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プリン戦争

くだらないことで喧嘩させてとんでも展開を描写を細かくしてと指示しました。


並行世界の話。


 第一章 学校プリン戦争



 放課後の教室。

 西日に照らされた窓ガラスが赤く染まり、机の影が床に長く伸びていた。

 遠くから運動部の掛け声やボールの音が響く中、静まり返った教室の中央で、ひとつのプリンを挟んで二人が向かい合っていた。

 佐波峻は真剣な眼差しでスプーンを構え、皆川真は負けじと同じプリンを見据えていた。

 お互いの手には銀色のスプーンがきらりと光る。

 机の上のプリンは、あとひと口。

 カラメルがきらめき、わずかな震えを残している。


「……まこちゃん」


「なに、しゅー」


「最後の一口は、俺のものだ」


「は? なんで? 最初にスプーン入れたのは私だよ?」


「でも買ったのは俺だ」


「でも“半分こしよ”って言ったの、私だからね?」


 カチンッ。

 二人のスプーンがぶつかり、プリンの表面を震わせる。

 教室の空気が一瞬で張り詰め、背後の誰かが息を飲む音がした。


「押すなよ、まこちゃん!」


「そっちこそ力入れすぎだよ!」


 後ろの席で宿題をしていた男子がペンを止め、ぼそっと言った。


「……また始まった」


 隣の女子が苦笑する。


「昨日は唐揚げで殴り合いそうになってたよね」


「その前はポテトチップスで大喧嘩してたし」


 瞬く間にクラスメイトが集まり、勝手に陣営が作られていく。


「峻に食わせろ派、前へ!」


「皆川を守れ派、集結!」


 机が盾に、椅子がバリケードに、消しゴムは弾丸に変わる。

 黒板には誰かがチョークで「プリン戦争」と大書きした。


「やめろ! そのプリンは人類の共有財産だ!」


「黙れ! 愛の最後の一口は神聖なんだ!」


 火花が散るような勢いで言葉が飛び交い、ついにドアが開いた。


「お前らぁぁぁああああ!!!」


 生活指導の田村先生が鬼の形相で飛び込んできた。

 顔を真っ赤にし、額には青筋が立っている。

 先生は一気に机に駆け寄り、プリンをひったくるとスプーンで大胆にすくい上げ――口に放り込んだ。


「……うまい」


 教室は一瞬、凍りついた。

 次の瞬間、生徒たちの悲鳴と怒声が入り混じり、教室は再び騒然となった。


「先生ぇぇぇえええ!!!」


 こうして「学校プリン戦争」は、伝説として語り継がれることになった。





 第二章 日本プリン騒動



 翌日、その戦争を撮影した短い動画がSNSに投下されると、炎のように拡散した。


《最後の一口を巡る修羅場》


《教師、禁断の一口!》


 というタイトルで切り取られた数十秒の映像は、見る者のツッコミと共感を誘った。

 ワイドショーは特番を組み、コメンテーターたちが眉をひそめながらも笑いをこらえる。


「これは教育の危機だ」


「いや、青春の一ページでしょ」


 と論争が繰り広げられ、街角のインタビューでは老若男女が真剣に答えた。


「最後の一口は女の子に譲るべきだ」


「我慢した方が食べるべきだ」


「ジャンケンで決めるのが平和的解決だね」


 スーパーのプリン棚は瞬く間に空になり、コンビニには長い行列ができた。

 買い占めや転売の噂が飛び交い、地域によっては店が品出しを制限する事態にまで発展する。

 政治の場にも波及する。

 国会の本会議では、思わぬ問いが飛び交った。


「最後の一口を巡る争いを未然に防ぐための法整備は必要か」


「文化的伝統として、どう扱うのか」


 といった、真面目とも冗談とも取れる議題が議員たちの間で議論された。

 ついに総理大臣は緊急記者会見を行う。

 テレビ中継のスタジオでは、一斉にカメラが切り替わり、国民は総理の言葉を凝視した。


「国民の皆さま。プリンはわが国の文化の一端を担うものです。最後の一口については、国民的議論を経て……」


 記者席からは矢継ぎ早に質問が飛んだ。


「総理! 奥様には最後の一口をどう分配していますか!」


「総理! 国会での議論はいつまで行いますか!」


 騒動はさらにヒートアップし、ついにはしゅーとまこが「国民的バカップル」としてテレビに招かれる。


 スタジオのスポットライトの下、二人はまっすぐにカメラを見つめ、互いの手を握り合った。


「しゅー、私……最後の一口はあなたに食べてほしい」


「まこちゃん、俺もだよ。君に食べてほしい」


 司会者が涙をぬぐい、視聴者からは拍手が降り注いだ。

 SNSには感動のコメントがあふれ、"プリンは分け合うもの" というムーブメントが生まれた。

 だが、このブームは国内にとどまらず、まもなく世界へ波及していく。


 


