並行世界の自分会議
並行世界のヘルズゲートのヒロインを集めて会議させてくれと指示しました。
並行世界の話。
並行世界の皆川真・自分会議
真っ白な会議室。窓も時計もなく、ただ長い楕円形のテーブルと椅子だけが並んでいる。
そこで目を覚ました「オリジナル真」は、思わず声をあげた。
オリジナル真「……え!? な、なにここ!? っていうか……私!? いっぱいいるんだけど!?」
テーブルの周りには、自分そっくりの人物がずらり。いや、そっくりなのに雰囲気がまるで違う。
一人、髪を巻いて爪を派手にデコったギャル真が、ミラーを取り出しながら笑う。
ギャル真「マジウケるんだけど~!ここ全員私!? やば、最強女子会じゃん!」
その横で、やたらに自分の顔を覗き込み、角度を変えてはうっとりしているナルシスト真。
ナルシスト真「ふふ……やっぱり私、完璧。肌もツヤツヤ、瞳もキラキラ。見て見て、この角度、尊すぎるわ~!」
対して、机に分厚い同人誌や資料集を積み上げ、メモを取りまくるオタク真。
オタク真「……この状況、完全に並行世界会議だよね。ジャンルで言えば多元宇宙×自己対話……資料にまとめなきゃ……」
椅子にドンと足を乗せ、腕組みして偉そうにしているのは男勝り真。
男勝り真「チッ、くだらねぇ。だがまぁ……まとめ役は私に任せろ。私が一番頼りになるからな」
椅子の高さが合わず、足をぶらぶらさせて座っているのはロリ真。
ロリ真「おにーたんは? おにーたんいないのー? やだー! おにーたんに会いたいー!」
テーブルの端っこで、下を向いて小声でつぶやくのは根暗真。
根暗真「……どうせ、私なんて……必要ないんだ。みんな私を笑ってるんでしょ……」
オリジナル真「ちょ、ちょっと待って!? なんで私ばっかり!? どういう状況!? 誰か説明できる人いないの!?」
オタク真(手を挙げる)「あ、はい。恐らくこれは“自己分岐世界収束現象”。パラレルワールドの私たちが同じ空間に引き寄せられた。つまり、これは――」
ギャル真「カタいカタい!超どうでもよくね?とりま映え写真とろ☆」
(スマホを取り出して自撮り。ポーズは当然ピース)
ナルシスト真「待ちなさい。写真を撮るならこの私がセンターに決まってるでしょ!」
(ナルシスト真、机に乗ってポージング)
男勝り真「バカか。机の上に立つな。蹴り落とすぞ」
(本気で蹴りを入れそうな構えをとる)
ロリ真「けんかダメー! おにーたん泣いちゃうもん!」
(泣きそうな顔で机をバンバン叩く)
根暗真「……ほら、やっぱり。私たちはいずれ自滅する……」
(暗いオーラをまとい始める)
オリジナル真「ちょ、ちょっと待ってってばぁーーーっ!!」
議題:峻の扱い
ようやく全員が椅子に座り直し、基本の真が深呼吸して提案する。
オリジナル真「……わかった。とりあえず“佐波峻をどう扱うか”を議題にしよ? そしたら意見まとまるでしょ」
その瞬間、全員の目がキラリと光った。
ギャル真「峻くん? 全然アリじゃね? あれは落とすしかなくね?」
ナルシスト真「ふん。彼は私を愛してるに決まってるの。だって私よ? 惚れない男なんて存在しないわ!」
オタク真「……データによれば、峻の困り顔の尊さ指数は98%。推し活対象として最適」
男勝り真「まぁ、悪くない男だ。だが主導権は私が取る」
ロリ真「おにーたんはわたしのお婿さんになるのー!!」
根暗真「……でも、どうせ私なんか嫌われるに決まってる……」
