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116/122

116.第七王子は圧倒的な【さノ力】を見せつける

【☆★おしらせ★☆】


あとがきに、

とても大切なお知らせが書いてあります。


最後まで読んでくださると嬉しいです。



 俺はリスタの体を乗っ取った女神、リスタルテと戦うことになった。

 月面にて。


『先手必勝っす! くらえ!』


 竜姿のロウリィが、全魔力を解放し、それを口の前に集中させる。


聖竜吐息ホーリー・ブレス!』


 ロウリィは再生の力を持っている。

 それを凝縮し、竜の息吹として発射。


 触れた物は過剰な細胞活性を受けて、逆に死滅する(過剰成長のため)という技。

 だが……。


 リスタルテは……なにもしない。

 ただその場に立っているだけだ。


 ……しかしブレスがリスタルテを避け、どこかへと飛んで行ってしまった。


『んな!? ありえねえっす! 直撃コースじゃあないっすか! どうして当たらない……?』

【無駄です。運命の女神に、そのような粗末な攻撃は当たりません】

『んじゃ直接攻撃はどうよ!!』


 狼姿のナベが一瞬でリスタルテの背後に回る。

 目で追えないレベルの早さでリスタルテに、超接近した状態から、高速のひっかき攻撃。


 だが、ナベリウスの腕がリスタを避けた。

 ロウリィも同様に直接攻撃を加えようとして、失敗。ナベと同様に、攻撃が当たらないのだ。


「よくやったアニマルども。今のでだいたい、リスタルテの能力を把握した」


 ロウリィたちが戻ってくる。

 子猫と子犬姿に戻ったアニマルども。


「リスタルテは運命を操作してるようだ」

『んな!? な、なんすか運命を操作って……』

「たとえば攻撃を放ったとする。直撃するという運命を、直撃しないものへと変えた」


 物事には原因と結果がある。

 その結果を変える、とでも言えいいのだろうか。


「リスタルテにいかに攻撃を加えようと、攻撃が当たる運命をねじ曲げ、当たらないようにするんだ」

『そ、そんな……無敵じゃあないっすか!』

『攻撃が絶対に当たらないんだ……勝てるわけがない』


 アニマルどもは諦めちまってる……?

 いやいや。


【そうです、あなたたちはわたしには絶対に勝てない】

『『だが、ノア様は勝つ……!』』

【……何を言ってるのですか?】


 にやり、と笑うアニマルども。


『たしかにうちら常人じゃ、あんたに勝てないかもしれないっす』

『でもうちのゴッドノア(笑)は、やることなすこと全てめちゃくちゃ』

『いつもうちらの予想を遙かに凌駕する、すんげえことしてみせるんす!』

『ああ、ノア様なら……!』


 フッ……アニマルどもめ。

 俺にそんな過剰な期待を向けやがってよぉ……。

 そんな風に期待されたら、応えてやらねえとなぁ!


「つーわけで、選手交代だ」

【……人間風情が。魔神と悪魔でも適わなかった、この神に勝てるとでも?】

「わりいな、女神。どうやら俺は……神らしいからよお!」


 俺は一瞬で距離を詰めて、剣聖の剣……聖剣技を放つ。


「飛燕斬!」


 超速の斬撃。

 そこからつながる……。


「飛燕連斬!」


 高速連続攻撃。だがそれら全てがリスタルテには当たらない。


【愚か者が。先ほど私には運命操作の力があるとわかったはずです。それでもなお攻撃をしようとする……やれやれ、これだから愚者は……】


 どがんっ!


【がはっ!】

『攻撃が当たった!?』『どうなってるのだ……?』


 リスタルテの脇腹に、石の弾丸がぶっささっていた。


【どうなってる……!? わたしへの攻撃は当たらないはず!?】

「さぁ、どうなってるのかなぁ!」


 俺は剣を構えて、聖剣技を披露する。


「六花閃!」


 一振りで六つの斬撃を放つ技。

 だがリスタルテの運命操作の力によって、斬撃は全て外れる……。


 どがががっ!


