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第14話「覚醒の刻、神託の巫女」


  影喰らいが塵と化し、遺跡の奥へと静寂が戻る。

 俺はゆっくりと剣を下ろし、肩で息をついた。


「……なんとかなったな」


「うん……」

 リリエルの声がどこか遠い。


 ふと彼女を見ると、瞳にまだかすかな光が宿っていた。

 まるで何かに呼ばれているような、不思議な表情——


「リリエル?」


「……シン、聞こえる?」


「は? 俺の声は聞こえてるか?」


「ううん……そうじゃないの……この声……」


 リリエルはふらふらと遺跡の奥へと足を進める。

 俺とエコーは顔を見合わせ、慌てて後を追った。


 遺跡の奥にあるのは、巨大な石碑だった。

 古びた文字が刻まれており、そこから淡い光が漏れ出している。


「これって……?」


「“神託の試練”……」

 リリエルがかすかに呟く。

「神託の巫女として、ここで試練を受けなければならない……」


「試練って、おい……まさか」


 リリエルは石碑に手をかざした。

 すると——


 光が爆発した。


「うわっ!?」


 視界が真っ白になり、一瞬、何も見えなくなる。


 ——そして、気づけば俺たちは見知らぬ場所に立っていた。



「ここは……どこだ?」


 辺りを見回す。

 遺跡の中のはずだったが、今俺たちがいるのは、広大な白銀の空間だった。

 上も下も、すべてが白。

 まるで、現実とは異なる次元に放り込まれたような感覚。


「……神託の空間、か」

 エコーが呟く。

「本当に神の力が関与してるってわけか……」


 俺たちが戸惑っていると、突然、上空から声が響いた。


『神託の巫女よ……試練の刻、訪れたり……』


 その声は、重く、厳かだった。


 ——次の瞬間。


 白銀の空間に、黒い影が生まれる。


 それは、俺たちがさっき倒したはずの影喰らいに酷似していた。


「また影喰らいか!?」


「違う……こいつは……!」


 リリエルが息をのむ。


『影喰らいの本質……“影そのもの”』


「……つまり、本体ってことか」


 俺は剣を構える。

 しかし——


「!? 影が……」


 俺の足元に伸びる影が、不自然にうねった。

 次の瞬間——


 ズバァッ!!


「くっ……!」


 俺の影から鋭い刃が飛び出し、かろうじて避ける。


「なるほどな……影そのものを操るタイプか……厄介すぎる」


 戦況を見極めながら、俺は冷静に考える。

 こいつに普通の攻撃は通じない。

 影を攻撃できる手段……


 ——あるじゃねぇか。


「リリエル! また光の加護を!」


「わかった!」


 リリエルの瞳が光を宿し、白銀の空間に神聖な光が満ちる。


「“光浄の加護”!!」


 光が影を照らし、影喰らいは一瞬怯んだ。


「今だ、シン!」


「おう!」


 俺は持っているゴミスキルを瞬時に組み合わせた。


 【水滴凝固】で水を発生させ、それを【軽風操作】で影喰らいの足元にばら撒く。


 さらに——【風読み】で影の動きを予測し、動きを封じる。


「凍てつけ——!」


 影に降り注いだ水が、一瞬で氷へと変わる。

 

 影喰らいの動きが止まった。


「今だ!」


 俺は一気に間合いを詰め、氷の刃を叩き込んだ。


 バキィィィン!!


 凍りついた影が砕け、影喰らいは苦しみながら消えていく。


『……試練、クリア……』


 その声とともに、視界が暗転した——



「——っ!」


 気づけば、俺たちは元の遺跡に戻っていた。


「今のは……?」


「神託の試練……私が受けるべきものだったんだと思う」


 リリエルが静かに微笑む。


「でも、シンがいたから乗り越えられた……ありがとう」


「……別に。俺は、やれることをやっただけだ」


 リリエルの瞳は、以前よりも強い光を宿していた。

 

 こうして、俺たちは神託の試練を乗り越えた。

 

 ——だが。


「……なあ、リリエル」


「なに?」


「試練をクリアしたのはいいんだが……報酬とかないのか?」


「……え?」


「いや、ほら、こういうのって、何かしら報酬があるもんだろ?」


 俺の言葉に、リリエルは困ったように笑った。


「……それは、次回のお楽しみ……かも?」


次回、第15話「神託の報酬と巫女の覚醒」

 リリエルが得た新たな力とは? そして、神託の真実が明かされる——!

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