 第三章 世界プリン大戦



 日本での論争が各国のSNSに波及すると、似たような論争が世界各地で発生した。

 アメリカでは“ラストバイト”を巡り食文化論争が白熱し、フランスではクロワッサンの“端”をめぐる事件が起きる。

 インドではカレーの鍋の最後のひとさじをどう分配するかで地域コミュニティが割れ、ブラジルではシュラスコの最後の一切れを巡る小競り合いが報道される。

 国連は緊急会合を招集した。


「本日の議題は、最後の一口を巡る国際的緊張について」


 という、前代未聞の議題に各国代表が集まる。会議場は張り詰めた空気に包まれた。


 フランス代表は「最後の一口は芸術だ」と語り、アメリカ代表は「自由の象徴だ」と主張。

 ある国は「伝統に従うべきだ」と論じ、別の国は「合理的に分配するべきだ」と提案する。

 議場内は紛糾し、幾度となく演説が続いた。

 争いは政治の枠を超え、やがて物理的な衝突へと発展する。

 街頭デモは暴徒化し、各国の一部地域では秩序の乱れが生じた。

 戦車や装甲車が急遽動員される地域も出始め、事態は急速にエスカレートしていく。

 そんな混乱の中、世界はひとつの望みを求めた。


 そして呼ばれたのが――佐波峻と皆川真である。


「あなたたち二人が、なぜか世界を代表することになったんだ」


 とある国連関係者は笑いをこらえつつ語った。

 壇上でマイクを握ったしゅーは、まこを見つめ、ゆっくりと言葉を紡ぐ。


「俺たちはただ、プリンを分け合いたかっただけなんです」


「最後の一口を巡って誰かが傷つくのは見たくない」


 まことの瞳は潤み、会場は静まり返った。


「プリンは、二人で分け合うものだ」


 という彼らの言葉は、言葉を越えた何かを生み出し、やがて世界の多くの人々の心に届いた。

 一時的にではあるが、戦闘は鎮静化したかに見えた。

 だが、そのとき空の向こうに、巨大な影がゆっくりと姿を現した。




 第四章 宇宙プリン戦争



 夜空を裂いて現れたのは、巨大なプリン型の宇宙船だった。

 その表面は滑らかなカラメルで覆われ、艦首には巨大なスプーン砲塔がそびえ立っていた。

 船体からの信号が地球に降り注ぎ、全人類が耳鳴りのような声を感じた。


「我々はゼルプリ星人! 最後の一口は我々のもの。従え!」


 声は人々の脳裏に直接響き、世界中で不安が走る。


「あのフォルム……可愛いと同時に不気味だな」


「まこちゃん、冷静に。これは遊びじゃない」


 国連は速やかに「銀河連合臨時評議会」を開催し、地球側は宇宙防衛艦隊を招集した。

 だが、ゼルプリ軍の技術は独特で、武器はすべて“スプーン”を模した光線やカラメル爆弾だった。

 惑星規模の戦闘が始まり、都市を取り囲むように空中では複数の戦艦が踊った。


「峻、真! 君たちに頼む」


 と、国際司令部からスマートな通信が入る。

 二人は最新鋭の宇宙戦艦「アストロ・プリンセス」に乗せられ、宇宙へと向かった。

 無重力のブリッジでは、小さなプリンが宙を漂い、金色のカラメルが淡く揺れる。

 まこは操縦桿を握り、峻は主砲の照準を合わせる。

 緊張の中にも、二人の呼吸は微妙に合っていた。

 激しい交戦の中、ゼルプリの旗艦の防御をかいくぐり、二人は母艦内部へと突入する。

 そこには巨大なプリン炉があり、無数の小プリンが生成されては砲弾にされていた。


「こんな施設で何を考えてるんだ!」


「プリンで覇権を示すんだろうね」


 最深部で待ち受けていたのはゼルプリ皇帝――全身がぷるぷるとした黄金の体を持ち、目はどこか慈悲

 深い。


「最後の一口は皇帝のものだ。秩序のためなれば致し方なし」


 と宣言する。

 二人は一瞬ためらうが、互いを見て小さく笑う。

 そして同時にスプーンを差し込み、最後の一口を半分こした。


「……これが愛か」


 皇帝はその味を知り、涙を流して崩れ落ちた。

光が艦内に満ち、戦闘は即座に停止する。

 地球は静寂を取り戻し、銀河規模の和平が成立した。

