挟まれて星空
噴水前に行くと既に皆が待っていた。ニーヤが待ちくたびれたような顔をしている。
「アンタ遅いわよ。何その肉、それにその袋」
「ああ、買ってきた。はい、これ凄く美味しいよ」
「ありがとうございます。ヌールのお肉ですね、私も好きですよ」
三人に、さっきの屋台で買ったヌール串を渡す。
さっきの銅貨三枚はこのためだ。
「で、いくら使ったのお金?」
「ああ、全部使った」
「は? アンタ馬鹿じゃないの? 金貨一枚でしょ? 一体何買ってきたわけ?」
袋からトリスタルタイトのネックレスを取り出す。
「あら、綺麗なトリスタルタイトですね」
「本物ですか?」
「ええ、トリスタルタイトの偽物は殆どありません。見たらすぐ分かってしまいますからね。それにしても、よく二つも買えましたね」
「運命的な出会いってやつですよ。はいモミさん」
黄色の石の付いたネックレスを彼女に渡す。
「私にですか? ありがとうございます。とっても嬉しいですよ」
「こっちはペロ様。二人の髪の色とおそろいだ。着けてもいい?」
コクンと頷いたペロ様の首に、ネックレスを巻く。
「とっても似合うよ」
ペロ様の白い肌が、青のトリスタルタイトを一層引き立てる。
何となく、嬉しそうな顔をしてる気がした。
「け、ケンセイさん。私にも着けてくれませんか!」
「わっ、分かりました」
モミさんだとやっぱりドキドキする。存在感十分なバストは、意図せずとも視界に入ってしまう。
「はい、着けましたよ」
「どうですか? 似合ってますか?」
「はい、とっても似合ってます」
モミさんの嬉しそうな顔。やっぱり買って良かったな。
「あ、アタシには無いの?」
「あ、残念だけど二つしか無かったんだ。ゴメン」
「そ、そうなんだ……」
やばい、めっちゃ寂しそうな顔してる。ニーヤがこんな顔するなんて想像もつかなかった。
ってか可愛い。ニーヤってこんな可愛かったのか。
「は、早く行こう」
俯いたままニーヤが歩き出す。
何かすごい罪悪感だ。もっと怒ったりするものだと思ってたから。彼女のあんな背中見た事無い。
「ニーヤ。ちょっと待って」
「何?」
「ネックレスは無かったけど、これ、良かったら使ってくれるかな」
赤いヒップバック。さすがにこのタイミングで渡さないと。
「これ、アタシに?」
「うん。赤いから、何かニーヤっぽいかなって」
「あ、ありがとう……」
「どういたしまして」
「つ、着けてよ。アタシにも……」
「え、これは自分で着けれるだろ」
「い、いいから。着けてくれたっていいでしょ」
そう言って、彼女が後ろを向く。
地面に膝を落とすと、目の前には彼女のお尻が。
モミさんとはまた違う、小ぶりでキュッとしまったお尻。これはこれでまた違った良さがあるな――。
「きゃあっ!?」
両頬に感じる、胸とはまた違う谷間。
挟まれてる! 僕は今挟まっているぞおおおおお!
「何すんのよおおおおおおお!」
脳天に叩きつけられた衝撃。夜にはまだ早いが、星空が見えた。