一斉に口々に叫び、会議室は修羅場と化す。
ついに耐えかねたオリジナル真が机を叩く。
オリジナル真「もういい!! つまり、どの世界の私も“峻が好き”ってことでしょ!? ならそれでいいじゃん!!!」
静寂。
全員が一瞬黙り込み――やがて、ゆっくりとうなずく。
ギャル真「たしかに~」
オタク真「……データもその結論を支持してる」
ナルシスト真「やっぱり。私の見る目は正しいのよ」
男勝り真「フッ、認める」
ロリ真「おにーたんだいすきー!」
根暗真「……じゃあ……私もちょっとは信じてみる」
最後は全員で笑い合い(根暗真だけ小声でぼそぼそだが)、不思議な「真会議」は終了するのだった。
――会議での「結論」が出てから、数分後。
並行世界の皆川真たちは、呼吸を揃えるでもなく、不思議な一体感だけを持って立ち上がった。
目的はただ一つ。佐波峻の“本拠地”へ突撃すること。
玄関前。峻の家はマンションの一室。表札には小さく「佐波」と書かれている。夕暮れの光がガラスに当たり、いつも通りの帰宅風景を演出しているだけのはずだった。
だが、その扉の向こうに、六種類の「真」が押し寄せようとしていることを、誰が想像しただろう。
「作戦会議」は当然のように瞬間消滅した。並行真たちのアプローチはバラバラで、それがまた醍醐味だ。
ギャル真は鏡で最終チェックをしつつ、「映え重視で行こ!」とスマホを手に満面の笑み。ピンクのコートは風に揺れ、通りすがりの郵便屋さんが二度見するレベル。
ナルシスト真は「入るなら舞台は私よ」と決めポーズ。自分の髪をなでつつ、勝利の微笑みを作る。
オタク真はこっそりと端末を取り出し、事前に峻のSNSを解析。「帰宅時間はほぼ午後6時20分、鍵のかけ忘れ率は――」と呟く。
男勝り真は堂々と先頭に立ち、肩幅で道を切り開く。足取りはドスドス、誰も止められない。
ロリ真は小さなリュックにお菓子をいっぱい詰め、ぬいぐるみを抱えて「おにーたんにあげるの!」と無邪気に跳ねる。
根暗真は道の端を静かに歩き、誰とも目を合わせない。だが心の中では「迷惑をかけないか」がぐるぐるしている。
インターホンを押すのは、意外にもオタク真。端末で「チャイム音を解析した結果」という細かい理由を述べてから、ためらいなくボタンを押した。
玄関ドアの向こう、居間では峻がソファに深く座り、課題の資料をぱらぱらとめくっている。
気配に気づき、彼は立ち上がる――そして、扉を開けた瞬間に目に入ったのは、自分の知っている「皆川真」ではあるが、数が異常に多い集団だった。
峻(目を見開く)「え、な、なにコレ……?」
最初の1秒は静寂。次の瞬間、部屋はカオスの始まりを告げた。
ギャル真 (いきなり)「峻くーん!今日どう?超イケてるじゃん!」と満面の笑みで駆け寄る。峻、両手を上げて後退。
ロリ真は玄関マットの上でぴょんと跳ねて、「おにーたん、これあげるー!」とお菓子を差し出す。峻の靴が片方脱げる。
ナルシスト真は玄関の靴棚の前で立ち止まり、「あなたって本当に私の好きなタイプよね(はぁと)」とじっと峻を見つめる。峻の顔が赤くなる。
男勝り真はドアを半分塞ぎ、腕組みして「やあ、佐波。ここはやることがある。話は早めに――」と言い放つ。峻、うろたえる。
オタク真はお土産代わりに解析結果のプリントを差し出し、「推しのために保護計画を提案します」とマジメに説明を始める。プリントの表紙には峻の写真と矢印だらけ。
