第1話
よかった。また見に来てくれたんですね。私の世界観是非見ていってください。
「オギャーッ」
つい先日、「結婚・育児促進法」の申請を済ませた夫婦に元気な産声を響かせて、一人の男の子が生まれた。
父は新居屋 真、母は新居屋 有希。
ふたりの間に生まれたその子の名前は、「冬理」と名付けられ、
国への認証申請は冬理の誕生と同時に病院から、各種書類に検体が添付されすでに行われている。
法に則った制度が、彼ら(冬理)に適用されるには、約ひと月にわたる提出済みの申請書類と検体に基づく遺伝子情報検査をクリアして、正式に二人の子であると認められた後ではあるが、否定されることはほぼあり得ないことは過去の実例からも確かであった。
「これでようやく、俺達も人の親って訳だ。」
新居屋 真は、しっかりと腕を組み感慨深げに、しかししっかりと口にした。
年齢は27歳。時代から言えば早い結婚の部類に入るが、本人には特にその意識もなく、
大学を出たのち防衛企業に就職したが、その勤務先で彼女と出会い、あっという間の結婚であった。
有希は産院のベッドの上で我が子に母乳を与えつつ、そんな夫を微笑ましく見つめながら
静かに頷いている。
「そうね。男の人って、なかなか我が子だぁって実感がわかないって聞くけど?」
有希は半ば揶揄うように真の顔を見上げながら『どうなの?』と表情で尋ねる。
真はそんな有希の表情を見て、心外だと言わんばかりにむくれて返す。
「俺は、有希の妊娠を知ってからずっと見て来たんだぜ…少しずつ大きくなる有希のお腹も、毎月の検診もちゃんと一緒に受けてたろ?」
「一緒に受けてたって……それじゃまるで、あなたも妊婦さんみたいじゃない?」
真の言い間違いに肩をクックと震わせながら有希が続けた。
「……妊婦?」
思わず自分の腹に目線を落とした真は、自分のお腹が出ていないことを確認して安心した。
そんな真の様子がおかしくて、有希はついに吹き出した。
「……体が揺れて、冬理におっぱい飲ませられないじゃないの。」
有希のそんな言葉に真は一応念を押しておく。
「少なくとも俺は体型維持してるよ。体脂肪率12%だし……」
「そんなの見ればわかるわよ。」
有希は、無碍もなく返した。
「……でも、おやじは言ってたなぁ。俺が生まれた時、『こいつ本当に俺の子か?』って言ったとか言わないとか……」
「そうね。で、お義母さんが怒ってしまって、しばらくお義父さんと口きかなかったって。」
有希は笑いながら、義母の話を思い出しながら付け加えた。
「あぁ、おやじはそういうデリカシーに欠けるからなぁ。」
真は、うんうんと頷きながら、そう答える。
「で、その息子があなたなんだから、遺伝子は持ってるのよ。」
淡々とそう言うと、まだまだ弱い力で精一杯おっぱいに吸い付く冬理に視線を落としながら、
「大丈夫ですかねぇ?あなたのパパは…。」
と声を掛けると、そのまま上目遣いに真に視線を戻して、そっと首を傾げる。
「ハハ……。大丈夫…でしょ?」
真の自身無げな態度に、有希は少し大きめの声で笑った。
冬理がお腹を満たし、静かな寝息を立てるまでそれほど時間はかからなかった。
第1子を授かる時の夫婦って男女で受け取り方が違うんですかねぇ。それとも個人的なもの?
私にとっては近い未来なのか、遠い過去なのか、はたまた訪れない世界なのか?それは皆さんのご想像にお任せします。皆さんはどうですか?




