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Vチューバーにはまったら?

Vチューバーにハマったらと指示をだしたらこうなりました。


並行世界の話。


 夜のリビング。

 峻はスマホを手に食い入るように画面を見ている。

 ヘッドホンからは「お兄ちゃん、今日も来てくれてありがと」という甘ったるい声。


 真はソファで腕を組んでむすっとしている。


「……しゅー、またその子見てるの?」


「え? ああ、推しの配信だよ。今日は新衣装発表なんだって!」


「ふーん……」


 配信画面から「じゃーん!新衣装どうかな?かわいい?」と声が響く。

 峻は満面の笑みで「やばい!めっちゃかわいい!」と叫ぶ。


 真はガタンと立ち上がり、思わず峻の肩をつつく。


「かわいいって……私のこともそうやって言ったことある!?」


「え? えっと……毎日かわいいって思ってるよ?」


「言葉で言いなさいよ!!!」


 ムキになった真は、Vチューバーの真似を始める。


「おにいちゃん、今日も会いにきてくれてありがと!」


 頬を赤らめながらも、声を裏返してわざとらしく演じる。


 峻はポカン。


「……まこちゃん、何やってんの?」


「アンタの推しがやってることよ!」


「いや、似てない……ていうか、声作りすぎて苦しそう……」


「うるさい! もうこうなったら私がその子より上手くやってやるんだから!」


 真は立ち上がり、思わず机の上で配信の真似ごとを始める。

 ――そこへタイミング悪くスミスが入ってくる。


「お、おぉ……皆川、何やってんだ……?」


「み、見ないで!!」


 その日の夜。


 峻は配信ではなく、真が不器用に練習した「甘え声」を録音したものを何度もリピートして聞いていた。


 真は布団の中で枕に顔をうずめて、


「バカ……そんなの聞くなら最初から私を見てなさいよ……」


 と小声で呟く。






 夕食後、真はスマホを抱えてベッドの上でニコニコ。

 画面からは低く艶のある声が響く。


「今日もよく頑張ったね。君は僕にとって一番大切な存在だよ」


 真は頬を赤らめながら「きゃー!」と転げ回る。


 峻は机で宿題をしていたが、その声を聞いてピクリ。


「……まこちゃん、誰にきゃーって言ってんの?」


「え? 決まってるじゃない。推しのイケメンVチューバー様よ!」


「様って何だよ!?」


 真は画面を見せつけるように差し出す。


「見て見て、この完璧な顔!そしてこの声!あぁ……素敵……」


「ちょ、顔なんて2Dだろ!?」


「2Dでも心は本物なの!」


「いや俺の心は!? 俺の心は本物で3Dなんだぞ!?」


 峻はムキになって、自分の低音を必死に作る。


「……今日もよく頑張ったね。君は僕にとって一番――」


「あはははは!」


 真は腹を抱えて転げ回る。


「しゅー、無理しすぎてカエルみたいになってる!」




 翌日。真はそのイケメンVチューバーの真似をして「おはよう、姫」なんて言いながら登校。

峻は慌てて止める。


「やめろって!学校でまで推しのセリフ真似するな!」


「だって素敵なんだもん」


 そこへスミスがニヤニヤ顔で登場。


「よぉ、佐波。お前、皆川に彼氏とられちまってんじゃねーの?」


「とられてねーよ!!」


 真は「彼氏じゃなくて“推し様”!」とドヤ顔。




その夜。

峻は一人、スマホの前で練習していた。


「……今日もよく頑張ったね。君は僕にとって一番大切な存在だよ……」

(低音練習中)


 背後から真の声。


「しゅー……何してんの?」


「!!? な、何でもない!」


 真は笑いながら峻の背中に抱きつく。


「私は推しも好きだけど……一番大切なのは、しゅーだからね?」


 耳まで真っ赤になる峻。


「……だったら最初からそう言えよ……」







 放課後の教室。

 真は昨日見た男Vチューバーのセリフを、クラスメイトの前で冗談半分に披露していた。


真(低音イケボ風)

