この世界に転生して半年
この世界に転生して半年。何だか怖いので、あれからチート能力ってのを使ってない。離乳食が始まったので授乳回数が減りそう。もうすぐ乳母のカロリンともお別れなのかな?残念だ、つくづく残念だ。その代わり、これからのグルメに期待大。離乳食の美味いことよ、こんなん食べたことないぞ。
そして俺は今ベッドでハイハイをしていた。ハイハイでこんなにハイになれるってスゲエ。ベッドの中だから行動範囲は物凄く小さいが、このベッドの大きさなら充分だ。
「やあ、エローシュ。今日もゴキゲンそうだね。」
そう言って俺の顔を覗き込んでるのは次男のピオールだ。その後ろから勢いよく部屋に入って来たのは五男のポルダー。アシュリーと、もう一人メイドのフォリーが続いて入って来た。俺の世話を主にしてるのは、どう見ても十代にしか見えないフォリーとミュウビーで、ミュウビーは今俺のベッドの横に控えている。そういえば、男で執事みたいな人を見てない気がする。これから見ることあるのかな?
「だあー!」ベッドの縁をハイハイしながら元気良く応えてやる。「キャッキャ」や「ばぶう」以外のボキャブラリーが増えたぞ。そういえば、今日のピオールは何だか兵隊のような服装だな。
「これから騎士団の所へ行くんだよ。ほら、それっぽいだろう?」とピオールは胸を張る。
「それっぽいじゃなくって、ピオール兄さんは騎士なんでしょ?」とポルダーが笑う。
「騎士じゃない、まだ騎士見習いだよ。まだ正式に任命されたわけじゃない。」
「ええー、だってそれ、騎士の服でしょ?前の服と色が違うのわかるもん。」
「ボルダーはよく見てるね。そうだよ、違うよ。見習いだけど、階級が上がったんだ。正式に騎士になる直前ってとこかな。」
そこへもう一人の見たことのないメイドがやって来た。
「ピオール様、そろそろお時間です。馬車の用意が出来ております。」
「ありがとう、すぐ行くよ。エローシュ、またな。」
そう言ってピオールは部屋を出た。メイド何人いるんだろ。全員の名前覚えるのムリそう。
「まあえー。」と言ってピオールに手を振る俺。またねー。もう少しでハッキリ発音出来そうな気がするんだけどなあ、赤ん坊だしこんなもんか。気づいたらポルダーが俺をじっと見ていた。そして消え入りそうな小声で言った。
「ねえ、エローシュ、騎士ってかっこいいと思う?本当はね、ぼく、騎士ってあまり好きじゃないよ、内緒だよ。」うん、秘密は守れるぞ、俺赤ん坊だし。でもメイドには聞こえてるかもよ?
「でもね、ぼくもうすぐ5歳でしょ、5歳になったら剣を習えって父上が言うの。ぼくは魔法の方がかっこいいし、魔法だけで良いんだ。騎士の人たちも魔法使えるよ、だけど、やっぱり剣が中心なの。僕、剣ってなんか苦手。それに僕って小柄らしいし、ダメだよね。魔法って6歳からだけど、ぼく、待てない。」ポルダーは4歳だったのか。ベクターが6歳なのは予想通りか。
「だんあえー。」と言ってみる。がんばれ。今は小柄でも、これからすんごくデカくなるかもよ?
そこへ別のメイドが入って来て、家庭教師のマルエールが待っているとポルダーに告げた。入り口の方を見ると、三男のプースも来ていた。プースは部屋に入ってくるなり「お別れだよ」と言った。え、何で?そして「あまりムチャしちゃダメだよ。」とだけ言って出て行った。あれ、まさかチート能力のことバレてるのかな?俺が言葉を理解してるのもバレバレってこと?ええっ?
「そうそう、ハイハイし過ぎー!」とポルダーが笑う。あ、そっちか。
「プース兄さんはね、寄宿舎に入るんだ。ぼくも寄宿舎に入るのかな。寄宿舎ってわかる?」いや、判りません、判るけど判りませんよ、ええ、赤ん坊はそんなの知りません。
「ポルダー様、そろそろ。遅くなります。」メイドが促す。
「ごめーん、今行くー。エローシュまたねー。」
「あらえー。」またねー。
さて、ハイハイタイム再開。しっかし俺、だいぶ赤ん坊っぽくなったよな、赤ん坊だけど。
コロナ自粛でヒマだった2020年頃に書いてたものです。
こういう小説を書くのは初めてです。
イキオイだけで書きました。
飽くまでギャグです。ツッコミはご遠慮ください。