【ぐっ……! またしても!!!】


 今度は背中に氷の槍が突き刺さっている。

 ふらついてる間に懐に忍び込み、斬撃を放つ。


 と同時にまたやつが魔法による攻撃を受ける。


「おらおらどうした女神ぃ! その程度かぁ……!?」

『! わかったぞ……ノア様が押してるからくりが!』

『どうなってるんすか、なべたん!』


 リスタルテが距離を取る。そして、やつも気づいたようだ。


【そうか……あなたは、運命操作の弱点を突いてきてるのですね!】

「ふっ、気づくのおせーっつの」


 ロウリィが首をかしげながら、ナベリウスに尋ねる。


『弱点なんてあるんすか?』

『ある。運命操作は、観測することが条件なんだ』

『観測?』

『ああ。敵の攻撃という原因を観測することで、攻撃が当たるという結果をねじ曲げる。これが運命操作だ。しかし裏を返せば、原因がわからないことには、結果を変えることができない』


 つまりリスタルテが変えられる運命は、自分が見えてる範囲だけってこった。

 ならば、剣で敵の注意をこちらに向けさせ、見えないところか魔法で攻撃すればいい。


『そっか! 観測されなければ、運命を変えられない。だから、死角からの魔法攻撃が有効なんすね!』


 俺はにやりと笑ってみせる。


「運命の女神とかご大層な名前の割りに、変えられるのが見えてる運命だけなんてなぁ! ちゃっちいなぁ、え? 運命の女神さまよぉ!」


 リスタルテがぎりりい、と歯がみする。


【黙りなさい!】


 ばっ、とリスタルテが翼を広げる。

 三対の黒白の翼から、光る羽が無数に舞い散る。……! やべえ!


【消えなさい!】


 ビゴォオオオオオオオオオオオオオオ!

 羽一枚一枚がレーザーとなって、俺たちに降り注ぐ。


 レーザーは向きを変えて、俺、ロウリィ、ナベリウスへと飛んできた。

 俺たちが回避行動を取る。


 だがレーザーは追尾してきて、俺たちの体を蜂の巣にした。


「ぐっ……いってえ……レーザー攻撃に、自分の運命操作の力を付与してきやがったな」


 敵の攻撃を観測することで、敵の攻撃が当たらないというふうに運命を変えた。

 それを応用し、自分の攻撃を観測することで、攻撃が当たらないという運命を変え、当たる未来に運命を変えやがったのだ。


【見たでしょう、これが運命の力! 神によって決められた運命は絶対なのです!】


 またしてもレーザーが飛んでくる。

 結界を張ってもそれを回避して、俺たちにぶち当ててきた。


『やべえっすよノア様……』

『ああ、やばいな……』


 にやり、とリスタルテが笑う。自分の勝利を確信したようだ。


『『何かするなら、速くしてくれ!』』

【なに……?】


 フッ……わかってるじゃあねえかアニマルども!

 俺はあえて攻撃しなかったのだ。次の、最大の攻撃を放つための準備をしてたからなぁ!


「聞こえてるか、馬鹿野郎どもぉおおおおおおおおおおおおおおおお!」


 俺が叫ぶと……。


『『『聞こえております、ノア様ぁああああああああああああああああああああああああああああああ!』』』


 俺の背後に、無数の【窓】が開く。


【その窓は……まさか転移門ゲート!?】

「そうだ、空間をつなぎ合わせ、行ったことのある場所へと転移する魔法、転移門。これ地上にいる、帝国民たちの前に開いた!」

【だから……どうしたというのです!】


 フッ……。


「野郎どもぉ! 【さノ】だぁ……!」

【は、さ、さノぉ……!?】


 なんだ、リスタの体を使ってるっていうのに、さノをご存じないってかぁ!?