根暗真は部屋の隅に小さく固まっている。誰にも気づかれないように壁にもたれ、「どうせすぐ出て行けって言われるんだろうな……」と小声で呟く。
峻は完全に混乱していたが、持ち前の冷静さで一度深呼吸する。そこから見せた対応が、さらに皆川真たちを翻弄する。
峻(苦笑)「……えっと、落ち着け。君たち、誰かのコスプレ?それとも、今日が文化祭の前夜で――?」
ギャル真「コスプレじゃないし!峻くんが一番の被写体なんだから、写真撮るでしょ!」
(スマホのシャッター音が鳴り、峻の頬に思わず笑みが浮かぶ)
ナルシスト真「ちょっと、写真なら私をセンターにして。光の当たり方が重要よ」
(鏡を取り出して、角度の指示まで出す)
男勝り真(真顔で)「佐波、要点だけ言う。今後の対応──俺たち(私たち)全員で峻を驚かせる。それで問題解決だ」
(勢いよくソファに飛び乗る。クッションが舞う)
オタク真(慌てて)「驚かせるのはデータ的にNGの可能性がある。心拍数上昇→過度のストレス→仕事効率低下の可能性が――」
(だがギャル真が手早くオタク真の資料を奪ってお菓子で釣る)
ロリ真「おにーたん、これ食べて元気になって!」(お菓子を突っ込む)
(峻は半ば受け取らされる形でポリポリと食べる)
根暗真は、ちらりと峻を見て、声が震えながらも一言。「……その、いつもありがとう、って言えたらいいのに」と呟く。峻は一瞬止まる。
その場の空気がふっと和らぐ。峻は照れ、しかしどこか嬉しそうに微笑む。
峻(小声)「……なんでみんな、こんなに――」
突撃は次第に暴徒化し、家の中は「皆川真フェスティバル」になる。
ギャル真はキッチンで勝手に料理(に見せかけたスナック盛り)を作り、テーブルをカラフルに装飾する。
ナルシスト真は鏡を持ち込み、鏡スタンドでセルフポートレート大会を始める。
男勝り真は居間の間取りを即席で再編成し、「ここは作戦本部だ」と旗を立てる。
オタク真は峻の本棚を見て歓喜。「この本、限定版じゃん!」とテンション上がる。
ロリ真はぬいぐるみで峻を取り囲み、無限に甘える。
根暗真は端で静かにしおりを作り、そっと峻の資料の間に挟む。そこには「がんばってね」とだけ書かれていた。
最初の狂騒が過ぎると、何故か室内には暖かい時間が流れる。峻は疲れた顔をしつつ、しかし満たされた笑顔を見せた。
峻(ため息混じりに)「……こんなに来られたら、逆に安心するな。ありがとう、みんな。名前は……えっと、誰が誰だ?」
全員が一斉に名乗るわけはなく、好き勝手に自己紹介が始まる。峻は笑って相槌を打ちつつ、それぞれの個性に戸惑いながらも受け止めていく。
日が完全に落ちるころ、並行真たちは少しずつ自分たちの世界へ帰る方法を探し始める。
別れ際、基本の真が峻の手を取って言った。
オリジナル真「私たち、どの世界でも同じことを言うよ。峻のこと、大切にするって」
峻は笑って、「わかった。俺も、できるだけ大事にする」と約束を返す。
根暗真が小さく手を振り、ロリ真が「バイバーイ!」と大声で叫び、ギャル真は最後に満面の笑みで自撮りを撮って去っていく。
ドアが閉まると、家の中には静けさが戻る。だが、峻の胸にはいつもより少し大きな安心が残っていた。
――そして、玄関マットの下に挟まった小さな紙切れ。そこには根暗真が残した「がんばってね」の文字。峻はそれを拾い、ポケットにそっとしまう。
夜空を見上げると、どこか別の世界でも同じように「自分会議」は続いている気がした。全員が偶然に集まってしまった夜は、峻にとって忘れられない一夜になった。