「……今日も頑張ったな。君の努力、ちゃんと見てるから」


 教室にいた女子たちが一瞬で赤くなって、


「え……///」


「なにその声……かっこよすぎる……」


とザワザワ。


「ま、まこちゃん!?なにやってんだよ!」


 峻は慌てて立ち上がる。


 だが女子たちは興奮気味に集まってくる。


「皆川さん、それもう一回やって!」


「台詞録音していい!?」


「次、生徒会で朗読会してよ!」


 真は照れつつも調子に乗って、さらに決め台詞を披露。


「君は僕にとって……たった一人のプリンセスだ」


「きゃあああ!!!」


 黄色い悲鳴が響く。


 峻は机を叩いて叫ぶ。


「ちょっと待てーーーっ!!!」




 休み時間、真に食ってかかる峻。


「まこちゃん!あんなの男子に向かってやるもんじゃない!」


「えー?みんな喜んでたし、サービス精神よサービス」


「サービスの域超えてたから!女子たち全員惚れてたから!」


「ふふん、私って才能あるかも?」


「調子に乗るなーーー!!!」




 放課後。

 真は一人、下校中に峻の耳元でささやく。


「……でも本気で言うときは、あなただけに言うからね」


 峻の顔が一瞬で真っ赤になり、


「……くそ、ズルい……」と小声で漏らす。


 その後ろで、偶然聞いていたスミスが爆笑。


「佐波、完全に骨抜きじゃねーか!」





 文化祭ドタバタ編



 文化祭当日。教室は喫茶店企画でにぎわっているが――。


「みんな、体育館に集合!“スペシャルステージ”始まるって!」


 そんな声に釣られて峻も足を運んだ。


 ステージに立ったのは――なんと男装した真!

 制服を改造してジャケットを羽織り、髪を後ろでまとめ、低音イケボを響かせる。


「今日ここに集まってくれた君たちに、最高の時間を届けよう」


会場「キャーーーー!!!」


 女子生徒たちは大熱狂。


「皆川さん……じゃなくて“ミナト様”最高!」


「王子様みたい!」


「推します!!」


 真は照れながらも完全にスイッチが入っていて、

「君が笑ってくれるだけで、俺は幸せだから」

と決め台詞。


 女子たちはバタバタ倒れそうになり、会場は黄色い悲鳴で埋め尽くされる。


 客席で峻は青筋を立てて叫ぶ。


「やめろーーー!俺の彼女に惚れるなーーー!!!」


 しかし歓声にかき消される。


 スミス(客席でジュース片手に)