「おまえらぁ! 俺は誰だぁああああああ!?」

「「「ゴッドノア様ぁあああああああああ!」」」

「そうだぁ! 俺はゴッドだぁ!」

「「「うぉおおお! ごっどぉおおおおおおおおおおおおお!」」」


【なんですかこの異常者の集まりは!】

『わかる』『ほんとそれ』


 転移門を通じて、帝国民たちの声が届く。


「ほらほらもっと! 俺をたたえろぉ!」

「「「さーノ! さーノ! さーノ!」」」

「声が小さい! さーノ! セイ!」

「「「さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! 」」」


『何をこんな時に何を馬鹿な……』

『! みてくださいっす! ノア様の体が、黄金に輝いてるっすー!!!!!』


 転移門を通じ、信者どもからの、俺をたたえる声が届く!

 そのたびに、俺の体から発する光が強くなる!


【こ、これはまさか……神格が上がってる!?】

「は、御明察! おまえが言ったんだぜリスタルテ! 信者の数が増えれば、神の力が増すってよぉ!」

【た、確かに……で、ですが! 地上の人間のすべてが、あなたの信者だとしても、ここまでの神格は得られないはず!】

「ああん? だーれがあの星の人間だけって言ったってぇ!?」


 転移門の一つが開く。


「お父様!」

「来たかリスコス!」


 リスタによく似た女が、転移門の向こうから顔を出す。


『誰だあいつ?』

『リスタが想像妊娠で人体錬成した、リスタとノア様の子供っす! 詳しくは昔の話参照!』

『想像妊娠!? 人体錬成!? なんだそりゃ!?』


 まあ俺もなんだそりゃなんだが。

 重要なのはそこじゃあねえ。


「覚えてるか、リスタルテ。俺は一度、時間を巻き戻し、歴史を新たにやり直そうとしたことがあったな?」


 そのとき、歴史は分岐し、もう一つの世界が生み出された。


【! まさか……別の世界線の人間すら、信者にしたと!?】

「そのとおり! リコリスを含め、あらゆる世界線の信者どものもとに、世界線をまたいで転移門を開いた!」


 この星の人間だけでなく、別の世界線の信者にんげんたちの、声を集める!


「信者が増えれば、神は強くなるんだよなぁ! 全ての世界線にいる、信者どもぉ! もっとだ! もっともっと俺をたたえやがれぇ!」

「「「さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! 」」」


『な、なんか怖いっす!』

『もはや宗教だなこれ……』

『規模がばぐってるっすけどね……!』


 全世界、全世界線の信者の声が、俺に届く!

 祈り、願いが神の格を押し上げる……!


 そして、俺の体は、太陽のごとく黄金に輝きだした!


『まぶしーっす!』

『これは……ノア様が、神として進化……否! 神化したってことか!!』

 

 次の瞬間、そこに立っていたのは、黄金の髪を持ち、黄金のオーラを放ちながら、黄金の鎧を身にまとう……。


「これぞ、スーパー・ゴッドノア・ゴッドだ!」

『『だ、だせえ……!』』


 黄金にしゅわしゅわとオーラを放つ俺を見て、リスタルテが愕然とする。


【ば、馬鹿な……ありえない! わたしと同格……いや、それ以上の神格を得るなんて!】

「人間じゃ神にかなわないって言ってたからよぉ、おまえと同格以上の存在になったぜえ」


 しゅ、と俺は右手を振る。

 するとリスタルテの右腕が吹き飛んだ。


【馬鹿な! 物理攻撃を、防げない! 運命操作が効かない!?】

「てめえが変えられるのは人間の運命だけ!」


 ば、と俺が手を広げて、カッコいいポーズをとる!


「今の俺は! 神! 人間じゃない俺の運命を、変えることは不可能!」

『の、ノア様! 神をついに自称してるっす! だせえ! でもさノっす!』

『だせえけどかっこいいぞノア様! さノ!』


 全世界、全世界線の信者どもから、神の力をもらった俺は、運命の女神に向かって言い放つ。


「さぁ勝負だリスタルテ! てめえと俺、どっちのさノ力が高いか、教えてやんよ!」

『信者の数ならノア様の圧勝っすけどね!』

『なんだよさノ力って……』



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