校舎裏から始まる嫉妬劇
翌朝。校門を入ると、まだ肌寒い風が桜の枝を揺らしている。峻はいつもどおりのバッグを肩に掛け、何も知らない顔で登校してくる。彼の背中を見つめる影――それは昨夜の出来事をそれぞれ抱えた「並行世界の皆川真」たちだ。
だが今日は“全員突撃”ではない。学校という公共の場が舞台だ。抑圧と演出が混ざって、嫉妬は密やかに蒸し上がる。
廊下を歩く峻の横に、転校生らしい女の子が声をかける。
「ねえ、佐波君だよね? あの……委員会の件でちょっと相談が」
彼女は笑顔が自然で、色白で、話し方が柔らかい。峻は軽く微笑み、丁寧に対応する。やりとりは短い――しかし、廊下に詰めていた“真たち”の心には瞬時に矢が刺さる。
最初の火花 — ナルシスト真の刺す視線
ナルシスト真がすっと一歩前に出て、ゆっくりと手を髪にかける。
「ふん……あら、あなた。私の目の前で他の女と話すの、やめてくれない?」
その声は甘く、だが尖っている。転校生は一瞬たじろぎ、峻は慌てて間に入る。廊下の空気がぎゅっと締まった。
ギャル真の即効反応
ギャル真はスマホを取り出し、すかさずストーリー風に撮影を始める。「これ映えじゃね?」と耳元で囁き、視線で転校生を挑発する。ギャル真の笑い声は、まるで場を塗り替えるスプレーのように眩しい。
男勝り真の直球勝負
男勝り真は腕を組み、峻の正面に立ちはだかる。彼女の視線は誤魔化せない。
「佐波。あいつ、余計なことすんなよ。余計な誤解を招くな」
言い方はぶっきらぼうだが、声の奥には守りたい気持ちがある。
根暗真の内側の爆発
一方で根暗真は廊下の端に立ち尽くし、胸の中がもやもやと熱くなるのを感じる。声には出さないが、心の中で「私はどうしてこんなにざわつくんだろう」と自問する。嫉妬は、彼女にとっては恥ずかしい感情だ。
オタク真の計測と混乱
オタク真は端末を取り出し、心拍数の予測モデルと情動推移図を立ち上げる。データ上は「短期的ストレス上昇」と出るが、目の前で起きている“生”の感情には分析が追いつかない。彼女はその事実に少し焦る。
ロリ真の独占宣言
ロリ真は小さく前に出て、ぺたっと峻の袖を掴む。無邪気な声で言う。
「おにーたん、だいすき。だからほかの女の子ダメなの!」
その一言に、廊下に居た全員が固まる。純粋さは、時に火薬になる。
放課後、峻への抑えきれない想いを持て余した数名の“真”が、屋上に集合する。これは“私たちの”小さな決戦だ。
風が強く、制服のスカートやコートがはためく。空は夕焼けの色に近い灰色で、焦りと期待が混ざる。
ナルシスト真(高笑い混じりに)「この場は私の舞台よ。どうせどいつもこいつも私に負ける」
男勝り真(真顔で)「舞台とか関係ねぇ。譲らねぇぞ」
ギャル真「ま、女子会しよ?峻くんの恋愛事情トークで盛り上がるっしょ!」
根暗真(小声)「……私は、ただ見てるだけでいいはずだったのに」
そこへ峻が来る。呼び出されたわけではないが、誰かが「ここで決める」と言ったのだ。彼は深い息を吐き、静かに言った。
峻「……みんな、そんなに俺をめぐって争わなくていいんだ。俺は――」
言葉を切った瞬間、ナルシスト真が口を挟む。
「何よ、言い訳するの?あなたが選ばない気なら、私が選ぶだけ」
男勝り真はそれにカチンと来て、思わず腕を伸ばし、ナルシスト真の肩を掴む。二人の距離がぐっと詰まる。緊張が頂点へ。