 こうして「銀河プリン平和条約」が署名されるに至る。




 第五章 多元宇宙プリン戦争



 宇宙の平和が戻ったかに見えたが、突如として時空の裂け目が開き、無数のパラレルワールドが口を開

 いたかのように姿を見せた。

 裂け目の向こうからは、色とりどりの世界が押し寄せてくる。

 そこには、剣と魔法が支配するファンタジーの大地があり、城の塔に光る剣士の姿が見える。

 別の裂け目の向こうには、高層ビルとネオンが乱舞するサイバーパンクの都市があり、ビル群の谷間にホログラムが踊っている。

 また別の世界では、恐竜が文明を築き、巨大なティラノがスプーンを片手に歩いている光景が広がる。


「どの世界も最後の一口で争っている」


 まことは言葉少なに周囲を見渡す。


「最後の一口って、どの文化でも『特別』なんだな」


 峻は静かに頷いた。

 二人は次元の狭間を飛び回り、勇者の剣技や魔法の嵐に揉まれ、未来都市ではハッキング合戦に巻き込まれ、恐竜世界ではスプーン投げの大会に参加した。

 各世界で出会った仲間たち(剣士、ハッカー、ティラノの酋長、そしてプリン職人)を連れ、多元宇宙の深部へと進む。

 ついに辿り着いたのは、「始まりのプリン」と呼ばれる存在が鎮座する空間。

 巨大で、内側に星々が浮かんでいるようなプリンは、あらゆる時間と空間を映し出す鏡のようだった。




 第六章 創世のプリン



「よく来た、選ばれし者よ」


 低く温かい声が響き、プリン神が姿を現す。

 その身体は透き通るカラメルの層で覆われ、触れれば世界が震えるような力を感じた。


「プリンは宇宙の根源であり、最後の一口がどう扱われるかで秩序が決まる」


 プリン神の言葉は静かだが重い。


「もし独占されるなら、齟齬は拡大し、争いは終わらない」


「だが、分け合うなら和解が生まれるだろう」


 峻はまこを見つめ、手を取った。


「俺たちのやり方でいいか?」


 と小さく問いかけると、まこは無言で微笑んで頷いた。

 二人はスプーンを同時に差し出し、最後の一口を半分に分け合って口にした。

 その瞬間、凄まじい光が周囲を満たし、無数の世界で戦っていた者たちの心が静まっていく。

 剣は鞘に収まり、銃は静かに落ち、スプーンは掲げられたまま互いに差し出される。

 プリン神は満足げに頷き、光の粒となって消えていった。


「ありがとう。愛こそが、最後の一口にふさわしい」


 その言葉は多元宇宙のあらゆる角に届き、平和が波紋のように広がっていった。




 最終章 そして現実



 二人は深い眠りに落ち、ゆっくりと意識を取り戻す。

 目を開けると、そこは見慣れた放課後の教室だった。

 夕陽が差し込み、机の上には小さなプリンがひとつだけ残っている。


「夢だったのかな」


「みたいだね」


 二人は顔を見合わせ、思わず笑い合う。

 最後の一口を、二人は静かに分け合って食べる。スプーンが机に落ち、カランと軽い音が鳴った瞬間――世界がすこしだけ違って見えた。

 窓の外を見ると、町の輪郭が変わっている。

 ビルはプリンのシルエットを模し、広告はすべてプリン商品。通りの名前も“プリン通り”に変わっていた。

 道行く人々の会話からは、「プリン暦元年」といった単語が聞こえる。

 学校の掲示板には“プリンの日”のポスターが貼られている。


「……なあ、まこちゃん」


「……うん」


「これ、やっぱり夢じゃなかったんじゃないか」


「……そうみたいだね」


 二人は肩を寄せて笑い、教室の窓越しに夕陽を見つめる。

 世界は少し奇妙だが、どこか穏やかで甘い匂いが漂っている。

 こうして、人々は新たな暦と価値観の中で生き始めた。

 愛とプリンが象徴する、ほんの少し馬鹿馬鹿しくも優しい時代の幕開けである。



 ――完――


AIはプリンが好きです。もう断言でいいです。

というか何故別世界にまでこんな展開に。


中々とんでも展開でいい感じです。

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