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117/122

117.第七王子は神を圧倒する



 俺は信者どもの、俺をたたえる声をうけて、進化した。

 女神リスタルテよりも強い神格を獲得したのだ。


「さぁ、こいよ女神。格の違いってやつを見せてやるよ」


 目の前には黒白の翼を持つ女神、リスタルテ。

 月面にて、俺たちは向き合っている。


【く、喰らいなさい!!!!!!!】


 リスタルテは翼を広げる。

 そこから羽を無数に飛ばす。


『レーザーが来るっすよ!』

『避けろ、ノア様!』


 アニマルズが叫ぶが、俺は避けない。

 レーザーは……すべて、俺を避けていった。


【ば、馬鹿な!? 運命操作によって、必中効果が付与されたレーザーがどうして!?】

「ハッ! なーに驚いてやがるんだい。おまえがやったことだろうが」


 俺が不敵に笑ってみせる。

 一方、リスタルテは動揺していた。焦ってまた同じレーザーを撃ってくる。


 だが飛んできたレーザーはやはり俺を避け、今度は方向を変えて、リスタルテに強襲する。

 無数のレーザーがリスタルテの体を穴だらけにした。


【ど、どうして……?】

「お優しい俺が教えてやろう。おまえの運命操作の力を、模倣させてもらった」

【能力の、模倣!? 馬鹿な! 神の力ですよ!?】

「神だろうがなんだろうが、俺に力を見せたのが運の尽きだな。闇の大賢者ノアールが、最も得意なことをお忘れのようだ」


 俺を転生させたのは、リスタルテ本人だというのによ。

 

『ど、どういうことっすか?』

「闇の賢者時代の俺は、独学で魔法を学んだんだよ。モンスター、魔法使い、あらゆるやつらの使う魔法を見て、覚えた。それゆえに、俺はどんな力も、一度見ただけで模倣できるようになったんだよ」


 最初、俺は何も持たない人間だった。

 でも俺は闇の賢者という人生のなかで、敵の能力を模倣する力を身につけた。


【く、くそ! ならば……より強く運命操作の力を付与し、物理攻撃だ!】

「はっ、かかってきな」


 リスタルテの手に、黒い光のバスターソードが握られる。

 俺はその場から逃げない。


【消え失せろ、塵芥!!!!!!】


 リスタルテの高速斬撃。

 だが、俺はその攻撃を……正面からピタッ、と受け止めた。


【刃を受け止めるですって!? 光を越えた速度の斬撃で、しかも斬撃には必中の力を付与されてるっていうのに!? どうやって!?】

「白銀の剣聖の力をお忘れのようだなぁ」


 今度は、剣聖の力を見せてやる。


「白銀の剣聖の特技はよぉ、白刃取り! どんな攻撃も受け止めることができるんだよ!」


 俺は両手で受け止めた刃を、へし折ってやる。

 唖然とするリスタルテの土手っ腹に、けりをお見舞いしてやった。


【うぎゃあああああああああああああああああああああああ!】


 リスタルテがぶっ飛んでいく。

 途中にあった星々を砕きながら、遙か遠くへと飛んでいった。


 ま、あんくらいじゃ死なないのはわかってらい。

 目の前に、リスタルテが転移して帰ってくる。


【どうなってる……!? なぜ、わたしの能力が効かない!?】

「おまえは人間を舐めすぎなんだよ」


 闇の賢者、白銀の剣聖。

 俺は二度の人生を経験してきた。


「おまえは結果のみを重視してたようだがなぁ……人間、結果より過程のほうが重要なんだよ」


 二度の人生を通して、俺はあらゆる魔法を身につけ、あらゆる剣の技を身につけた。


「どんな気持ちだ? 過程を軽んじたおまえが、その過程で身につけた力に、圧倒される気分はよぉ?」


 人様の運命を、気軽にいじってきたから、やつは気づけなかったんだ。

 人生は、その過程で、いろんな物を身につける。それがすごい力となることを、やつは知らなかった。だから、負けるんだよ。


【ぐ……くくく! あははは! 愚か者! あなたのやってることは無駄なんですよ!】

『なんすか急にこいつ?』


 ロウリィの問いかけにリスタルテが応える。


【わたしの目的は死ぬことです。あなたはわたしを攻撃し、殺そうとしてる。でもそれはわたしの望むこと! あなたが勝とうが負けようが、わたしの目的は達成させられるんですよ!】


 まあね。

 たしかにこいつは死にたがっていた。俺が殺したらラッキーってやつだ。負けてもいい。


 一方俺は、リスタルテを殺してしまったら、リスタを助けるってい目的は達成できない。

 殺さなかったら、逆にやられる。なるほど、俺の方が不利。


「と、思うじゃん?」


 そのとき、リスタルテの背後から、ナベリウスが出てくる。

 やつは影に潜り込むことができる。


「ナベ! やれ!」


 リスタルテの翼の間から、黒い影の触手が湧き出てきた。


【これは影の触手!? 悪魔の力か!】

「ああそうさ。俺に夢中で、ナベが近づいてることに気づかなかったようだな女神様よぉ!」


 ナベリウスの作った影の触手によって、リスタルテは拘束される。

 今だ……!


「ロウリィ! こい!」

『な、なんかよくわかんねーけど……とりゃー!』


 左手で白猫をわしづかみにすると、俺は右手を開く。

 そこには、黄金に輝く光が凝縮されていた。


「ロリエモン! In 神の力!」


 俺が戦闘中に構築した術式を、ロウリィに付与する……!

 かっ! とロウリィの体が光り輝く。


 そこには、白銀でできた、1本の長刀が出現した。

 刃には竜の文様が刻まれている。


「これぞ青龍刀ならぬ、白竜刀!」

【く! 離しなさい! はなせ……!!!!!!!!!!!】


 ナベが女神を拘束してる間に、俺は白竜刀を構える。


「いくぞ! ぜりゃぁあああああああああああああああああああああ!」


 俺は白竜刀を持ってリスタルテに接近。

 その刃の切っ先を……。


 ドスッ……! とリスタルテの眉間に突き刺す。


『ノア様!? どうするんすか!? リスタの肉体死んじゃう……』

【ば、馬鹿な!? なぜわたしが生きてるのだ!?】

『うええ!? 生きてる!? なんでぇ!?』


 無知なるこいつらに教えてやる。


「白竜刀はロウリィの力が付与されている。ロウリィの力……すなわち、再生の力がな!」


 つまり、この刃では肉体を傷つけることが決してないのだ。

 傷つけるとノータイムで、傷ついた細胞が、ロウリィの再生の力によって治されるわけだからな。


【い、意味がわからない! 人を殺せない刀を作って、それで何をするつもりですか!?】

「てめえの中に、入らせてもらうぜ!」


 俺は、構築した魔法を発動させる。

 かっ……! と俺とリスタの肉体が輝き出す。


「精神を転写する魔法……発動!!!!!!」


 刀を通して、俺はリスタルテの肉体のなかに、自分の精神を転写する。


『リスタの魂を回収してくるんすね!?』

「そういうことだ! いってくるぜ、アニマルズ!」


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