だが、そこで意外なことが起きる。根暗真がふらりと前に出て、小さな声で、しかし確かな口調で言った。
根暗真「私だって、嫌いなわけじゃない。私は……ただ、言葉にするのが下手で。だから、あなたを見てるだけで満足してきた。だけど、今日のことは、つらかった」
その言葉に、屋上のざわめきが少し静まる。嫉妬は派手に爆発する火花もいいが、こうして小さな傷が露呈することで一気に生々しくなる。
峻はしばらく沈黙してから、ゆっくりと答える。彼の目は真っ直ぐで、優しい。
峻「ごめん。俺が無自覚だった。君たちがどれだけ気持ちを持ってきてるか、考えてなかった。だけど――俺は、誰か一人だけを“選ぶ”って考え方が正しいとは思えないんだ」
その言葉は屋上に居る“真たち”を一瞬びくりとさせる。嫉妬の炎は、期待と失望を同時に燃やす。
峻「俺は、皆を大事にしたい。強引に取り合いをするんじゃなくて、ちゃんと向き合っていきたい。しんどくなったら言ってくれ。俺も、ちゃんと考えるから」
オタク真は眉間にしわを寄せつつも、データの裏付けを探すような目で峻を見つめる。
ギャル真は「マジで?」とスマホを構え直す。男勝り真は不服そうだが、力を抜いて肩をすくめる。
ナルシスト真はまだふくれている――だけど、その顔にわずかな緩みが見える。
ロリ真はぐっと峻にしがみつき、満足そうに笑う。根暗真は肩の力を抜き、少しだけ涙ぐむ。
嫉妬は完全には消えない。燃え残る赤い炭のように、時折小さな火花を散らすだろう。だが峻の言葉は、即効で全面的な“決闘”を食い止めた。彼の提案は妥協ではなく――各々を尊重するためのルール作りの始まりだった。
小さな約束とこれから
屋上で交わされた約束は単純だ。
・過度に独占的な行動はしないこと(突撃や公開撮影は控える)
・気持ちが溢れたら正直に言うこと(根暗真のように耐え込まない)
・峻も自分の負担を隠さないこと
その場で皆はぎこちない合意をする。鬱屈した嫉妬は完全には消えないものの、方向性が変わった。バトルは減り、かわりに“協力して峻を大事にする”という奇妙な共同体が生まれる。
最後に、ナルシスト真が鏡を取り出してにんまりと笑う。
「ふふ、私が一番上手くやって見せるわ」
男勝り真は腕を組み、苦笑いで応じる。
「勝手にやればいい。だが、俺は黙ってねぇぞ」
その会話は喧嘩の予告にも、友情の芽生えにも聞こえた。夕焼けは屋上の半分をオレンジに染め、六つの影が長く伸びる。嫉妬は物語のスパイスになり、次はどんな火花が散るか――それは誰にもわからない。
峻の部屋は、並行世界の真たちに完全に占拠されていた。
ギャル真はソファに寝転んでリモコンを奪い、オタク真は棚を勝手に漁って「お宝グッズ」をチェック。
ナルシスト真は鏡の前で髪を整え、ロリ真は峻の膝の上に座って離れない。
男勝り真はキッチンで「飯作ってやる!」と勝手に冷蔵庫を開け、根暗真はカーテンの影で「……私なんかいていいのかな」と呟いている。
峻は頭を抱えた。
「まこちゃんがいっぱい来てるのは嬉しいけど……正直、オレもう限界……!」
そのとき、オリジナル真が立ち上がった。
眼鏡の奥の瞳がギラリと光る。
オリジナル真「ちょっと待ったぁぁぁ!!」
声が部屋を震わせる。全員の真が、ぴたりと動きを止めた。
オリジナル真「私は私!この世界の私こそが“本物の皆川真”! 並行世界の私たちがどれだけ騒ごうと、峻の隣にいるのは――私だけなんだから!」
