リーナさんとハレアさんの小話
本編12話の後のお二人話です
「あの子、大丈夫なんですか?」
ハレアは、るんるん気分で帰って行ったアンを見送ったあと
リーナに聞いた
「どう思う?」
肩をすくめ、色っぽい仕草でふぅーとため息をはき出す
そのため息につられるようにハレアも隠しきれないため息をついた
「あの子ねー、鈍感なの」
「あー、はい、そうだと思います」
初対面なのに、きっぱりいうハレア
それは何に対して鈍感だというのか
「ティエリがいいって言う時点でねぇ・・・もう」
私なら考えられない、とおもいつつ
自分がティエリ、ギルドのちっちゃなおにーさんの恋人と想像して
青ざめ首を横に振った
「ハレアはしらない人なんだけどね
もう一人きになる人がいるのよ、あの子」
「意外ですね」
好きになったら一途だとおもってたとハレアはいう
スライムをあれほどかわいがってるアンだから
恋愛に対しても、よそ見はないと思ってた
「まぁ、恋愛未満好き以上だからだとおもうわよ?
おつきあいし始めたら、よそは向かないでしょうね~」
ハレアの疑問にそう答えて、あ、そうだったと
ふよふよと店内を飛ぶ使役獣を呼び寄せ、鏡石に記憶したものを映し出す
上位魔法の一つだが、あの学園にいる司書であるリーナが使えるのは伝統だから
当たり前だ、図書館では、つい、いたずらをする人が続出するのだから
「かっこいい人ですね・・・でも・・・」
二人は目を見合わせ口を開く
「「腹黒そう」」
と・・・
そして、困ったという顔をして、ふーっともう一度ため息をついた
「もう少しましなお相手はいないんですか?」
人ごとながら心配になるハレア
「いるけど、見向きもしてないのよね、顔っていうならカールはわかるけど
ティエリはそこそこでしょ?
あの子のつぼがいまだわからないわ」
肩をすくめ、ぷるりと豊かな胸が揺れた
「共通点は、腹黒そう、性格が悪そう、表裏があるぐらい・・・でしょうか?」
「そうねー、私たちからみたらね」
「あ、あと絶倫とか?」
無邪気な顔をしてハレアは首をかしげて体の相性でしょうか?と聞いた
リーナはくすくす笑う
「無理よ、あの子そんな話題になったら、真っ赤になって
まだっむりですってぷるぷる震えて言うわよ
キスでさえね」
「えー・・・それなのに、こびと族の人選んでるんですか?」
「そ、そこよ、問題は
あの子、ちっちゃい人だとおもってからね
きょじん族がきたら、おっきい人ですます気かしら
会わせてみたいけど、もし、があったら大変だものね」
「そうですね・・・すごく、興味は引かれますけど」
と、至極残念そうな顔をするハレア
きょじん族は、その名の通り巨大な人2~3メートルの人が多い
力が強く強靱な肉体を持つ、性的にも強靱である
そして、愛情深いため、他に目移りしないどころか、結婚から始まる恋愛である
それ故、『もし』があれば、アンは確実に頷かされ
さらわれて行くだろう
むしろ、困ったきょじん族に親切にして、その恋を目覚めさせてしまうかもしれない
そして、連れて行かれるは彼らが花嫁のために作った場所
愛を囁かれ、その身に愛を刻まれるだろう
そうなれば、使役獣も排斥される可能性がある
だから『もし』など起こってもらっては困るのだ
「ちょっと大変かもしれないけど
よろしくね」
「あ、はい、普通にお友達としてはすっごく楽しいので知り合えて嬉しいです
それに、私の作った服、すごく似合ってました
いいお客さんをありがとうございます」
「それぐらいいい目しないとね」
その意味深な言葉にハレアはそんなことは・・・といえなかった
むしろ「そうですね」と小さく呟いて
本日三回目のため息を二人で零した
こびと族、手先が器用なのはいいけど、性的にも器用
夜の魔法という相手の大きさに身体を合わせる特殊魔法持ち
がんばれアンちゃん、君の恋はどっちに転んでも前途多難だね
すっかり出すのわすれておりました
読み直しって大事ですね(ファイル的に)