となえた!

 みえない はしらが てんじょうを ささえる!

 アヤたちは あるいて とおりすぎた


 そらとぶせきぞうAが あらわれた!

 そらとぶせきぞうBが あらわれた!

 そらとぶせきぞうCが あらわれた!

 そらとぶせきぞうDが あらわれた!

 そらとぶせきぞうEが あらわれた!

 アヤは つるぎを ふりかざした!

 はげしく かぜが ふきあれる!

 そらとぶせきぞうAは くだけちった!

 そらとぶせきぞうBは くだけちった!

 そらとぶせきぞうCは くだけちった!

 そらとぶせきぞうDは くだけちった!

 そらとぶせきぞうEは くだけちった!

 アヤは せんとうに しょうりした!


 ラーラは あぜんと している


 かべと てんじょう から むすうの や が アヤたちに おそいかかる!

 アヤたちの しゅういを ひかりが つつんだ!

 や は すべて ひかりの オーラに はばまれて アヤたちに とどかない!


 いしのドラゴンが あらわれた!

 アヤの こうげき!

 いしのドラゴンの つばさが くだけちった!

 いしのドラゴンは まほうを となえた!

 アヤの しゅういに くろい かげが まとわりつく!

 しかし アヤには ききめがない!

 アヤの こうげき!

 いしのドラゴンの みぎうでが くだけちった!

 いしのドラゴンの こうげき!

 アヤは すばやく みを かわした!

 アヤは まほうを となえた!

 アヤの りょうてに ひかりが あつまる!

 ひかりの おびが いしのドラゴンに おそいかかった!

 いしのドラゴンの からだに ひびが はいった!

 いしのドラゴンは いしの ぶれすを はいた!

 しかし アヤには ききめがない!

 アヤの こうげき!

 いしのどらごんは くずれおちた!

 アヤは せんとうに しょうりした!


 フォルスは めを みひらいている





 ……。


 …………。


 ………………。


 えーと……、なにこのヌルゲー?



 確かにアヤは問題ないと言った。

 しかしそうは言っても、何が起こるか分からないダンジョンの中だ。

 彼女の言葉をそのまま鵜呑(うの)みにするわけにもいかない。


 確かに彼女の技量はさっき見た通りだが、それでも万が一と言うことがある。

 一応俺達も自分の身は自分で守るくらいの気構(きがま)えでいたんだ。


 結論から言うと、その気構えは全く必要のないものだった。

 遭遇したモンスターは文字通り秒殺。

 仕掛けられたトラップも、片っ端からわざと作動させた上で、鼻歌交じりに魔法で防いでいた。

 防護対象に俺達全員を含めながら、だ。


 体長十メートル以上はありそうなドラゴン型のゴーレムには多少手間取ったとはいえ、それでも倒すまで二分もかかっていない。

 っていうか、まともにドラゴンの魔法食らってたはずなのに、何一つダメージを食らったように見えない。


 となりではラーラが「なんですか……? あんな魔法聞いたこともありません……」とつぶやいていたし、前に居るフォルスは「あの一瞬に突きを三回とは……」と(うな)っていた。