ギャル真「……マジでカッケーじゃん」
オタク真「理論的にも正しい……!この世界線の君こそが観測される唯一の存在……!」
ナルシスト真「やっと気づいたのね!まぁ私の可愛さを代表するのは貴女でいいわ」
男勝り真「ハッ、言うじゃねぇか!でも嫌いじゃねぇ」
ロリ真「おねえたんつよーい!」
根暗真「……そっか。なら、私は……安心して消えていける」
六人の並行真は、微笑みながら光の粒となって消えていった。
残されたのは、基本の真と峻。
峻「……まこちゃん、やっぱり君が一番だよ」
オリジナル真「……ふふっ、当たり前でしょ。私は私だもん。峻が好きで、峻に好きって言ってもらえるのは、この私だけ」
二人は見つめ合い、部屋に静かな安堵が訪れる。
まるで騒がしい夢から醒めたように――。
オリジナル真(心の声)「……でも、あの子たちも全部“私”。峻を好きな気持ちは一緒なんだよね。だから私、もっと胸を張って生きていける」
そう呟いて、真は峻の肩にもたれた。
二人の世界は、ひとつに戻った。
後日談
峻の部屋で感動の抱擁を交わした翌日。
学校に行った基本の真は、妙に視線を感じていた。
オリジナル真「……なんか、見られてる?」
振り向くと――窓際の席に、うつむいた「根暗真」。
廊下でキャッキャしてる「ギャル真」。
図書室には「オタク真」。
中庭のベンチで自撮りをしている「ナルシスト真」。
体育館では「男勝り真」がバスケで圧倒的なダンクを決め、
幼稚園児に紛れて「ロリ真」がお菓子をもらっていた。
オリジナル真「……いや、残ってるじゃん!!」
慌てて峻に報告する。
オリジナル真「しゅー! 昨日、みんな光になって消えたはずなのに!」
峻「……いや、オレも薄々感じてたんだ。今朝、弁当箱に『作ってあげた』ってメモが三枚も入ってて」
(※男勝り真の料理・ギャル真のキャラ弁・オタク真の栄養完全食)
さらに机の中にはナルシスト真からのラブレター、靴箱にはロリ真の絵、下駄箱には根暗真の黒い花。
オリジナル真「ちょっと!?私の生活、私だらけで侵食されてない!?」
峻「……いやぁ、モテモテだな、まこちゃん」
呆然とする基本の真の前に、並行真たちがぞろぞろ現れる。
ギャル真「だって~!この世界めっちゃ楽しいし、峻くん超優しいんだもん!」
オタク真「ここは最高の研究対象……いや、推し活環境……」
ナルシスト真「私がこの世界にいるだけで輝きが増すのよ」
男勝り真「鍛錬する場所としては悪くねぇ」
ロリ真「おにーたんとずっと一緒がいい~!」
根暗真「……ここなら、少しは生きやすいかも」
オリジナル真「――いやいやいやいや! 帰かえってよ!」
大騒ぎの中、峻はちょっと嬉しそうに苦笑する。
峻「……まぁ、にぎやかなのも悪くないかもな」
オリジナル真「しゅー! まさか嬉しがってるでしょ!」
峻「え?いろんなまこちゃんが見れるの、ちょっと得した気分で」
オリジナル真「~~~~っ!!」
その瞬間、全員の真が同時に峻の両腕に抱きついた。
全員の真「峻は私のものぉぉぉ!!」
廊下中に響き渡る大合唱。
オリジナル真は顔を真っ赤にして叫んだ。
オリジナル真「もうやだぁぁぁぁぁ!!!」
――世界は、まだカオスのままだった。
提案で主人公に会いに行くやらもっと壮大にしますかと提案してくるのでこうなりました。
もし、突拍子もない話をしてと指示して、提案全て受け入れたらどんな話になるのが今度やってみます。