「おいおい佐波、完全に負けてんじゃん」


「負けてねー!俺は彼氏なんだぞ!!」


「でも人気投票したら一瞬でお前最下位だぞ」


「ぐぬぬ……!」




 バックステージ



 ステージが終わり、真は汗をぬぐいながら裏に戻る。

 そこへ怒り心頭の峻が突入。


「まこちゃん!あんな格好して、あんなセリフ言って!またみんな本気で惚れてたぞ!」


「えへへ、受けてたでしょ?楽しかったなぁ」


「楽しいじゃねぇ!!俺は全然楽しくない!!!」


 真はくすっと笑い、峻の胸に指を突きつける。


「大丈夫、ステージでは“みんなの王子様”だったけど……プライベートでは“しゅー専用”だから」


 峻の顔が真っ赤に。


「っ……そういうこと平気で言うなよ……!」





 その後。文化祭の人気投票で「ミナト様(真の男装キャラ)」はダントツ1位。

 峻はむすっとしたまま結果表を見つめる。


「しゅー、私が一番にしたいのは、あなただけだから安心して」


「……ほんとだろうな?」


「もちろん!」


 そこへスミスが割り込んでニヤニヤ。


「なぁ佐波、お前もう彼氏ってより“ミナト様のファンクラブ1号”って立場だろ」


「うるせぇぇぇ!!!」






 文化祭ドタバタ完結編





 ステージ裏。衣装係に捕まった峻。


「佐波くん、急に人手が足りなくて!お願い、一人だけ女装枠に出て!」


「はぁ!?俺が!?」


 断る暇もなく化粧を施され、ドレスを着せられる。



 体育館の幕が上がる。

 そこに現れたのは――

 金髪風のウィッグ、白いドレス、長い脚を惜しげもなく出した「美女」…だが中身は峻。


「……俺だってば!!」


 と叫んだ瞬間、

会場「キャーーーー!!」

 男女入り混じった悲鳴と歓声。


「なんだあの美人!?」


「洋画に出てきそう!」


「抱いてくれ!」


「いや抱かねぇよ!?!?」



 真は客席で固まる。


「な、なんでしゅーがあんなに似合ってんのよ……!」


女子たちは


「佐波さん可愛いー!」


「いやイケメンすぎる!」


「俺、男だけど惚れそう……」


 ステージ後、控え室に戻ってきた峻を真が待ち構えていた。


「……しゅー、なんで私より人気出してんのよ!」


「いや俺だって好きで女装したんじゃないからな!?勝手に衣装係に捕まって!」


「うぅ~~~!私より“王子様”っぽいのに、“お姫様”でも勝つなんてずるい!」


 峻は苦笑して、真の頭を軽くぽんぽん。


「俺はお前に人気勝つ気なんてないよ。……一番になりたいのは、まこちゃんの隣だけだから」


 真は真っ赤になりながらそっぽを向く。


「……そ、そういうこと言うから……許しちゃうじゃない」




 文化祭人気投票、1位「ミナト様(真の男装キャラ)」、僅差で2位「謎の美女(峻の女装)」という結果。


「ふふん、やっぱり私の勝ち!」


「……勝ち負けの話じゃないだろ」


「でも負けないからね!私のほうが、ずーっとみんなに愛されるんだから!」


「俺にとっちゃ一番大事なのは……まこちゃんだけだって」


「~~っ、バカップル発言禁止!!!」


 スミス(後ろで爆笑しながら)


「二人とも文化祭のMVPだな」






 後日談



 文化祭から数日後。

 峻の部屋の扉が半開きで、真がちょっと覗き込む。

そこには――鏡の前でウィッグをかぶり、口紅をうっすら塗りながら


「……やっぱ俺、意外と似合うかも」


 なんて呟いてる峻の姿。


「……な……っ!?」

 

 真はガーンと硬直。


(う、嘘でしょ!?文化祭のアレは一回きりじゃなかったの!? まさか……しゅーが……女装に目覚め……!?)


 峻はまだ気づかずにポーズを決めている。


「……やっぱり横顔のラインは悪くないな。化粧って奥深ぇ……」


「やめてぇぇぇぇ!!!」


「うわっ!?まこちゃん!?いつから見てた!?」


「しゅー!ど、どうしてそんなことしてるの!」


「いや、なんか……文化祭で似合うって言われたの思い出して……ちょっと試しただけだって!」


「ちょっとでウィッグ用意して口紅塗らないでよ!!!」


 そこへスミスがふらっと登場。


「おぉ、佐波、完全にそっちの才能に目覚めたな!」


「やめろぉぉぉ!!!」


 その日の夜。

 真はベッドの中で布団をかぶってうじうじ。


「……私の彼氏が女装にハマったらどうしよう……」


 しかし峻は横で大笑い。


「まこちゃん、安心しろって!俺が本気で好きなのは、お前だけだから」


「……ほんと?」


「もちろん。女装は……あくまで趣味の練習?」


「練習!?やっぱりやる気あるんじゃない!!」


 そしてまたドタバタが始まるのであった――。





Vチューバーハマって、ヒロインもハマらせて、話の提案で等々真がホストに。

低い声出したらイケメンなのか、いいね。

何気に性格少し違う気がするけどまあ並行世界ってことなのでよしにしよう。

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