 俺にはちっとも見えなかったが、どうやら最後のとどめは突きだったらしい。しかも三発。

 やる方もやる方だけど、それが見える方も大概(たいがい)だな。


「この階段を降りれば最下層よ」


 息を切らすこともなく、余裕しゃくしゃくといった風にドラゴン型ゴーレムを(ほふ)ったアヤが振り向く。

 その足もとにはドラゴンの残骸(ざんがい)に埋もれかけている下りの階段が見えていた。


「と、ともかくはこれでダンジョンから出られるってことか?」

「何がともかくなのかわからないけれど、そうよ」


 それを聞いて、それまで張りつめていた空気が少し(ゆる)んだ気がした。


「ようやく出れるっすねー」

「ンー」


 みんなホッとしたのだろう。その表情にも笑みが浮かんでいる。


「それじゃあ私は降りて中核を壊してくるけど、あなたたちはどうする?」

「危険がないのでしたら、ぜひ一度見ておきたいです!」


 真っ先にラーラが返事をする。

 確かにダンジョン最下層の中核部なんてめったなことでは見られないものだ。

 管理下にあるダンジョンなら当然立ち入り禁止区域だし、それ以外のダンジョンでは最下層まで降りることなどそうそう出来る事じゃない。


 考えてみれば、これはダンジョン中核部という珍しいものを目にするまたとないチャンスではないか。

 むしろこの機会を逃したら一生お目にかかることがないかもしれない。

 危険がないというのなら、ラーラの食いつきも納得できる話だ。


「いいわよ。これまでの経験から言って、最下層には罠や守護者の(たぐ)いもないでしょうし」


 アヤの言葉を受け、俺達は全員そろって最下層へと降りることにした。

 階段を降りるとそこは意外なほど小さな部屋だった。


 何の装飾もないこれまで通りの壁と天井。

 部屋の中にあるのは俺達が降りてきた階段をのぞけばただひとつ、部屋の中央でふわふわと揺れながら宙に浮いている球状の物体だけだった。

 それは見た感じ金属のような光沢を持ち、自らがぼんやりと赤く光っていた。大きさは直径十センチほどだろうか。


「これがダンジョンの中核ですか?」

「ええ。そうよ」


 ラーラの問いにアヤがうなずく。

 まあ他に何もないのだから、これが中核なんだろうというのはわかるんだが。

 ただ、何というか……。思ったよりも――。


「貧相っすね……」


 エンジが俺と同じ感想を抱いたようだ。


「オレ、もっとヤバイのを想像してたっす」

「私もそうです。確かに魔力は感じますけど、それも微々(びび)たるものですし、とてもダンジョンを支える重要な物とは……」


 ラーラもいまいち納得しがたいという感じだ。


「そう思うのも仕方ないわ。確かに普通の人が考えるダンジョン中核部とはかけ離れているでしょうね。でも中核というのはもともと大した力を持っているわけではないの」

「そうなのか?」

「ええ。中核は言わばダンジョンの設計図、そしてマーカーとしての役割を果たすだけの存在なのよ。ダンジョンを形作る魔力をもっているわけじゃないわ」

「ということは、どっかに魔力を供給する物があるってことか?」

「それは違うわ。魔力は元々あるのよ。というより魔力が濃いところに中核を設置するというのが正しいわね。設置された中核の設計情報を元にして、周辺の魔力を使い構築されたのがダンジョンというわけ」

「へー、知らなかったっす」

「ンー」


 なぜかエンジの横ではルイがコクコクと首を縦に振っていた。


「ダンジョンを研究している専門家の中ではわりとよく知られたことなんだけど、一般の人は知らなくて当然でしょうね」

「これ、持ち帰ればいくらかお金になるんじゃないか?」

「中核自体には大した力も価値もないのよ。実際同じような物は作ろうと思えば作れるらしいわ。資料としての価値はあるかも知れないけど、しかるべきところへ持ち込んでも多分数万円ってところでしょうね。お金になるんだったら、みんなやっきになってダンジョン探索するわよ」


 なんだ。命がけでダンジョン潜って最下層まで来ても、確かにその程度じゃあ割に合わないな。


「それに、これを壊さないと私たちも帰れないわよ?」


 そうだった。確かに俺達が外へ出るためには中核を破壊する必要がある。


「わかった。貴重な物を見られたことだし、それで良しとするか」

「そうっすね」

「惜しい気もしますが、仕方がないです」

「ンー」

「ん? フォルス? おーい、フォルス!」


 そういや最下層に降りてきてからというもの、フォルスは全く会話に参加していない。

 今も俺が呼びかけるまでずっと中核を観察していたようだ。


「あ……、ああ。すまないレビィ。ちょっと考え事をしてたんだ」

「珍しいな。お前がボーッとするなんて。まあいいや、そろそろこいつを壊そうって話になってるんだけど。いいだろ?」

「ああ、そうだね……」


 少しだけ残念そうな表情を浮かべてフォルスが言う。

 こいつもせっかくの中核を破壊するのがもったいないとか思ってるんだろうか?


「じゃあ、壊すわね」


 そう宣言してアヤは剣を持ち、突きの構えを見せる。

 次の瞬間、ガラスが割れたように乾いた音が小部屋にこだましたかと思うと、気がついた時にはアヤが突きを放った体勢で静止していた。

 その切っ先は先ほどまで中核が浮いていた場所を貫いている。

 そこに存在していたはずの中核は、いつのまにか粉々になって床へ散らばっていた。


2/10 脱字修正 ヤバイを→ヤバイのを

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